
ハードディスク(HDD)の故障は、ファイルが壊れた・異音がする・焦げ臭い臭いがする・エラーメッセージが表示されるなどの症状から判断できます。
PCが故障する原因は様々ですが、ハードディスクが原因と特定できた場合に、ハードディスクを修理・修復する方法について紹介します。
この記事の目次
ハードディスク(HDD)の修理・データ修復方法
ハードディスク(HDD)が故障した場合に、ユーザ自身で修理・修復する方法を紹介します。
紹介する方法はいずれも、失敗するとハードディスク内のデータも消失してしまう可能性があるものです。ユーザ自身での修理・修復は、自己責任での実施となる点を了承の上、実行しましょう。
ディスクチェックとHDDの自動修復(Windows)
Windowsの場合、ハードディスクのエラーチェックをして、自動的に修復するオプション機能があります。操作の手順は次のとおりです。
「PC(コンピュータ)」を表示します。
チェックしたいハードディスクを右クリックし、プロパティを表示。ツールタブをクリックします。
エラーチェックの[チェック]をクリックします。
スキャンが開始されます。
再起動を要求される場合は再起動を行いましょう。エラーが検出された場合は、ファイルシステムを修復するためにコンピュータの再起動が必要というメッセージが表示されます。再起動すると、自動でシステムの修復が開始します。
ハードディスク(HDD)とメインボードの接続を確認
ハードディスクとメインボードの接続不良により、ハードディスクの動作にエラーが生じている場合があります。この場合、次の手順でハードディスクとメインボードが正しく接続できているかを確認します。
- PCの電源をオフにする
- PCのキャビネットを開ける
- ハードディスクに接続されているケーブルを取り外す
- ケーブルと端子部を掃除する
- ケーブルをハードディスクに再接続する
- メインボード側の端子部を掃除する
- メインボードにケーブルを再接続する
- PCの電源を入れて問題が解決したか確認する
ハードディスク(HDD)をフォーマットする
データの読み書きができない場合などは、ハードディスクのフォーマット(初期化)で問題が解消することがあります。ハードディスクの内容をすべて消去することで、OSがファイルに読み書きするために必要な基本情報をもう一度書き込むためです。
ただし、フォーマットする前には必ず全データをバックアップしましょう。フォーマットするとハードディスクに保存されていたあらゆるデータが消去され、取り戻すことができません。
ハードディスク内のデータを外付けハードディスクにバックアップします。その後「PC(コンピュータ)」を起動。
フォーマットしたいハードディスクを右クリックし、[フォーマット]をクリック。
[開始]をクリックします。
確認画面で「フォーマットするとこのディスクのすべてのデータが消去されます」というメッセージが表示されたら、[OK]をクリックします。バックアップからデータをコピーし完了です。
ディスクユーティリティ・First Aidを使用する(Mac)
Macには、アプリケーションが突然終了する・ファイルが破損している・外部機器が正常に動作しない・コンピュータが起動しないなどの問題を解決するユーティリティ、「ディスクユーティリティ(First Aid)」が組み込まれています。次の手順で問題の検出と修理・修復をします。
- バックアップする
「First Aid」実行によりデータを失う可能性があるため、必ずMac内のデータを他のハードディスクにバックアップしておきます。 - ディスクまたはボリュームを選択する
- [First Aid]をクリック
- [実行]をクリック
ハードディスク(HDD)のプリント基板・チップの交換
ハードディスク内には、電気信号の通信・管理を担うPCB(プリント基板)という緑色の部品があります。コンデンサ他、様々なチップが搭載されており、チップの足が折れたり、ショートして焦げたりすることもあります。
PCBの損傷はわかりやすく、電源を入れてもディスクが回転しません。PCBのチップを交換する場合は次の手順で行います。
- ドナーとなるPCB(プリント基板)を入手する
モデル番号・部品番号・ファームウェア・ラベル番号が、故障したPCBと全く同じドナー基盤を用意します。 - 故障したチップを交換する
故障したチップを取り外し、同じチップをドナー基盤から外して元の場所にはんだ付けします。 - ハードディスクをPCに戻し、作動確認する
PCB(プリント基板)・チップの交換には、はんだ付けなど非常に高い技術が要求されるため、専門業者以外で行うことはおすすめしません。
また、ドナー基盤の選択を誤ったり、交換するチップを取り違えてしまうと、故障していない部分の損傷やデータの消失が発生します。
ハードディスク(HDD)を修理・データ修復する際の注意点
ハードディスク(HDD)の修理・修復をユーザ自身で行う場合、次のような点に注意する必要があります。
通電し続けないように注意する
ハードディスクが故障している状態で、通電し続けないようにします。通電中は、ハードディスクの磁気ヘッドも動作し続けています。故障状態では磁気ヘッドが不規則な動作をする可能性があり、本来は接触するはずのないプラッター部と接触してしまう可能性があります。
プラッターは、ハードディスクの記録面です。磁気ヘッドとの接触によりプラッターが傷つくことで、記録されたデータも破壊されてしまいます。このため、ハードディスクの故障時には、通電を極力避けることが大切です。
電源のON・OFFを繰り返さない
ハードディスクが故障している状態で、電源を何度もON・OFFしないようにしましょう。通電し続けた場合と同じく、磁気ヘッドとプラッターが接触して、記録面を傷つけてしまう可能性がある他、データの上書きが発生し必要なデータが消失してしまうことがあります。データを読み込むことができない領域を不良セクタと言いますが、電源のON・OFFの繰り返しにより不良セクタがさらに拡大してしまいます。
