インテリジェントオートメーションとは?仕組みや代表的なテクノロジー、メリットデメリットを徹底解説|サイバーセキュリティ.com

インテリジェントオートメーションとは?仕組みや代表的なテクノロジー、メリットデメリットを徹底解説



コンピュータを使用した業務を自動化する技術として「RPA(Robotic Process Automation)」が知られています。このRPAとAI(人工知能)を組み合わせた技術として登場したのが、「インテリジェントオートメーション」です。

この記事ではインテリジェントオートメーションの概要やメリット、デメリットについて徹底解説します。

インテリジェントオートメーションとは

インテリジェントオートメーション(IA)はRPAとAIを組み合わせて、ビジネスを高度に自動化させる仕組みのことです。

業務の自動化では以前よりRPAが使われていましたが、人間の手による処理を完全になくすことはできませんでした。しかしインテリジェントオートメーションは、RPAにAIを導入することで、単純作業だけでなく、高度な判断や意思決定を含めて、あらゆる業務の自動化することを目指しています。

インテリジェントオートメーションの仕組み

RPAを動作させるために、事前に作業内容の指示とデータの入力が必要だったことと比較すると、インテリジェントオートメーションは、自動化に関わるあらゆるステップを支援して、さらに改善を続けるという特徴があります。

インテリジェントオートメーションは従業員の業務を観察してプロセスを検出します。そして自動的に最適な手順を特定して自動化できる部分を提案します。チャットでの会話や音声ツール、ビデオ映像などの非構造的なデータをAIで処理させて、自動化のための分析を行います。

つまりシステム自身が能動的に学習して仮説を立てるわけです。このように人間がより良い判断を行うために、人間の知性を模倣、あるいは強化してサポートする技術をコグニティブインテリジェンスと言います。インテリジェントオートメーションは、コグニティブインテリジェンスを実現するものであると言えるでしょう。

インテリジェントオートメーションの代表的なテクノロジー

インテリジェントオートメーションを支える3つの代表的なテクノロジーについて紹介します。

AI

AIは言わずと知れた人工知能(Artificial Intelligence)のことです。ビッグデータなどの膨大な量のデータをAIに学習させ、データが持つルールを発見し、新しい知識を得ることで、人間にはできないデータの分析や処理が可能にします。ビジネスの現場では、顧客ニーズの理解や未来の予測などにAIが使われています。

ロボット

インテリジェントオートメーションでは多種多様なロボットが活用されます。その中でもソフトウェアとして動作するロボットはデジタルワーカーともよばれる目には見えないロボットです。このようなロボットはRPAとしてすでに活用されていますが、AIと組み合わせることで、単純作業ではなく複雑な意思決定を実行できる、インテリジェントオートメーションの要の機能へと進化します。

AR(拡張現実)

AR(Augmented Reality)とは日本語では拡張現実と訳される言葉です。実在の風景に仮想的な視覚情報を重ねて表示させることで、現実を仮想的に拡張させる技術を指します。工場や生産現場において、次に必要な作業を専用のタブレット内でARを使って表示したり、キャビネットの中身を蓋を開けずに把握したりなど、ARを活用することで、人間の五感を拡張させて、生産性を向上させることが可能です。現在すでにRPAのソフトウェアの機能の一つとしてARを取り入れているものもあります。

インテリジェントオートメーションのメリット

インテリジェントオートメーションの導入により、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは6つの代表的なメリットについて紹介します。

ビジネスプロセスを自動化

インテリジェントオートメーションの導入により、あらゆるビジネスプロセスの自動化が可能です。人間が操作しなければならない部分を減らして、コンピュータに自動化させることで、処理速度と精度が向上し、さらに時間とコストの節約が可能です。

運営上の障害を軽減

ビジネスには、映像や音声などの非構造化データも含まれ、それらは一貫性のないプロセスで取り扱われています。インテリジェントオートメーションでは、このようなデータを取り扱っている古いシステムでの運営上の障害を軽減して、業務を円滑に遂行させます。

複雑なデータを整理して処理できる

インテリジェントオートメーションでは、プロセスを正常に行うために、映像や音声など複雑なデータの量や扱いにくさを整理して処理します。

エラーの減少

インテリジェントオートメーションにより、簡単なタスクだけでなく、複雑な業務でも精度と効率の改善が可能です。AIが処理方法を学習するので、プロセスに含まれるエラーも減らすことが可能です。

コンプライアンス徹底

インテリジェントオートメーションの導入により、法律や業界の標準、さらに業務で培われてきたベストプラクティスなどに確立された要件に準拠できるため、コンプライアンスを徹底できます。

セキュリティ強化

インテリジェントオートメーションでは、ネットワークとデータ構造の分析により、セキュリティ上の脅威を評価します。あらかじめセキュリティ対策を施すことで、サイバー攻撃による被害を抑制できます。

インテリジェントオートメーションのデメリット

インテリジェントオートメーションには、機能の高度さゆえのデメリットもあります。

費用が高額

現状では、通常のRPAでも高額な費用が必要になるケースがあります。それをAIで拡張したインテリジェントオートメーションならなおさらです。

特に複数のプロセスから構成される大規模な業務をインテリジェントオートメーションで自動化できれば、大幅な効率アップにつながりますが、その規模に応じたコストも必要となります。

成果がでるまでに時間がかかる

インテリジェントオートメーションを導入しても、すぐに成果がでるとは限りません。なぜならインテリジェントオートメーションをすでに導入している企業でも、十分に活かしているとは言い切れず、断片的にしか導入できてない企業もあるからです。

インテリジェントオートメーションに限らず、何らかのシステムを業務に導入する際には、業務の整理や統合が求められ、さらに従業員の職務変更やスキルアップも必要となります。企業はそのような課題を早期に解決し、制約をなくすことで、インテリジェントオートメーションが持つ本来の価値を発揮させることが必要です。

インテリジェントオートメーションの今後の予測

シンプルな業務の自動化であれば、従来のRPAでも十分対応可能でした。しかし実務は簡単なタスクばかりではありません。高度な操作や意思決定が必要となる業務も多く、それらは従来のRPAでは自動化困難で、人間の判断力や操作を必要としています。

しかしAIの進化は様々な分野で技術革新をもたらしています。さらに大量のデータを取り扱えるビッグデータや、IoTなどのハードウェアも進歩しています。これらの技術を業務の自動化に活かさない手はありません。

これまで人間にしかできないと思われていた高度な業務の一部が、インテリジェントオートメーションを使うことで自動化可能になったのです。完全に人の代替となるとまでは行かなくても、人間の活動を補完する技術として、インテリジェントオートメーションの技術はこれからも進化し続けると思われます。

まとめ

AIはRPAとは別に進化してきましたが、複雑な情報の処理やデータ分析が可能なAIのメリットをRPAと組み合わせようとするのは、コンピュータを活用する上で必然的な流れでしょう。インテリジェントオートメーションは高度な自動化を実現する技術ですが、現状では業務から人間を完全に排除できるほどには至っていません。

今後も、完全な無人化は難しいかもしれませんが、RPAもAIもまだ発展途上の技術であることを考えると、インテリジェントオートメーションはこれからも大きな進化を遂げると期待できます。


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