セキュアブラウザ(Secure Browser)とは?仕組みやメリット、VDIとの違いについて解説|サイバーセキュリティ.com

セキュアブラウザ(Secure Browser)とは?仕組みやメリット、VDIとの違いについて解説



Webサイトを閲覧するためのソフトウェアが、「ブラウザ」。インターネット利用者は、毎日必ずと言っていいほど、ブラウザを起動しているでしょう。有名なブラウザには、Internet ExplorerやGoogle Chromeなどがあります。

一方、一般的なブラウザは使い勝手を重視しており、セキュリティの面からは万全とは言えません。そこで開発されたのが、セキュリティ機能に特化したブラウザ「セキュアブラウザ」です。本記事では、セキュアブラウザの機能や仕組み、活用するメリットやデメリットまで説明します。

セキュアブラウザとは

セキュアブラウザとは、数々のセキュリティ機能を備え、インターネットの脅威から身を守ることに特化したブラウザです。

セキュアブラウザは、一般的なWebブラウザと同等の基本機能を持ちながら、不正アクセスや情報漏えいを防止するための機能が加えられています。

例えば、セキュアブラウザでインターネット上の情報を閲覧した場合、Webの閲覧履歴などのデータが一時的にはPC・端末内に保存されるものの、ブラウザを終了すると同時に、それらのデータが自動的に削除されます。利用端末上に情報が残らないため、情報漏えいのリスクが低減します。

また、セキュアブラウザは、VPNなどのようなログイン操作は不要で、一般的なWebブラウザと同じように利用できるため、メールのチェックをはじめ、様々なクラウドサービスが簡単に利用できます。

セキュアブラウザの仕組み

セキュアブラウザは、PC・端末上で動作しています。セキュアブラウザによりPC上に安全な領域が作られ、その領域内でドキュメントやデータを表示します。ユーザは、自身のPCでセキュアブラウザを起動し、一般的なブラウザを使うときと同じように、Webを閲覧したり、クラウドサービスへアクセスします。

なお、使用できるアプリケーションは、セキュアブラウザによって異なります。

一般的なブラウザの場合、Webの閲覧履歴やキャッシュ、IDなどの認証情報が、PCや端末内に残りますが、セキュアブラウザの場合、これらのデータを端末から自動で消去します。

また、セキュアブラウザは常にブラウザを介してネットワークにアクセスするため、常時接続は不要で、発生する通信は、社内ネットワークとの間でのブラウザ表示に必要なデータの送受信のみです。

セキュアブラウザとVDIとの違い

セキュアブラウザと同じく、遠隔地からの安全な社内ネットワークへのアクセスを実現する技術に、「デスクトップ仮想化(Virtual Desktop Infrastructure:VDI)」があります。

セキュアブラウザとVDIにはどのような違いがあるのでしょうか。表形式で比較すると次の通りとなります。

VDI セキュアブラウザ
特徴 高度なセキュリティを実現したい場合の利用を想定 特定業務での利用を想定
システム導入のし易さ
  • システム導入が必要
  • システム導入コストが高い
  • 導入時に環境変更を伴う
  • 導入時の環境変更の規模が大きい
  • システム導入が必要
  • DVIと比較しシステム導入コストが安価
  • 導入時に環境変更を伴う
  • DVIと比較し導入時の環境変更の規模が小さい
運用・セキュリティ統制
  • データの保存を制限できる
  • データ管理が容易
  • セキュリティを容易に集中管理できる
  • データの保存を制限できる
  • データ管理が容易
  • セキュリティの集中管理は困難。
テレワーク時の業務の再現性
  • オフィス内にいるときと同等の業務が行える
  • オフィス内にいるときと同等の業務は困難
  • 資料の閲覧やメールチェックなどの業務に制限される

まず、VDI(デスクトップ仮想化)とは、PCのデスクトップ環境を仮想化させて、サーバ上で稼働させる仕組みのことです。デスクトップ環境をサーバ上に集約させて、クライアント端末に転送します。ユーザは自身のPCからネットワーク経由で仮想マシンに接続し、デスクトップ画面を呼び出し・操作します。VDIもセキュアブラウザもネットワークへの接続を要する点や、端末へのデータの保存を制限できるという点は同じです。

ただし、デスクトップ画面をまるごと仮想化し、遠隔地でもオフィス内にいるときと同様の業務が行えるDVIに対し、セキュアブラウザでは、オフィス内でできる業務のうちブラウザを利用した一部の業務のみしか再現できません。

導入工数とコストに関しては、セキュアブラウザよりもDVIの方が、より規模が大きくなります。

セキュアブラウザで実現できること&活用メリット

セキュアブラウザを利用すると、どのようなことができて、企業や組織にはどのようなメリットが生まれるのでしょうか?

利用アプリケーションを制限できる

セキュアブラウザは、利用を許可するアプリケーションを制限できるため、従業員が独断で不審なアプリケーションを利用することを防げます。

データ管理を支援する

セキュアブラウザで、特定のアプリケーションのみを利用するように制限をかけることで、不必要なデータアクセスを抑制し、管理者によるデータ管理を効率化します。

アクセスを許可するアプリケーションの設定や、データを消去するタイミングは、管理者が一括で管理できます。

端末紛失による情報流出を防ぐ

社外に持ち出した端末やノートPCの置き忘れや紛失が、情報流出原因の上位を占めています。セキュアブラウザで、社外へ持ち出す端末へのデータ保存を制限すれば、端末を紛失したとしても、内部の情報は流出を避けられます。

業務で使用する社内システムの徹底

業務で使用すべき社内システムやアプリケーションなどを、管理者が、ブックマークとして社内の全ユーザに一括配信できるセキュアブラウザもあります。

配信後に社内システムが追加・変更した際も、管理者が一括で再配信できます。

通信回線の影響を受けにくい

仮想デスクトップ(VDI)による画面転送では、常時接続して通信を行う必要がありますが、セキュアブラウザでは、常に通信している必要がないため、通信回線に負荷がかかったとしても、その影響が軽微です。

セキュアブラウザのデメリット

セキュアブラウザを利用することによる、次のようなデメリットや難点についても確認しましょう。

業務の再現性に欠ける

セキュアブラウザで保護できるのは、セキュアブラウザ上で動作するアプリケーションのみです。よって、それ以外のアプリケーションは、使えないことになります。

社外からセキュアブラウザを利用して業務を行う場合、オフィス内で行う業務を完全には再現できません。

なりすましのリスク

多くのセキュアブラウザでは端末を特定する機能がないため、セキュアブラウザを利用しても、ブラウザを介して従業員以外の端末から社内ネットワークに不正アクセスされるというリスクは拭えません。

反応の遅延

セキュリティの観点から、端末にデータを残さないセキュアブラウザは、Webページ単位で表示などの処理をするため、反応が遅延することがあります。ブラウザ上での操作が思い通りのスピードでできず、作業効率が落ちることがあります。

まとめ

セキュリティ機能に特化したWebブラウザ「セキュアブラウザ」について、紹介してきました。

セキュアブラウザは、テレワークを安全に行うための施策の一つとして、近年注目を集めています。使用できるアプリケーションが制限されるなど、業務効率の面からはデメリットがありますが、自社の業務内容に合致した仕様のセキュアブラウザであれば、自社のセキュリティ対策の向上に役立つでしょう。

よくある質問

セキュアブラウザとは

数々のセキュリティ機能を備え、インターネットの脅威から身を守ることに特化したブラウザです。詳しくはこちら


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