ハードディスクにとって最も負荷が高いのが電源のON・OFFです。故障状態な上にさらに負荷を加えることで、ハードディスクの故障が拡大してしまいます。
分解はNG
プリント基板・チップの交換方法などを説明してきましたが、分解を伴う作業をユーザ自身で行うことは推奨しません。ハードディスクの分解には深い知識が必要な上、ユーザが一度分解してしまうと、そのPC・ハードディスクはメーカーの保証対象から外れてしまうことがあります。
専門業者がハードディスクを分解するときは、必ず専用のクリーンルーム内で行います。ハードディスクは精密部品で構成されており、小さな塵やホコリも故障の原因になるためです。深い専門知識や分解に適した環境のない場所でハードディスクの分解作業を行うことで、余計に故障箇所が増えたり、内部のデータが破損したりすることがあります。
エラーチェックで修復できるのは軽度の障害のみ
データを読み込むことができない領域である、不良セクタも解消してくれるWindowsのエラーチェック・自動修復の機能は非常に便利ですが、解消できるのは軽度の不良セクタのみです。エラーチェックで不具合が改善しない場合は、物理的な損傷が発生している可能性が高いです。エラーが修復しないからといって、何度もエラーチェック・自動修復を実行しないようにしましょう。
個人でデータ復旧を行う場合は注意
紹介したハードディスクの修理・修復方法は、データのバックアップやデータの復旧はユーザ自身で行う前提です。
ハードディスクの故障によりデータも破損していた場合、データ復旧ソフト等でデータの復旧作業をすることになります。データ復旧ソフトによるデータ復旧は、成功すれば問題ないのですが、失敗すると情報の上書きなどが発生し、本来復旧できるはずのデータも失ってしまいます。”データの復旧作業は一発勝負”と言われており、ユーザ自身によるデータ復旧作業で一度失敗している場合、データ復旧専門の業者でもデータを取り戻すのが困難な場合があります。
ハードディスク内にどうしても取り出したいデータがある場合は、一切の修理・修復作業を行わずに、まずデータ復旧の専門業者にデータの取り出しを依頼しましょう。
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ハードディスク(HDD)故障の種類
ハードディスクの故障は、次の2つに分類できます。
論理障害
ハードディスク自体には問題がないものの、記録されているデータが破損して障害が発生するのが「論理障害」です。論理障害があるハードディスクでは、OSを起動できない・ファイルやフォルダが開けない・勝手にファイル名が書き変わるなどの不具合が発生します。ハードディスク自体は正常に起動することもあるため、次に紹介する物理障害よりも障害に気づきにくく、発覚が遅れがちです。
論理障害の原因には次のようなものがあります。
- ハードディスクの経年劣化によるプログラムファイルの破損
- マルウェアへの感染によるプログラムの破損
- 誤操作によるデータ消去や初期化
物理障害
ハードディスクが物理的に破損したために発生する障害が、「物理障害」です。ハードディスクは様々な部品で構成されていますが、これらのいずれかが破損することで不具合が発生します。
物理障害が発生すると、異音や異臭・発熱・フォーマットが促される・BIOSがハードディスクを認識しない・OSが起動しない・頻繁に再起動するなどの症状が現れます。
物理障害の原因には次のようなものがあります。
- 振動や衝撃・熱暴走
- 高い場所からの落下や水没
- 長時間の使用による経年劣化
また、これら2つ以外では、ケーブルの接続不良はハードディスクの故障と勘違いしがちであるため要注意です。
ハードディスク(HDD)の故障を見極めるポイント
PCの調子が悪いとき、原因がハードディスク(HDD)にあると見極めるポイントはどのような点になるでしょうか。ハードディスクが故障しているときには次のような兆候が現れます。
異音が発生している
“カチカチ”・”カタカタ”という異音は、ハードディスクの磁気ヘッドが壊れていたり、本来接触しないはずの部品同士が干渉している場合に発生します。異音がする場合は、ハードディスクがすでに故障しているか、故障しかけている状態です。
起動時にメッセージが表示される
ハードディスクを起動したときに、エラーメッセージが表示され、正常に起動できないことがあります。
再起動することでエラーメッセージが発生しなくなることもありますが、ハードディスクの故障の予兆である可能性もあるため、放置してはいけません。
エラーメッセージ以外にも電源ランプやハードディスクランプが赤色点灯したり、点滅している場合もハードディスクに異常が発生している可能性があります。エラーメッセージやランプの点灯・点滅はPCやハードディスクごとに異なります。付属の説明書で内容を確認しておきましょう。
焦げたような臭いがする
PCから焦げたような臭いがする場合、ハードディスク内部のPCB(プリント基板)のチップがショートして基盤が焦げている可能性があります。”パチッ”と火花が散るような音がしたり、煙が出たり、PC本体やハードディスクが触れないほどの高温になることもあります。この状態で使い続けていると、火災の原因になることがあるため、すぐにPCの電源を切ってください。
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まとめ
ハードディスク(HDD)を修理・修復する方法について紹介してきましたが、ハードディスク内のデータの保持や取り出しという観点では、いずれの作業もデータ消失のリスクが高いものです。
ハードディスク内に維持すべきデータが保存されている場合は、ユーザ自身での修理・修復作業は推奨しません。ハードディスクに通電し続けたり、電源のON・OFFを繰り返すことで、データの修復可能性が低下していきます。
ハードディスクが故障したと分かった時点で、電源をすぐに落とし”何もしない状態で”データ復旧の専門業者に相談しましょう。