設立は1986年とセキュリティソフト開発企業の老舗とも呼ばれるAvira社。日本支社は撤退しているため、Avira 社のセキュリティソフト「Avira Free Antivirus」は日本語化と日本語カスタマーサポートに難がありますが、安定した性能が支持され日本国内でも利用者の多いセキュリティソフトです。
本記事ではAvira 社の無料セキュリティソフト「Avira Free Antivirus」について説明します。
この記事の目次
「Avira Free Antivirus」の特徴や導入メリット
「Avira Free Antivirus」の最大の特徴は、性能の高さにあります。合わせて、無料版であるAvira Free Antivirusと有料版Avira製品との機能比較も紹介しましょう。
老舗として信頼されたメーカー
「Avira Free Antivirus」はセキュリティソフトの必要不可欠な機能のみであれば、完全無料かつ無期限で使い続けられる製品です。基本的な機能は無料で提供するという、このようなビジネスモデル「フリーミアムモデル」を採用したセキュリティソフトはAvira Free Antivirusの他にも存在します。
Avira 社では1999年、個人使用向けにパーソナルエディションの無料版の提供を開始、セキュリティソフト業界におけるフリーミアムモデルの先駆者となりました。また、Avira 社の設立は1986年と古く、1988年に発表した製品「AntiVir」は中小規模ネットワークおよびクライアントPCのドイツ国内市場で約70%のシェアを誇ります。Avira 社のスキャンエンジンは、F-Secure、Microsoft、SOPHOSなどを含む世界各国の企業にOEM供給されています。
このようにAvira製品には長年積み重ねてきた信用があり、安心感を持って使い続けられるセキュリティソフトです。
Avira Free Antivirusと有料版との違い
完全無料のセキュリティソフトである「Avira Free Antivirus」と有料版の「Avira Antivirus Pro」との機能の違いを説明します。
機能 | Avira Free Antivirus | Avira Antivirus Pro |
---|---|---|
ウイルススキャナ (ランサムウェア、ウイルス、トロイの木馬などから保護) | 〇 | 〇 |
感染したファイルを修復 | 〇 | 〇 |
感染したサイトをブロック | 〇 | 〇 |
フィッシング攻撃 (ソーシャルネットワーク、Eメールなど) をブロック | 〇 | 〇 |
不必要である可能性が高いプログラムをブロック | 〇 | 〇 |
ダウンロードデータ、Torrent、クラウドストレージをスキャン | × | 〇 |
電子メールの添付ファイルをスキャン | × | 〇 |
USB デバイスをスキャン | × | 〇 |
広告なし | × | 〇 |
無制限のカスタマーサポート | × | 〇 |
上表のとおり有料版に比べてAvira Free Antivirusでは機能が制限されます。「広告なし」機能が×(非搭載)となっているとおり、Avira Free Antivirusでは有料版の購入を促す広告などが適宜表示されます。
また、有料版では「無制限のカスタマーサポート」の機能がありますが、Aviraの日本代理店はすでに撤退しているため、日本語ではサポートを受けることができません。有料版への乗り換えを予定している場合は、注意したい点となります。
Avira Free Antivirusの性能
Avira製品の性能や技術面について説明します。
第三者評価機関による評価結果
セキュリティソフトを客観的に評価する第三者機関が複数存在しますが、Avira製品に対するそれら評価機関からの評価は非常に高いです。
2018年度、Avira製品は著名な第三者評価機関の一つAV-Comparativesにより「Top-Rated Products 2018」として選出されています。
AV-Comparativesでは、マルウェアの削除テスト、実使用環境における防御テストなど複数の単体テストを実施していますが、「Top-Rated Products 2018」に選出されるためには、これらの単体テストで総合的に高得点を獲得しなければなりません。Avira製品は、2018年度の単体テストにおいて、Advanced +を5回、Advanced Awardを2回獲得しています。また、リニューアルされたタッチフレンドリーなインターフェースも評価されました。
高評価が安定
