セキュリティソフト開発企業としては老舗とも言えるドイツの企業Avira 社。Avira 社のセキュリティソフト「Avira Antivirus Pro」は日本語化と日本語カスタマーサポートに難がありますが、日本国内でも利用者の多いセキュリティソフトです。
本記事ではセキュリティソフト「Avira Antivirus Pro」について説明します。
この記事の目次
Avira Antivirus Proの特徴や導入メリット
「Avira Antivirus Pro」の最大の特徴は、性能の高さと個人情報の取り扱いにあると言えます。
多くの企業から信頼を集めるメーカー
Avira 社の設立は1986年と古く、1988年に発表した製品「AntiVir」は中小規模ネットワークおよびクライアントPCのドイツ国内市場で約70%のシェアを誇ります。
Avira 社のスキャンエンジンは、F-Secure、Microsoft、SOPHOSなどを含む世界各国の企業にOEM供給されています。Avira製品への信用があってこそですが、信用の根拠となっているのは性能のみでなく、ユーザー保護に関する企業姿勢にもあるようです。
ユーザーから収集した個人情報の扱いが明確
デバイス内のデータや情報の保護がセキュリティソフトの役割であるため、セキュリティソフトはデバイス内のあらゆる場所に深くアクセスできなければその目的を達成できません。
セキュリティソフトはユーザーのすべての個人情報を握っていると言っても過言ではない一方、セキュリティソフトが収集したそれら個人情報の扱いには無頓着なユーザーが多すぎます。機能が他社と比較して遜色ない割に、著しく安価なセキュリティソフトウェアなどがありますが、そのような場合は企業のポリシーページを要チェックです。
Avira社に限らず、セキュリティソフトが収集する個人情報に関して、その扱いを明示する義務があり、大抵の場合、各企業の公式Webサイトのフッター部分のリンク、またはソフトウェアインストール時のポップアップ下方のリンクに掲載されています。
引用:Avira
高機能な割に著しく値段だけが安いセキュリティソフトウェアでは、セキュリティソフトがユーザーから吸い上げた個人情報が企業の収益となっている可能性があります。
Avira社に関しては、他社と比較して個人情報の取り扱いがかなり厳格で、情報開示が“包み隠さず”行われているのが特徴です。
Aviraの個人情報保護
Avira社はユーザーから収集した情報を「EU一般データ保護規則(GDPR)」に従って管理しています。GDPRとはEUにおける個人データ保護に関する法律で、仮に、個人データの処理に関する原則を遵守しなかった場合は、「企業の全世界年間売上高の4%、または2,000万ユーロのいずれか高いほう」が制裁金として課せられるという、世界で最も厳しいデータ保護法の1つです。
また、Avira社は自社が従うべき原則が明記され、他社と比較しても説明が詳細かつ分かりやすく記載されており、ユーザーの個人情報は守り抜くという姿勢が見られます。
掲載義務のない自主協定も制定してユーザーに開示している点にも、Avira社の個人情報保護の姿勢が現れています。
Avira Antivirus Proの性能
Avira製品の性能や技術面について説明します。
高評価が継続
Avira社が多数の企業から継続して信用を勝ち得ている証拠として、セキュリティソフトを客観的に評価する第三者機関による評価結果を確認してみましょう。
結論から言えば、Avira製品に対する第三者評価機関からの評価は非常に高いです。2018年度、Avira製品は著名な第三者評価機関の一つAV-Comparativesにより「Top-Rated Products 2018」として選出されています。評価機関が高い性能を認める製品は他社製品でも多数ありますが、Avira製品の特徴としてその高評価が継続している点が挙げられます。
次表は「実使用環境における防御テスト」の2017年2月度から2019年度5月までの評価結果です。
2年3か月の間で防御率が99.5%未満だったことがなく、ADVANCED+受賞も5回あります。瞬間的な高評価ではなく、高い性能を維持していることがパートナー企業から信頼されている理由に他なりません。
Avira Antivirus Proと無料版との違い
「Avira Antivirus Pro」と無料版の「Avira Free Antivirus」の機能の違いを説明します。
機能 | Avira Antivirus Pro | Avira Free Antivirus |
---|---|---|
ウイルススキャナ (ランサムウェア、ウイルス、トロイの木馬などから保護) | 〇 | 〇 |
感染したファイルを修復 | 〇 | 〇 |
感染したサイトをブロック | 〇 | 〇 |
フィッシング攻撃 (ソーシャルネットワーク、Eメールなど) をブロック | 〇 | 〇 |
不必要である可能性が高いプログラムをブロック | 〇 | 〇 |
ダウンロードデータ、Torrent、クラウドストレージをスキャン | 〇 | × |
電子メールの添付ファイルをスキャン | 〇 | × |
USBデバイスをスキャン | 〇 | × |
広告なし | 〇 | × |
無制限のカスタマーサポート | 〇 | × |
無料版と比較してAvira Antivirus Proでは、スキャンできる対象が追加されています。
例えば、無料版でも有料版でも不正なWebサイトをスキャンしてブロックできますが、何らかの理由でWebサイトのチェックをすり抜けて不正なファイルをダウンロードしてしまった場合、有料版ではそのダウンロードデータもスキャンできます。
また、Torrentやクラウドストレージなどユーザーが警戒心なく日常的に使用するサービスもスキャンします。
製品ラインナップと価格
「Avira Antivirus Pro」と無料版の「Avira Free Antivirus」の製品ナインナップは次のとおりです。
価格 | 特徴 | |
---|---|---|
Avira Antivirus Pro | 4,019円(1台用・1年版) 5,169円(3台用・1年版) 6,322円(5台用・1年版) |
Windows / Macに対応。 1年版の他、1か月版、2年版、3年版もあり。 |
Avira Free Antivirus | 無料 | Windows/Mac/iOS (iPhone/iPad)/Android用 |
※2019年9月28日調べ(税込価格)
Avira Antivirus Proの評判・口コミ
Avira Antivirus Proを実際に導入したユーザーの評判や口コミを見てみましょう。
良い口コミ
Best antivirus out there that doesn’t slow down my computer
(コンピューターの速度を落とさず、最高のアンチウイルスです。)
Avira Antivirus Proについては良い口コミと悪い口コミとで真逆のコメントが多くあり、重くなったというコメントと重くならないというコメントが混在しています。ただ、防御機能に関しては悪い評価はありませんでした。
悪い口コミ
After installing this on a Dell computer I had had for one week, my computer started freezing and locking up. I’ve purchased Avast!, WebRoot, and Kaspersky and never had an experience like this.
(Dellコンピューターにインストールすると、コンピューターがフリーズしてロックアップしはじめました。私はAvast!、WebRoot、Kasperskyを購入したことがありましたが、このような経験はありませんでした。)
コメントの真偽は不明ですが、このユーザーの場合は各社のセキュリティソフトウェアを同じパソコンにインストールした可能性もありそうです。セキュリティソフトは一度インストールするとコンピューターのシステムにも影響を与えるため、アンインストールしたとしても、その後他社製品をインストールしたときに思わぬ不具合を引き起こすことがあります。
まとめ
「Avira Antivirus Pro」は、日本語へのローカライズが中途半端であるため、英語での対応に不都合がある方へはおすすめはできませんが、性能面で評価が高いことと、個人情報保護の面から信用できるソフトウェアです。