「データが消えてしまった」「パソコンから何か変なメッセージが出て、削除できない」…などなど、コンピュータウィルスによる被害はとどまるところを知りません。
以前なら、アンチウイルスソフト(ウイルスソフト)をインストールして、万事解決!となったところが、最近はそう簡単にいかなくなっています。
アンチウイルスソフトを入れても解決しないのは何故?
それはウイルスの手口が巧妙化し、ソフトで検知・駆除できないケースが多発するようになっているからです。では、どうすれば良いのでしょうか。
ここで、誰もが思いつく対策。「ウイルスソフトを複数入れたら、検知性能が相乗効果で良くなって感染しなくなりそう」と、至極当然のような意見に思えます、が実はこれ、やってはダメなのです。
なぜでしょうか。今回の記事では「ウィルスソフトを複数入れることがなぜダメなのか」ということを解説していきます。
なぜ複数入れてはダメなのか
ウイルスソフトは皆さんご存知のように、パソコンがウイルスに感染しないように守るソフトウェアです。守るためにパソコンの起動時に同時に起動し、起動中は常にバックグラウンドで動作しパソコンを監視し続けています。
これは通常私たちがパソコンで使うワードやエクセルといったアプリケーションとは大きく異なっています。極論を言えば、ウイルスソフトはインストールされるとOSの一部のようになってしまうのです。
互いに干渉しあってしまう
OSの一部ともみなせるほど密接に動くウイルスソフト。そのウイルスソフトを複数入れるということは、2つのソフトが両方とも同じように起動時から終了時からすべてのプロセスを監視しようとすることを意味します。同じように監視しようとするソフトウェアが2つ導入されると、それらは競合し、不具合を起こす可能性が非常に高くなります。
通常のワードやエクセルといったソフトウェアはパソコンのシステムに深くかかわるようなものではないので、MS OfficeとOpenOfficeなどの類似ソフトをインストールすることによって競合が発生して不具合が発生するようなことはまずありませんが、OSに密接に関わり同じような役目を果たすウイルスソフトを2つ入れるとお互いが干渉しあってシステム全体が不安定になる可能性が高くなります。
互いに排除しようとする
また、ウイルスソフトはこのようにパソコンのOSに深くかかわるものだけに、2つインストールするとお互いがお互いを、システムに不正に侵入して書き換えるような不正なソフトウェアであると認識し、排除しようとする可能性があります。これも当然システムに不具合を起こす原因になります。
まとめ
パソコンにウイルスソフトを複数入れてはダメな理由は以下となります。
- OSに密接に関わりシステムを監視する同じようなプロセスが複数動くことになる
- お互いを不正なソフトウェアと勘違いして排除しようとする
- その結果システムが非常に不安定になり、起動しなくなる恐れがある
つまり、パソコンに同じような役割を果たすウイルスソフトを複数入れることによって、動作が非常に不安定になったり、最悪の場合は起動できなくなったりする可能性があるから複数インストールすることはダメなのです。
気をつけるのは、買ってきたパソコンにウイルスソフトが入っているケースです。そのまま使うのなら良いですが、既に持っているソフトに入れなおす場合は、必ず元々入っているソフトは削除してください。削除せずに入れると、結果的に複数のウイルスソフトが入っていることになり、システムが不安定になる恐れがあります。
おわりに
多くのコンピュータウィルスがばらまかれ、セキュリティ事故がたびたび発生している現在。複数のウイルスソフトを入れることによって、相乗効果で対ウィルスの防御力が向上すると勘違いされるケースもいたしかたありませんが、ここまで述べたように実際は全く逆なのです。
複数導入することによってパソコンのシステム全体が不安定になり、起動しなくなる恐れもあります。そういったことを招かないためにも、ウイルスソフトを複数導入することは絶対に避けましょう。