インターネットを利用する上で、ドライブバイダウンロード攻撃は大きな脅威となっています。
ドライブバイダウンロードとは、ユーザーが意図せずに不正なプログラムをダウンロードさせられてしまう攻撃手法のことを指します。この記事では、ドライブバイダウンロードの仕組みや種類、対策方法について詳しく解説します。
また、最近のドライブバイダウンロード攻撃の動向として、攻撃の巧妙化やモバイルデバイスへの攻撃増加、ゼロデイ脆弱性を利用した攻撃などについても触れていきます。
ビジネスパーソンの皆さんには、日頃からセキュリティ対策を怠らず、安全なインターネット利用を心がけていただきたいと思います。
ドライブバイダウンロードとは?
ドライブバイダウンロードの定義と概要
ドライブバイダウンロードとは、ユーザーが意図せずにマルウェアなどの不正なプログラムをダウンロードさせる手法のことを指します。
ユーザーが Web サイトにアクセスしたり、メールの添付ファイルを開いたりするだけで、気づかないうちに不正なプログラムがダウンロードされ、インストールされてしまうのがドライブバイダウンロードの特徴です。
ドライブバイダウンロードは、ユーザーの意図しない動作を引き起こすため、非常に危険な攻撃手法の一つとされています。攻撃者は、ドライブバイダウンロードを利用して、パソコンにマルウェアを感染させ、個人情報の窃取やシステムの破壊などの被害を引き起こすことができます。
ドライブバイダウンロードの仕組み
ドライブバイダウンロードは、以下のような仕組みで実行されます。
- 攻撃者が、不正なプログラムを仕込んだWebサイトを用意する。
- ユーザーが、そのWebサイトにアクセスする。
- Webサイト上のスクリプトが実行され、ユーザーのパソコンに不正なプログラムがダウンロードされる。
- ダウンロードされた不正なプログラムが、ユーザーの気づかないうちに実行される。
ドライブバイダウンロードでは、主に以下のような手法が用いられます。
手法 | 概要 |
---|---|
脆弱性を突いた攻撃 | WebブラウザやOSの脆弱性を利用して、不正なプログラムをダウンロード・実行させる。 |
ソーシャルエンジニアリング | メールの添付ファイルを装った不正なプログラムを開かせ、ダウンロード・実行させる。 |
正規サイトの改ざん | 正規のWebサイトを改ざんし、不正なプログラムをダウンロードさせる。 |
ドライブバイダウンロードが悪用される理由
ドライブバイダウンロードが攻撃者に悪用される理由は、以下のようなものがあります。
- ユーザーの意図しない動作を引き起こせるため、気づかれにくい。
- Webサイトやメールを媒介にして、簡単に不正なプログラムを拡散できる。
- 脆弱性を突いた攻撃では、ユーザーの操作なしで不正なプログラムを実行できる。
- 標的型攻撃に利用され、特定の組織や個人を狙った攻撃が可能となる。
ドライブバイダウンロードは、巧妙化・複雑化する傾向にあり、対策が難しい攻撃手法とされています。ユーザーは、OSやソフトウェアを常に最新の状態に保ち、信頼できないWebサイトやメールの添付ファイルを安易に開かないなど、日頃からセキュリティ対策を心がける必要があります。
ドライブバイダウンロード攻撃の種類
ウェブサイトを介した攻撃
ウェブサイトを介したドライブバイダウンロード攻撃は、不正なスクリプトが埋め込まれたウェブサイトにユーザーがアクセスすることで発生します。
攻撃者は、脆弱性のあるウェブサイトを改ざんしたり、不正なスクリプトを含むバナー広告を配信したりすることで、ユーザーのブラウザ上で不正なプログラムをダウンロードさせます。
この種の攻撃では、ユーザーの操作なしで自動的に不正なプログラムがダウンロードされるため、気づかれにくいのが特徴です。
メールを介した攻撃
メールを介したドライブバイダウンロード攻撃では、攻撃者が不正なプログラムを添付したメールをユーザーに送信します。メールの本文には、添付ファイルを開くよう巧みに誘導する文章が書かれていることが多いです。ユーザーが添付ファイルを開くと、不正なプログラムがダウンロードされ、実行されてしまいます。
また、メールの本文中にリンクが含まれていて、そのリンク先のウェブサイトにアクセスさせるパターンもあります。リンク先のウェブサイトには、不正なスクリプトが仕込まれていて、アクセスするだけで不正なプログラムがダウンロードされる仕組みになっています。
ソーシャルエンジニアリングを利用した攻撃
ソーシャルエンジニアリングを利用したドライブバイダウンロード攻撃は、人間の心理的な弱点につけ込んで不正なプログラムをダウンロードさせる手法です。例えば、以下のような手口が用いられます。
- 有名企業を装ったメールを送り、添付ファイルを開かせる。
- セキュリティソフトのアップデートを装い、不正なプログラムをダウンロードさせる。
- 無料ソフトウェアのインストーラを装い、同意なくマルウェアをインストールさせる。
ソーシャルエンジニアリングでは、人間の信用や好奇心、恐怖心につけ込んで攻撃が行われるため、技術的な対策だけでは防ぐことが難しいのが特徴です。
ユーザー自身が、不審なメールやソフトウェアに惑わされないよう、日頃から注意を払うことが重要となります。
以上のように、ドライブバイダウンロード攻撃には様々な種類があります。攻撃者は、ユーザーの意図しない動作を巧みに誘発し、気づかれないうちに不正なプログラムをダウンロード・実行させます。ユーザーは、OSやソフトウェアを最新の状態に保つとともに、不審なウェブサイトやメールには十分注意を払い、セキュリティ対策を怠らないことが肝要です。
