ビジネスの現場では、連絡や情報のやり取りの手段として「メール」が幅広く使われています。
メールは、とても便利なものですが、「内容を間違えて送ってしまう」「送る相手を間違えてしまう」といった誤送信の問題も持っています。メールは一度送ってしまうと消すことができません。そのため誤送信によって、情報が外部に漏洩するなどの大きな問題になってしまうリスクもあります。
どのようにすれば誤送信を防ぐことができるのでしょうか。
メール誤送信による情報漏洩の現状
連絡手段として、さまざまな情報のやり取りのツールとしてメールはビジネスの現場でも欠かせないものです。しかし、メールの利用には常に「内容を間違えて送ってしまう」「送る相手を間違えてしまう」といった誤送信の問題があります。
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の報告によると、メールの誤送信は年々増加しています。情報漏洩事故の件数は、平成25年度の1627件から平成29年度には2399件と大きく増加しています。そうした中で、情報漏洩事故に占めるメールの誤送信の割合は、平成25年度には16.8%であったのが、平成29年度には26.5%と急激に増加しています。
このように、情報漏洩の原因の大きなものとしてメールの誤送信が大きな問題となってきています。
メール誤送信による情報漏洩の被害例
実際にメールの誤送信が原因で、情報漏洩事故につながった事例にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、2つの事例を取り上げてみましょう。
経済産業省(委託企業)
まずは、2019年に発生した事例です。経済産業省が企業に委託して行なっている「ミラサポ専門家派遣事業」で、メールの送信設定を「BCC」とすべきところを誤って「TO」としてしまったというものです。これによって、8046件のメールアドレスの流出が発生しています。
阪神タイガース
こちらも2019年に発生した事例です。プロ野球の阪神タイガースがチケットの販売を委託している企業で、本人以外の個人情報が記載されたメール1369件を誤って送信してしまったという事例です。これによって1369件の個人情報の流出が発生しています。
メール誤送信のパターン
情報漏洩の大きな要因の一つともなっているメールの誤送信ですが、これにはいくつかのパターンがあります。以下では主なものである「宛先の誤り」「添付ファイルの間違い」の2点について見ていきましょう。
宛先間違え(TO/CC/BCCの選択ミス、同姓同名で間違えるなど)
一つ目は、メールの送信先を間違える「宛先間違え」です。これには、以下のようなパターンがあります。
- 単純に送る相手を間違える
- To/CC/BCCの選択を間違える
- 同姓同名の相手と間違える
相手を間違えてメールを送ってしまうということは、情報漏洩につながるリスクが非常に高いと言えます。
添付ファイル間違い
もう一つは、メールに添付するファイルを間違えてしまうといったものです。本来つけるべきではない、あるいはつける必要のない添付ファイルを不用意につけたメールを送付することで、情報が外部に流出してしまう恐れがあります。
メール誤送信を防ぐ方法
宛先間違いや、添付ファイルのミスなどメールの誤送信は情報漏洩につながるリスクが非常に高いものです。こうしたメールの誤送信は、さまざまな方法で防ぐことができます。ここでは、その方法について説明します。
メーラーの機能を利用する
一つ目は、メーラーの機能を活用した誤送信の防止です。これにはたとえば以下のようなものがあります。
- 宛先のオートコンプリートをオフにする:有効の場合、間違える可能性がある
- すぐに送信、としないように設定する
- アドレス帳を間違えにくい形に整理する
第三者によるチェック
もう一つは、第三者によるチェックです。手間のかかる方法ですが、送信前に本文や宛先、添付ファイルを第三者によってチェックしてもらう方法です。手間はかかりますが、非常に効果は高くなります。
添付ファイルの暗号化
さらには、添付ファイルから情報漏洩を防ぐには「暗号化」も有効です。「暗号化する」「パスワードを設定し、パスワードは別メールで知らせる」などの対策をしておくことで、情報漏洩を防ぐことができます。
専門の製品・サービスを利用する
対策を行うための製品やサービスを活用するのも有効な対策です。これも必要に応じて利用することをおすすめします。
まとめ
うっかりメールを違う宛先に送ってしまった、添付ファイルを間違えたなどの経験はありませんか?こうした誤送信は、情報漏洩の要因として年々大きな割合を占めるようになってきています。
誤送信を防ぐには、「メーラーの機能を活用」「添付ファイルの暗号化」など、今回紹介したいくつかの方法があります。自分や自社にとってよりよい方法を選択し、情報漏洩の発生につながらないようなしっかりとした対策を行うようにしましょう。