DTD|サイバーセキュリティ.com

DTD

DTD(Document Type Definition)は、XML文書やHTML文書の構造やルールを定義するための形式です。DTDは、文書内で使用される要素、属性、データ型、階層構造などを記述することで、文書の構造を標準化し、データの整合性を確保することができます。XMLやHTMLの文書が特定の規則に従っているかどうかを検証するために使用され、文書の一貫性を保つ役割を果たします。

DTDは、XML文書において特に多く利用されてきましたが、DTD自体はシンプルな構造であるため、XML SchemaやRelax NGなど、より強力な代替手段が登場した後に利用が減少する傾向にあります。それでも、DTDは依然としてシンプルな文書構造を定義する場合に有用です。

DTDの役割

DTDは、主に以下のような役割を果たします。

文書構造の検証

DTDを使用することで、XML文書が定義された構造に従っているかどうかを検証できます。これにより、要素や属性の順序や階層が正しいか、必須要素が存在しているかなどを確認することができます。

標準化と一貫性の確保

DTDに基づいて文書構造を定義することで、異なる開発者やシステム間でのデータ交換が容易になります。統一されたルールに従うことで、一貫性のあるデータ管理が可能になります。

要素と属性の定義

DTDでは、文書内で使用される要素や属性を明示的に定義することができます。これにより、文書内で使用されるタグやその属性が正しく利用されているかを管理できます。

DTDの基本構造

DTDは、インラインでXML文書内に直接埋め込むか、外部ファイルとして参照する形で使用できます。以下は基本的なDTDの例です。

1. インラインDTDの例

<?xml version=”1.0″?>
<!DOCTYPE note [
<!ELEMENT note (to, from, heading, body)>
<!ELEMENT to (#PCDATA)>
<!ELEMENT from (#PCDATA)>
<!ELEMENT heading (#PCDATA)>
<!ELEMENT body (#PCDATA)>
]>
<note>
<to>Taro</to>
<from>Jiro</from>
<heading>Reminder</heading>
<body>Don’t forget our meeting tomorrow!</body>
</note>

 

この例では、XML文書の構造を定義するために、DTDがインラインで記述されています。<!ELEMENT>宣言を用いて、各要素がどのように構成されるべきかを示しています。

2. 外部DTDの例

外部DTDは、別ファイルとして定義し、XML文書から参照することができます。

外部DTDファイル (note.dtd)

<!ELEMENT note (to, from, heading, body)>
<!ELEMENT to (#PCDATA)>
<!ELEMENT from (#PCDATA)>
<!ELEMENT heading (#PCDATA)>
<!ELEMENT body (#PCDATA)>

XML文書からの参照

<?xml version=”1.0″?>
<!DOCTYPE note SYSTEM “note.dtd”>
<note>
<to>Taro</to>
<from>Jiro</from>
<heading>Reminder</heading>
<body>Don’t forget our meeting tomorrow!</body>
</note>

このように、外部ファイルとしてDTDを定義することで、複数の文書から同じDTDを参照し、統一した構造の管理が可能になります。

DTDの主な構文要素

DTDを構成する主な構文要素を説明します。

ELEMENT宣言

`<!ELEMENT>` は、要素を定義するために使用されます。要素の内容モデル(データ型や子要素の組み合わせ)を指定します。

例:

<!ELEMENT title (#PCDATA)>

この例では、title要素が文字データ(#PCDATA)を含むことを示しています。

ATTLIST宣言

`<!ATTLIST>` は、要素の属性を定義します。属性の名前やデフォルト値、データ型を指定できます。

<!ATTLIST book genre CDATA “fiction”>

この例では、book要素にgenreという属性を持つことを示しています。デフォルト値は”fiction”です。

ENTITY宣言

`<!ENTITY>` は、エンティティを定義するために使用されます。これにより、特定のテキストを再利用できます。

例:

<!ENTITY example “This is an example.”>

DTDのメリットと制限

メリット

シンプルさ: DTDは比較的シンプルで、簡単に文書構造を定義できます。
標準化: 文書の一貫性を保ち、異なるシステム間でのデータ交換が容易になります。
広くサポートされている: ほとんどのXMLパーサがDTDをサポートしています。

制限

データ型の制限: DTDでは、データ型が限定的であり、XML Schemaに比べて柔軟性が低いです。
名前空間のサポートがない: DTDは名前空間の機能をサポートしていません。
複雑な構造の表現が難しい: 複雑なデータ構造を表現する場合、DTDは不向きで、XML Schemaや他の代替手段が適しています。

まとめ

DTD(Document Type Definition)は、XMLやHTML文書の構造やルールを定義するための形式であり、要素や属性の定義、文書構造の検証を行うために利用されます。シンプルな構造定義に適していますが、データ型の柔軟性や名前空間のサポートに欠けるため、複雑な用途には他の形式(XML Schemaなど)も考慮する必要があります。DTDは、文書の一貫性を保ち、標準化されたデータ管理をサポートする重要な役割を果たします。


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