ドライブバイダウンロード対策
セキュリティソフトの導入と設定
ドライブバイダウンロード攻撃から身を守るためには、まずセキュリティソフトの導入が不可欠です。ウイルス対策ソフトやファイアウォールなどを利用し、不正なプログラムのダウンロードを防ぐことが重要です。
また、セキュリティソフトは常に最新の状態に保ち、定期的にスキャンを実行することで、脅威を早期に発見し、対処することができます。
セキュリティソフトの設定では、以下の点に注意しましょう。
- リアルタイム監視機能を有効にする。
- ファイアウォールで不要なポートを閉じる。
- 不審なプログラムのダウンロードをブロックする設定にする。
- Webサイトの安全性を評価する機能を活用する。
OSとソフトウェアの定期的な更新
ドライブバイダウンロード攻撃では、OSやソフトウェアの脆弱性が悪用されることがあります。これらの脆弱性を放置していると、攻撃者に付け入る隙を与えてしまいます。
OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つことで、既知の脆弱性を解消し、攻撃のリスクを減らすことができます。
特に、以下のようなソフトウェアは、定期的に更新することが重要です。
ソフトウェア | 理由 |
---|---|
OS | セキュリティパッチが提供され、脆弱性が解消されるため。 |
Webブラウザ | 脆弱性を狙った攻撃が多いため。 |
Adobe製品 | 脆弱性を狙った攻撃が多いため。 |
オフィスソフト | マクロ機能などを悪用した攻撃があるため。 |
不審なウェブサイトやメールへの注意
ドライブバイダウンロード攻撃では、不正なプログラムを配布するためのウェブサイトが用意されていたり、メールの添付ファイルとして不正なプログラムが送られてきたりします。
こうした不審なウェブサイトやメールには十分注意し、安易にアクセスしたり、添付ファイルを開いたりしないことが大切です。
不審なウェブサイトやメールへの対策として、以下のような点に気をつけましょう。
- 信頼できないウェブサイトにはアクセスしない。
- メールの添付ファイルは、送信元が不明な場合は開かない。
- メールに記載されたリンクは、安易にクリックしない。
- オンラインストレージなどのサービスで共有されたファイルは、信頼できる場合のみダウンロードする。
また、ウェブサイトの安全性を評価するブラウザの機能や、フィッシング詐欺対策機能を持つセキュリティソフトを活用することも効果的です。
ドライブバイダウンロード攻撃は、巧妙化・複雑化する傾向にあり、完全に防ぐことは難しいのが現状です。しかし、セキュリティソフトの導入や、OSとソフトウェアの更新、不審なウェブサイトやメールへの注意といった基本的な対策を行うことで、被害のリスクを大幅に減らすことができます。ビジネスパーソンの皆さんには、日頃からセキュリティ対策を心がけていただき、安全なインターネット利用を心がけていただきたいと思います。
ドライブバイダウンロードに関する最新動向
ドライブバイダウンロード攻撃の巧妙化
近年、ドライブバイダウンロード攻撃は巧妙化している傾向にあります。攻撃者は、より高度な技術を用いて不正なプログラムを配布するようになっており、ユーザーが気づかないうちに感染してしまうケースが増えています。例えば、正規のWebサイトを改ざんして不正なスクリプトを埋め込んだり、脆弱性を突いた攻撃を行ったりするなど、様々な手口が確認されています。
モバイルデバイスへの攻撃増加
スマートフォンやタブレットの普及に伴い、モバイルデバイスを対象としたドライブバイダウンロード攻撃が増加しています。
モバイルデバイスは、PCと比べてセキュリティ対策が不十分な場合が多く、攻撃者にとって格好のターゲットとなっています。
不正なアプリケーションを配布したり、脆弱性を突いた攻撃を仕掛けたりすることで、ユーザーのデバイスに不正なプログラムをダウンロードさせる手口が確認されています。
ゼロデイ脆弱性を利用した攻撃
ゼロデイ脆弱性とは、ソフトウェアやシステムに存在する未知の脆弱性のことを指します。この脆弱性を突いた攻撃は、非常に危険度が高いとされています。
攻撃者は、ゼロデイ脆弱性を発見すると、修正パッチが提供されるまでの間に、脆弱性を悪用した攻撃を仕掛けてきます。
ドライブバイダウンロード攻撃においても、ゼロデイ脆弱性を利用して不正なプログラムを配布する事例が報告されており、注意が必要です。
このように、ドライブバイダウンロード攻撃は、巧妙化・高度化している傾向にあります。ビジネスパーソンの皆さんには、最新の攻撃動向を把握し、適切なセキュリティ対策を行っていただくことが重要です。OSやソフトウェアを最新の状態に保ち、不審なWebサイトやメールには十分注意を払うなど、日頃からセキュリティ意識を高く持つことが求められます。
まとめ
ドライブバイダウンロード攻撃は、ユーザーの意図しない動作を巧みに誘発し、気づかれないうちに不正なプログラムをダウンロード・実行させる危険な手法です。攻撃者は、脆弱性を突いたり、ソーシャルエンジニアリングを利用したりして、ウェブサイトやメールを介して攻撃を仕掛けてきます。こうした攻撃から身を守るには、セキュリティソフトの導入や、OSとソフトウェアの定期的な更新、不審なウェブサイトやメールへの注意が欠かせません。
また、最近ではモバイルデバイスへの攻撃も増加しており、ゼロデイ脆弱性を利用した巧妙な手口も確認されています。
ビジネスパーソンの皆さんには、日頃からセキュリティ意識を高く持ち、適切な対策を講じていただくことが重要です。