パソコンの故障時や操作を誤ってファイルを削除してしまった場合などに備えて、日頃からデータのバックアップを取ることは必要不可欠です。しかし手動によるデータバックアップは面倒なだけでなく、バックアップが必要なファイルを見逃してしまうリスクもあります。
そこで導入したいのが、データ復元・バックアップのためのソフトやサービスです。
この記事では、データ復元・バックアップソフトの選び方から、データバックアップサービスの比較と選択時の注意点まで徹底解説します。
この記事の目次
データ復元の成功の確率は?
パソコンのトラブルでデータが消えてしまった場合、専門業者に復元を依頼しても、実際に復元できる確率は80%程度だと言われています。しかし100%の確率ではないものの、専門業者に依頼したほうが、自分で復元を試みるより復元できる可能性は高いでしょう。専門業者は、データ復元に必要な専門知識や機材を保有しているからです。
データ復元の専門業者によって、スタッフのスキルや機材は異なります。つまり依頼する業者によりデータ復元に成功する確率も異なります。また専門業者のWebサイトなどを確認して、データの復元が必要なハードディスクやデバイスが対応しているかどうか、予め確認してからデータ復元を依頼しましょう。
データ復元・バックアップソフトの選び方
誤ってデータを削除してしまった場合、データ復元ソフトの選び方によって、データ復元に成功するかどうかが決まります。データ復元ソフトには大きく分けて「無料」と「有料」の2つがあります。基本的には有料ソフトの方が高機能ですし、復元できる確率も高いでしょう。有料といっても、市販されているデータ復元ソフトを使うほうが、専門の業者に依頼するより安く済みます。
また、データの削除に備える方法として、日頃からバックアップを保存できるバックアップソフトを導入する手もあります。特にデータのバックアップと復元の両方の機能を持つソフトは、パソコンが故障して買い替えた時に、保存したデータと同じ状態に復元してくれる便利なソフトです。
これらのソフトで選択する時には、対応しているOSやデバイスの種類をよく確認しましょう。最近ではパソコンだけでなく、デジカメのメモリカードや外付けHDD、スマートフォンのデータ復元に対応しているソフトもあります。復元したい機器に合わせて対応しているソフトを選択しましょう。
データバックアップサービス大企業向け3選
特に企業では、業務に必要なデータを定期的にバックアップすることが重要です。まずは大企業向けのデータバックアップサービスを3つ紹介します。
box
サイトhttps://www.box.com/ja-jp/home
box社が提供しているサービスです。Starter・Business・Business Plus・Enterpriseの4つのプランがあり、Starter以外のプランではストレージ容量が無制限で、最大ユーザ数にも上限がありません。Microsoft 365やGoogle WorkSpaceなどを含めた1,500種類以上のアプリと統合可能で、ファイル操作もBox内で行えるため、生産性を損なうことはありません。
USEN クラウドバックアップサービス
サイトhttps://www.gate02.ne.jp/service_cloud/backup/
日本のUSEN ICT Solutions社が提供しているクラウドバックアップサービスです。バックアップ可能なデータ保存容量が10GBから8TBまで選択可能で、細かくコースが分類されています。全てのコースで利用可能台数が無制限であるため、保存すべきデータ量は少量でも、コンピュータ数が多い企業におすすめのバックアップサービスです。
Acronis Cyber Backup
サイトhttps://www.acronis.com/ja-jp/business/backup/
Acronis International社が提供しているサービスです。StandardとAdvancedの2つのプランが選択できます。それぞれコンピュータ1台ずつの契約となるため、バックアップ可能なデータ容量に制限はありません。サーバやワークステーションに加えて、仮想ホストやMicrosoft 365など保存したいデータの所在に合わせて、年額のコストが柔軟に変化します。このような個別の契約が可能な点も、Acronis Cyber Backupの特徴です。
データバックアップサービス中小企業向け3選
中小企業向けのデータバックアップサービスを3つ紹介します。
AOSBOX Business
サイトhttps://www.aosbox.com/business/
