キーロガーとは?種類から感染経路・検出方法・デバイス別対策まで初心者向けに解説|サイバーセキュリティ.com

キーロガーとは?種類から感染経路・検出方法・デバイス別対策まで初心者向けに解説



「キーロガーって何のこと?」「感染しているかどうかどうやって調べるの?」「iPhoneでも感染するの?」——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。キーロガーとはキーボードの入力内容を記録・送信するソフトウェアまたはハードウェアのことで、パスワードやクレジットカード情報を盗む目的で悪用されます。本記事ではキーロガーの種類・感染経路・検出方法・PC・iPhone・Android別の対策まで初心者向けにわかりやすく解説します。

先に結論を言うと
キーロガーにはソフトウェア型とハードウェア型の2種類があり、ユーザーが気づかないまま入力情報を窃取します。セキュリティソフトの導入・OSの最新化・不審なリンクをクリックしない習慣が基本対策ですが、ハードウェア型はセキュリティソフトでは検出できないため物理的な確認も重要です——これがポイントです。

キーロガーとは

キーロガーの意味と語源

キーロガー(Keylogger)とは「キーストロークロガー(Keystroke Logger)」の略で、コンピューターのキーボードで入力されたすべてのキーストローク(キーの押下)を記録するソフトウェアまたはハードウェアのことです。「Key(キー入力)」と「Logger(記録するもの)」を組み合わせた言葉です。

キーロガーが起動している状態では、ユーザーがキーボードで入力したすべての文字列——パスワード・クレジットカード番号・メールの内容・検索キーワードなど——が記録されます。記録されたデータは攻撃者のサーバーに送信されて悪用されます。

合法的な用途と悪意ある用途の違い

キーロガー自体は本来悪意のある技術ではなく、合法的な用途にも使われています。

合法的な用途としては、企業が従業員の業務端末を監視するための内部統制ツール・ペアレンタルコントロール(子どものPCの使用状況を保護者が確認する)・IT管理者がシステムの動作ログを取得するためのツール・タイピングの練習ソフトなどがあります。

問題となるのは、本人の同意なくインストールして入力情報を盗む目的で使用される場合です。このようなキーロガーはマルウェアの一種として扱われ、不正競争防止法や不正アクセス禁止法などの法律に違反します。

キーロガーが危険な理由

キーロガーの最大の危険性は「ユーザーが気づかないまま被害が進む」点にあります。通常のマルウェアはシステムの動作を妨害したり異常な挙動を示したりするため比較的早期に気づけますが、キーロガーはバックグラウンドで静かに動作し、パフォーマンスへの影響も最小限に抑えられています。

入力するだけで情報が盗まれるため、パスワード・口座番号・個人情報など機密性の高いあらゆる情報が標的になります。

キーロガーの種類

ソフトウェア型キーロガー

ソフトウェア型キーロガーはOSやアプリケーションとしてインストールされ、バックグラウンドでキー入力を監視・記録するタイプです。最も一般的なキーロガーの形式で、以下のような種類があります。

APIフックキーロガーはWindowsのキーボードAPIに割り込んで入力を記録します。カーネルレベルキーロガーはOS(カーネル)の深い部分に組み込まれるため検出が困難です。フォームグラバーはWebフォームに入力されたデータを送信前に横取りします。Javascriptベースキーロガーは悪意あるWebサイトのスクリプトとしてブラウザ上で動作します。

フィッシングメール・不正なWebサイト・フリーソフトへの混入などを経由してインストールされます。スマートフォンにも感染するものがあります。

ハードウェア型キーロガー

ハードウェア型キーロガーはキーボードとPCの間に物理的に接続する小型デバイスです。USBポートに挿し込む「USB型」とキーボードケーブルに割り込む「インライン型」が代表的です。

電源不要で動作するものが多く、見た目も市販のUSBアダプターに似ているため発見が非常に難しい点が特徴です。セキュリティソフトではまったく検出できず、物理的な目視確認が唯一の対策です。公共のPC・会社の共用端末・ホテルのビジネスコーナーなどで設置されている可能性があります。

