2月1日~3月18日は「サイバーセキュリティ月間」です。「”月間”なのになぜ2ヶ月に跨ってるんだ」「またサイバー冤罪が出るんじゃないか」などのツッコミがありますが、”やらないよりはマシ”なんじゃないかと思っています。
ただ”もうちょっとやりようがあるだろう”という思いはあります。今回は「サイバーセキュリティ月間」について解説します。
誰に向けてのものなのか
“国民に幅広くサイバーセキュリティについての関心を持ってもらいたい”という趣旨は納得できます。ところが、幅広い層に関心を持ってもらうため今年も「ソードアート・オンライン」とタイアップするようです。
“やらないよりはマシ”だと思いますが、真っ先にサイバーセキュリティへの関心を高めなきゃならないのは若年層ではないのではないでしょうか。
企業経営層の”年配”をターゲットにするべき
まず、サイバーセキュリティ月間で関心を高めるべきなのは、年配の方々、特に企業経営層でしょう。あとは、政治家です。責任ある立場の人がサイバーセキュリティに対する関心を持ってくれないと、いくら現場から有効な対策案を出しても決裁が下りません。
かつて、「PCは使えません。」「でも判断力は抜群です」と言ったIT担当大臣がいましたが、関心を持たないことに適切な判断はくだせないでしょう。
年配の方々に興味を持ってもらうためには、ラノベや漫画、アニメではなく、「桃太郎侍」や「釣りバカ日誌」などとタイアップした方が良いのではないでしょうか。
ひとぉ~つ、ひとのアドレス偽装し。ふたぁ~つ、ふらちなマルウェア添付。みぃ~っつ、みなれぬ.exeファイルを 退治てくれよ桃太郎。
このような感じで高橋英樹さんにやってもらうのも良いかもしれません。
IoTの恩恵を強く受ける”高齢者”こそ知識が必要
でもこれは、あまり冗談で言っている話ではありません。これから加速するIoT時代において、高齢者こそIoT機器に囲まれて行きます。例えばIoTによる見守り介護は非常にシェアを伸ばしています。これらのサイバーセキュリティ対策は本当に人命に関わります。
高齢者は今後IoTの恩恵を強く受けるのですから、サイバーセキュリティに無関心では危険です。サービス選択時にメリット・デメリットを把握できるよう、高齢者にもサイバーセキュリティに関心を持てるイベントを増やしていただきたいと思います。
サイバーセキュリティに関する意見を出す機会
とはいえ、「サイバーセキュリティ月間」は、普段関心の無い人にアピールする機会であることは間違いありません。「今、サイバーセキュリティ月間でもありますし…」は、営業活動にも、上司への説得にも多少の根拠にはなるでしょう。
実施すべき施策についての意見を出せる
そして、是非多くの方に使っていただきたいのが、これです。
参照「サイバーセキュリティ戦略」に基づき、2020年度に実施すべき施策の募集/NISC
2月末まで募集しています。サイバーセキュリティの現場にいる方は、どんどん意見を挙げましょう。実感している方も多いでしょうが、現場の声が汲み取られない計画はやっつけ仕事になりがちです。正しくサイバーセキュリティ対策が進むように、現場からの声を多数出して行きましょう。
最後に
私も「マイナンバーカード政策の一時凍結」とか「入札時の経営者へのサイバーセキュリティテストの義務化」などの意見を出そうかな、とも考えています。(受け入れてもらえなそうですが…)
それでも、「こんなこと言ってもな…」と思うようなことであっても、意見を出さなければ、何も変わりません。少しでも良い方向に変えるため「サイバーセキュリティ月間」を、上からの強制イベントではなく、現場から声をあげるチャンスイベントにしませんか。