
HDD(ハードディスク)は、安価で大容量のデータを保存できるため、パソコンの記憶メディアとして広く普及しています。しかし、HDDは実は「世界一精密な機器」と言われるほどデリケートなものであり、その寿命も3~5年程度といわれています。
とくに購入から年数が経っていたり、落下のような物理的衝撃を与えて異音が生じ始めた場合、HDDが物理的に壊れかけている合図であるため、適切な対応を行わないと復旧が困難になる恐れがあります。
本記事では異音の種類・原因を交えて、HDDから異音が発生した時の適切な対処方法を紹介します。
HDD(ハードディスク)の異音の種類
HDDから出る音には、異常な場合と正常な場合があります。それぞれの特徴について解説します。
異常な音
HDDから以下の異音が発生している場合は、今すぐにパソコンの電源を切り、データの要不要に応じて専門業者に対応を依頼しましょう。
シャー、シーッ
HDD本体から「シャー、シーッ」という擦ったり引きずったりするような異音が生じる場合、何らかの故障によりHDD内部の部品同士が接触して、ディスクの回転に異常が生じていることが考えられます。
カチカチ、カタカタ、ガキッ、キュルキュル、カコンカコン
HDD本体から「カチカチ」「カタカタ」「キュルキュル」などの異音が聞こえる場合、データを読み書きする各パーツが故障し、後述する「物理障害」が発生していることが考えられます。
もし、メーカーに相談後「修理の必要がある」と判断された場合は必ずデータ消失の有無について確認しましょう。基本的に修理に出すと初期化されてしまい、中のデータは失われてしまいます。
カチャカチャカチャ、カックンカックン
HDD本体から「カチャカチャカチャ、カックンカックン」という激しい異音が連続して聞こえる場合、HDDが完全に故障する寸前であることが考えられます。
このような音が聞こえてくる場合、アクセスすればするほどHDDの死期が近づいてしまいます。また、無理にデータを取り出そう試みると状態が悪化し、専門の業者でもデータ復旧が困難になってしまいます。
なお、こうした「異音が生じる障害」は、個人での修復およびデータ復旧は不可能です。もし救出したい重要なデータがある場合は、むやみに操作を加えず、「専門設備」や「対応実績」など技術力が豊富なデータ復旧サービス業者に相談・依頼することを推奨します。
データ復旧サービス業者の詳細については以下のページをご覧ください。
HDD(ハードディスク)の動作音が全くしない
異音とは反対に、HDDの電源を入れても動かない、動作音が全くしないというケースもあります。この場合、HDDのディスクを回転させるモーターに障害が発生している可能性があります。
HDDは電源が入ると、モーターがディスクを回転させ、一定速度まで回転数を上げていきます。これを「スピンアップ」と言いますが、HDDのモーターに障害が発生すると、そもそもディスクの回転自体が不安定になります。電源の供給やUSB接続が正しく行えているにも関わらず、HDDが不安定なスピンアップを繰り返す、動作音が全くしないといった場合、モーター障害を疑った方がいいでしょう。
モーター障害も、HDDの物理障害に分類され、駆動を続けると状態が悪化する可能性の高い障害です。この症状が発生した際は、なるべく早い段階でHDDの電源を切ることをおすすめします。
正常な音
カリカリ、ジージー
これはHDDがデータを読み書きする際に発生する「正常なシーク音」です。
非常に特徴的な音ですが、HDDに障害が発生しているわけではないので、安心してください。ただし、この音が鳴っているときに振動を与えたり、強制シャットダウンを行ったりすると、後述する「物理障害」が発生する恐れがあるため、注意してください。
ブーン
これはHDDでなくパソコンを冷却させるファンの回転音です。
ただし、音が大きくなりすぎているときは経年劣化が進んでいるか、内部にホコリが溜まり過ぎていることも考えられます。トラブルが発生する前に、早めのバックアップやクリーニングをおすすめします。
HDD(ハードディスク)から異音がする原因
HDDから異音が発生している場合、原則として「物理障害」が発生していることが考えられます。
物理障害とは「物理的衝撃」「落雷によるショート」「経年劣化」などが理由で、HDDのパーツが物理的に破損し、正常に起動しない状態を指します。
以下に、HDDから異音が発生する原因となる物理障害を紹介します。
磁気ヘッド障害
HDDの磁気ヘッドとは、データの記録面(プラッタ)に読み書きを行う装置のことです。
障害を起こした磁気ヘッドは不規則な動作をして「カチカチ」「カタカタ」と異音を発します。この状態で通電を続けると、プラッタに傷(スクラッチ)がつく「重度物理障害」を引き起こすリスクが高く、修理・データ復旧ともにハードルが著しく上がってしまいます。
ファームウェア異常
ファームウェアとはHDDを動作させるプログラムです。
ただし、経年劣化による不良セクタなどでファームウェアが不具合を起こすと、磁気ヘッドは正常にデータを読み書き出来なくなり、磁気ヘッド障害とよく似た「カチカチ」「カタカタ」などの異音が生じます。
なお、ファームウェア異常は、他の物理症状との判別が難しく、原因を特定しにくい傾向にあります。またファームウェアは、メーカ・製品・製造時期ごとに構造が異なるため、正確な診断と手順を行わなければ、ファームウェア異常は修復することが出来ません。つまり、ファームウェア解析に対応できる業者は「技術力」を測るうえでの非常に重要な指標になるといえるでしょう。
HDD(ハードディスク)に異音がするときの注意点
HDDに異音がする時は症状が悪化している可能性が高いため、対処をする時も注意が必要です。
対処法を試すときは以下の注意点を確認し、慎重に対処をしましょう。
- 通電し続けない
- 電源のON・OFFを繰り返さない
- 他のパソコンにつなぐ
- 分解はNG
- HDD(ハードディスク)を叩いて様子を見る
- 修復ツールでは対応不可能
通電し続けない
HDDから異音が発生している状態で、通電し続けることは非常に危険です。