評価機関により高い性能が認められた製品は他社製品にもありますが、Avira製品の特徴としてその高評価が継続している点が挙げられます。
次表は「実使用環境における防御テスト」の2017年2月度から2019年度5月までの評価結果です。
2年3か月の間で防御率が99.5%未満だったことがなく、ADVANCED+受賞も5回あります。瞬間的な高評価ではなく、高い性能を維持していることが老舗としてパートナー企業からも信頼を集めている理由に他なりません。
次に、「マルウェアからの防御テスト」の2017年3月度から2019年度3月まで約1年間の評価結果です。
1度のみAdvancedの評価だったものの、その他のテストではすべてAdvanced+を維持しています。
開発者のアイデアが製品に反映される企業
多数の有名企業に製品をOEM供給し、外部からの評価も高いAvira 社ですが、企業規模としては社員500人余りとそれほど大きい企業ではありません。そんなAvira 社の開発者がユーモアも取り入れつつ、生き生きと日々の開発に打ち込んでいることが垣間見える機能をひとつご紹介します。
有料版のAvira Antivirus Proでの機能となりますが、Avira Antivirusがインターネット上で異常な兆候を検出した場合など、必要に応じてデバイスのスキャンを開始する自動スキャン・修復コンポーネントの機能があります。この機能の名称は「Luke Filewalker(ルーク・ファイルウォーカー)」。
映画「スターウォーズ」のルーク・スカイウォーカーの名前をアレンジしたものです。
機能Luke Filewalkerは次のようなコンセプトで生まれました。“フォースに激変があり、ダークサイドから悪意を持った大群が侵入し、心を破壊し、データを盗み、銀行口座から金銭を収集。この脅威に対抗するために、ルークは数百万のデバイスを検査して不正なコードを検出。損傷個所をクリーンアップする。”現在の脅威の状況は、スターウォーズの世界での出来事と全く同じ状況に例えられるのです。なんとも遊び心のある機能名ですが、このようなところからAvira社の開発体制や風通しの良さなどが垣間見られるのではないでしょうか。
参照A short time ago, in a Galaxy, Mac, and Windows device not far, far away … / Avira Blog
製品ラインナップと価格
「Avira Free Antivirus」とAviraの有料版の製品ナインナップは次のとおりです。
価格 | 特徴 | |
---|---|---|
Avira Free Antivirus | 無料 | Windows/Mac/iOS(iPhone/iPad)/Android用 |
Avira Antivirus Pro | 4,019円(1台用・1年版) 5,169円(3台用・1年版) 6,322円(5台用・1年版) |
Windows/Macに対応 1年版の他、1か月版、2年版、3年版もあり |
※2019年9月11日調べ(税込価格)
Avira Free Antivirusの評判・口コミ
Avira Free Antivirusを実際に導入したユーザーの評判や口コミを見てみましょう。
良い口コミ
QuickScanがとてもQuickになった点です。 以前はながいあいだかかり、途中で中止したこともたびたびでしたが、すぐに終わり快適です。
2018年度にインターフェースの改善を行っており、以前からの継続使用ユーザーからの評価も良いです。
AV-Comparativesの「ユーザビリティレポート」でもインターフェースの改善は評価されています。
メインのユーザーインターフェースは、新鮮でモダン、すっきりしており、非常に分かりやすくなっています。
悪い口コミ
一度インストールするとアンインストールができず、宣伝のポップアップが出続けます。
口コミ投稿者が行った操作の内容は不明ですが、Aviraカスタマーサポートは、Avira Management Panelと共にAvira製品を完全にアンインストールするには、はじめにAntivirusを含み他のインストールされているすべてのAviraプログラムをアンインストールするように案内しています。
まとめ
「Avira Free Antivirus」は性能面で評価が高く、かつ高評価を維持し続けています。性能面を重視する方は満足するセキュリティソフトです。
ただ、日本語へのローカライズが中途半端で、サポートも英語のみであるため英語での対応に不都合がある方へはおすすめはできません。