ソフトウェア型とハードウェア型の比較表

比較項目 ソフトウェア型 ハードウェア型
設置方法 OSにインストール キーボードとPCの間に物理設置
感染経路 フィッシング・不正サイト・フリーソフト 物理的なアクセスが必要
対象デバイス PC・スマートフォン 主にPC(デスクトップ)
セキュリティソフトでの検出 可能 不可能
発見の難しさ 中程度 非常に難しい
除去方法 セキュリティソフト・OS再インストール 物理的に取り外す

キーロガーの感染経路

フィッシングメール・不正な添付ファイル

実在する企業や公的機関を装ったフィッシングメールに添付されたファイルを開くことでキーロガーがインストールされます。「重要なお知らせ」「アカウントの確認が必要です」といった文面で不安をあおり、添付ファイルや記載のリンクをクリックさせる手口が典型的です。WordやPDFを装ったファイルに悪意あるマクロやスクリプトが埋め込まれているケースも多くあります。

不正なWebサイト・ドライブバイダウンロード

正規のサイトに見せかけた偽サイトや、改ざんされた正規サイトにアクセスするだけでキーロガーがダウンロード・インストールされる「ドライブバイダウンロード」攻撃があります。ブラウザやプラグインの脆弱性を突いて実行されるため、OSやブラウザを最新の状態に保つことが重要です。

フリーソフト・アプリへの混入

非公式サイトや信頼性の低いサイトで配布されているフリーソフト・ゲーム・ツールにキーロガーが同梱されているケースがあります。インストール時に同意を求める形で付随ソフトとして導入されるケースもあります。スマートフォンでは非公式ストアや野良アプリからのインストールが感染経路になります。

物理的な接続(ハードウェア型)

ハードウェア型キーロガーはPC本体またはキーボードのUSBポートに物理的にアクセスできる人物によって設置されます。オフィスの共用PC・公共の図書館・ホテルのビジネスコーナーなど、不特定多数が使用するPCで設置されるリスクが高くなります。

キーロガーによる被害

パスワード・認証情報の窃取

キーロガーが記録する情報の中で最も深刻な被害につながるのがパスワードなどの認証情報の窃取です。ネットバンキング・オンラインショッピング・SNS・業務システムなど、あらゆるサービスのログイン情報が盗まれる可能性があります。盗まれたパスワードは不正ログイン・アカウント乗っ取り・なりすましに悪用されます。

クレジットカード・金融情報の漏洩

ネットショッピングや決済の際にフォームに入力したクレジットカード番号・有効期限・セキュリティコードが記録されて盗まれます。盗まれたカード情報は不正購入や闇サイトでの売買に悪用されます。

企業の機密情報流出

業務PCに感染したキーロガーは社員が入力する社内システムの認証情報・取引先とのメールや交渉内容・設計書や財務データなどの機密情報をすべて記録します。企業を標的とした標的型攻撃でキーロガーが使われるケースも多く、情報漏洩による損害は計り知れません。

有名な被害事例

2016年に発生したバングラデシュ中央銀行へのサイバー攻撃では、キーロガーを含む複数のマルウェアが使用されてSWIFT(国際銀行間通信協会)のシステムにアクセスするための認証情報が盗まれ、約81億円もの不正送金被害が発生しました。

また国内でも複数の大手企業がキーロガーを含む標的型マルウェアに感染し、取引先情報・設計データ・個人情報が漏洩した事例が報告されています。

キーロガーの検出方法

セキュリティソフトによる検出

ソフトウェア型キーロガーの検出には信頼性の高いセキュリティソフト(アンチウイルスソフト)が最も効果的です。最新のセキュリティソフトはキーロガーを含むスパイウェアの検出機能を備えており、リアルタイムスキャンで感染を早期に発見できます。定期的なフルスキャンも合わせて実施しましょう。

タスクマネージャーで不審なプロセスを確認する

Windowsの場合はCtrl+Shift+Escでタスクマネージャーを開き、実行中のプロセス一覧から見慣れないプロセス名・CPUやメモリを異常に消費しているプロセスを確認します。Macの場合はアクティビティモニタで同様の確認ができます。不審なプロセスを発見した場合はセキュリティソフトでスキャンを実施してください。

ネットワーク通信の監視

キーロガーは収集したデータを外部に送信するため、不審なネットワーク通信が発生します。ファイアウォールのログや通信監視ツールを使って外部への不審な通信がないか確認することも有効な検出手段です。