AOSデータ株式会社が提供しているサービスです。ローカルストレージに加えて、コールドクラウドストレージと通常クラウドストレージの3か所にデータ保存が可能な、トライブリッドバックアップを採用しています。データの暗号化を3重にすることで強固なセキュリティも維持しています。ライセンスはストレージ容量が100GBから1TBまでの4段階の「通常ストレージプラン」と、1TBから5TBまでの大容量のコールドストレージプランが用意されています。
BackStore
サイトhttps://www.backstore.jp/insync/index.html
株式会社ねこじゃらしが提供しているデータバックアップサービスです。サーバや回線の設定せずに10分で導入できる手軽さが特徴です。またサーバー・クライアントの区別なく、データを自動的にクラウドへバックアップします。プランはサーバ・NASを保護するサーバープランと、エンドポイントを保護するエンドポイントプランの2種類が用意されています。
サーバープランはBusiness・Enterprise・Eliteの3つのプランがあり、対応している機能に違いがありますが、クラウド使用量は全て1TBから無制限まで対応しています。契約容量よりも使用した容量が少ない場合は、余った分の持ち越しが可能です。
エンドポイントプランは、月額1,000円のBusinessプランから月額2,400円のElite Plusプランまでの4つのプランが選択できます。Businessプランは最大500ユーザまでですが、初回契約時に25ユーザ必要です。それ以下のユーザ数で利用する場合は、1アカウントで4台までの使える、小容量プランがおすすめです。
torocca!
サイトhttps://saas.gmocloud.com/service/backup/
月額500円から利用できる、お手軽なクラウドバックアップサービスです。こちらはWebサイトやデータベースを対象にバックアップとリカバリーを提供しています。ディスク容量によりライトプランからエンタープライズプランまで4つのプランから選択できます。最大で30世代まで差分バックアップだけを取得するため、データバックアップに必要な時間が短くすみます。バックアップ対象となるWebサイト数に制限はありません。
データバックアップサービスを選ぶ際の注意点
データバックアップサービスを選択する際には、以下の5つに注意しましょう。
性能
保存可能データ容量などの性能について予め把握しておきましょう。現状でバックアップすべきデータ容量を予め把握することが重要です。コンピュータの台数と、コンピュータ1台当たりの使用データ使用容量がわかれば、おおよその見当がつきます。
大容量が必要だったり、そもそも必要な容量がわからなかったりする場合は、データ容量無制限のサービスを選択するのも一つの方法です。
動作の軽さ
データのバックアップ実行時の動作の軽さもバックアップサービス選択時の重要ポイントです。CPUの使用率に加えて、メモリの使用率やネットワークの帯域使用率にも注目しましょう。
価格・インストール台数
1ライセンス当たりの価格や、インストール台数にも気をつけましょう。低価格なサービスではインストール台数に制限が設けられているケースがあります。またサービス提供会社が同じでも、利用できる機能によって価格が異なることもあります。自社に必要な機能が提供されているか、そして利用可能なプランの価格は予算以内に収まっているかなどを予め確認しておきましょう。
具体的に運用可能か
そもそも導入を検討しているデータバックアップサービスが自社で運用可能かどうか確認しましょう。例えば社内ネットワークで稼働しているサーバに導入したい場合、OSやネットワーク構成がデータバックアップサービスにて対応しているかどうかの確認は必須です。クラウド上にデータを保存するのを避けたい場合は、クラウド以外の社内ネットワーク上のサーバなどにバックアップ可能なサービスを選ばなければなりません。
まとめ
データ復元・バックアップソフトの選び方から、企業規模別におすすめのデータバックアップサービスを紹介しました。パソコンの故障やランサムウェアによる不本意なデータの暗号化のための対策として、日頃からデータをバックアップすることが推奨されていますが、バックアップされたデータを復元する方法を知らない人もいるかもしれません。
しかしデータ復元の方法がわからなければ、バックアップを保存する意味がないため、データの復元方法についても予め確認しておきましょう。特にデータバックアップサービスを導入する場合は、導入前にサービスの運用方法について詳しくヒアリングし、自社にふさわしいサービスであるかどうかの検討が重要です。