なぜなら、物理障害が起きている状態で通電を行うと、HDDに読み書きを行う「磁気ヘッド」が不規則に動作して、HDDの記録面である「プラッタ」と衝突してしまいます。結果、記録されているデータが破壊され、データ復旧・修理ともに困難となってしまいます。
HDDから異音が生じている時には、出来る限り通電を避けましょう。
電源のON・OFFを繰り返さない
HDDにとって最も負荷がかかるのが、電源を入れたり切ったりした時です。そのため、HDDから異音が発生した時は、電源のオンオフを避けましょう。また、異音の有無を問わず、HDDの状態が悪い時に、電源のオンとオフを繰り返しても、多くの場合で状態が悪化します。
他のパソコンにつなぐ
他のパソコンにつないで正常に起動するかを確かめることがありますが、接続するとHDDに負荷がかかります。
HDDから異音が鳴っている状態では特に症状が悪化し、最悪二度とデータが取り出せなくなってしまうかもしれません。意味なく繰り返し接続するのは控えましょう。
外付けHDDの復旧方法は以下の記事で紹介しています。
分解はNG
個人でむやみにHDDを分解して修理しようと思ってもうまく行きません。
なぜならHDDの分解作業には高度な技術力と防塵施設が必要であり、また各パーツ自体には障害がないファームウェア異常などの場合は、原因特定が個人では非常に困難であることが予想されるためです。
また、一度分解されたHDDはメーカー保障の対象外となってしまうほか、専門業者に修理依頼を出しても断られてしまうことがあります。
HDD(ハードディスク)を叩く
HDDが動かなくなると、叩いて動作確認する人がいますが、絶対にやめましょう。
異音が発生しているHDDでは、物理障害(内部の部品の損傷)が発生している可能性が高いので、通常より慎重な取り扱いが必要です。
叩く・落とすなどの衝撃を加えるとHDDの部品の損傷が悪化する危険性が非常に高いです。症状が悪化するとデータの取り出しが困難になります。
修復ツールでは対応不可能
HDDの異音に対する対策で「チェックディスク」や「デフラグ」などの修復ツールをかける行為は全く意味がありません。むしろHDDに異音が生じている状態で修復ツールのフルスキャンを実施すると、HDDにとどめを刺すトリガーとなってしまいます。
HDD(ハードディスク)から異音が聞こえた場合の対処法
HDDから異常な音が発生する「物理障害」は個人では対応できません。
データ不要で、機器が正常に動作させたい場合は「修理業者」に、データを取り出したい場合はデータ復旧業者に対応を依頼しましょう。
HDDの復旧方法は以下の記事で詳しく紹介しています。
修理業者に相談する
保存されているデータよりも、機器の起動を優先したい場合はパソコンのメーカーや修理専門業者に相談することをおすすめします。
パソコンの場合、HDDの交換を行ってもらうことで、機器を正常に動作させることが可能になります。パソコンの保証期間や費用面を調べ、安心できる修理専門業者を選びましょう。
ただしHDD修理は、あくまで「パソコンを使えるようにする」ことが目的なので、基本的に「データ」を保存しているHDDは初期化されてしまいます。もし大切なデータをHDDに保存している場合はデータ復旧業者に相談しましょう。
データ復旧業者に相談する
HDDに保存されているデータが必要な場合、専門のデータ復旧業者へ相談することをおすすめします。
ただし、データ復旧業者は国内に100社以上もあり、それぞれ技術力に大きい差があるため、業者を選定するにあたっては注意が必要です。
また、物理障害が起きている機器からデータを復旧する場合、手術室と同等の防塵施設(クリーンルーム)での作業が必要です。異音が発生しているHDDには基本的に「物理障害」が起きているため「論理障害」(データ自体の障害)しか対応していないデータ復旧業者では一切対応することができません。
業者を選ぶ際は「専門設備」や「対応実績」などを事前に確認し、障害機器にあった適切な業者を選ぶようにしましょう。
おすすめデータ復旧サービス
データが必要な場合、技術力のある適切な業者の選定といっても、素人には判断が難しいです。
そこで、データ復旧サービス各社の価格、内容(対応製品)、期間や特長から比較した、おすすめのサービスを紹介します。
デジタルデータリカバリー
公式HPデジタルデータリカバリー
デジタルデータリカバリーは、データ復旧国内売り上げNo.1のデータ復旧専門業者です。復旧率最高値は95.2%と非常に高い技術力を有しています。依頼の8割を48時間以内に復旧と復旧のスピードも優れています。また、官公庁や大手企業を含む累積36万件以上の相談実績があります。
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デジタルデータリカバリーの評判に関しては以下の記事で紹介しています。
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対応製品 | RAID機器(NAS/サーバー)、パソコン(ノート/デスクトップ)、外付けHDD、SSD、USBメモリ、ビデオカメラ、SDカード・レコーダー等記憶媒体全般 |
復旧期間 | 最短当日に復旧完了(本社へ持ち込む場合) 約80%が48時間以内に復旧完了 |
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デジタルデータリカバリーのさらに詳しい説明は公式サイトへ
データ復旧業者の料金形態は以下の記事で紹介しています。
まとめ
HDDから異音が発生した場合の対応方法、注意点などについて紹介しました。
パソコンから異音が聞こえる際は、経年劣化による物理障害が考えられ、この状態で通電を続けると、データが完全に消失してしまう恐れがあります。
大切なデータを取り出したい場合は「データ復旧の専門業者」に相談・依頼し、データ不要の場合は「修理業者やメーカー」に相談するか買い替えも視野に入れておきましょう。
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