物理的な接続部分を確認する(ハードウェア型)

ハードウェア型キーロガーはセキュリティソフトでは検出できないため、定期的にPCのUSBポートやキーボードの接続部分を目視で確認することが唯一の検出方法です。特に公共のPC・共用のオフィスPC・ホテルのPCを使う際は使用前に接続部分を確認する習慣をつけましょう。

キーロガーへの対策(デバイス別)

PC(Windows・Mac)の対策

信頼性の高いセキュリティソフトを導入してリアルタイムスキャンを有効にすることが基本対策です。OSとブラウザ・ソフトウェアを常に最新の状態に保ちセキュリティパッチを適用することも重要です。フリーソフトは公式サイトや信頼できるサイトからのみダウンロードし、不審なメールの添付ファイルやリンクは絶対に開かないようにしましょう。

重要なアカウントには多要素認証(MFA)を設定することで、仮にパスワードが盗まれても不正ログインを防げます。また仮想キーボード(スクリーンキーボード)を使って重要情報を入力することで、ハードウェアキーロガーやAPIフック型のキーロガーへの対策にもなります。

iPhoneの対策

iPhoneはAndroidと比較してキーロガーへの感染リスクが低い構造になっていますが、ゼロではありません。iOSの特性上、正規のApp Store以外からアプリをインストールするとリスクが高まります。

iOSを常に最新バージョンにアップデートすることが最も重要な対策です。App Store以外からのアプリインストール(サイドロード)は避けましょう。信頼できないWi-Fiへの接続時はVPNを使用することで通信内容の保護につながります。

iPhoneに脱獄(ジェイルブレイク)を施した端末は通常のセキュリティ保護が無効化されるため、キーロガーを含むマルウェア感染リスクが大幅に上昇します。脱獄したiPhoneの使用は避けることを強く推奨します。

また「iPhoneがウイルスに感染しました」などと表示する偽の警告サイトが存在しますが、これはフィッシング詐欺の一種です。こうしたサイトで個人情報を入力したり不審なアプリをインストールしたりしないようにしましょう。

Androidの対策

AndroidはiOSより開放的なOSのためキーロガーを含むマルウェアの感染リスクが相対的に高くなります。Google Play以外の非公式ストアからのアプリインストールを避けることが最も重要な対策です。

Androidの設定で「提供元不明のアプリのインストール」をオフにしておきましょう。Google Play Protectを有効にしてアプリのスキャンが自動で行われるよう設定することも重要です。インストール時にアプリが要求する権限を確認し、不必要な権限(キーボードへのアクセスなど)を求めるアプリはインストールしないようにしましょう。

企業・組織として取るべき対策

企業環境ではエンドポイントセキュリティソリューション(EDR)を導入して端末の挙動を常時監視することが効果的です。標的型攻撃メール(フィッシングメール)の訓練を定期的に実施し、社員のセキュリティ意識を高めることも重要です。

業務PCでの私的なソフトウェアのインストールを禁止するポリシーを策定・徹底しましょう。公共の場所に設置された共用PCでの業務システムへのログインを禁止するルールも有効です。重要なシステムへのアクセスには多要素認証を必須とし、定期的なパスワード変更を義務付けることも対策の柱となります。

よくある質問(FAQ)

キーロガーはウイルスと同じ?

キーロガーはウイルスと完全に同じではありませんが、悪意ある目的で使用されるキーロガーはマルウェア(悪意あるソフトウェア)の一種として分類されます。ウイルスはファイルに自己複製して感染を広げますが、キーロガー自体は自己複製機能を持たないスパイウェアの一種です。ただしウイルスがキーロガー機能を持つこともあり、両者が組み合わさったマルウェアも存在します。

iPhoneはキーロガーに感染しにくい?

iPhoneはAndroidと比較して感染リスクが低いのは事実です。iOSはアプリのサンドボックス構造により、アプリが他のアプリのキー入力を傍受することが技術的に困難です。ただし脱獄(ジェイルブレイク)したiPhoneはこの保護が失われます。またiPhoneユーザーを狙ったフィッシング詐欺・偽サイトへの誘導といった手口はiOSでも有効なため、完全に安全とは言えません。

キーロガーに感染したと思ったらどうすればいい?

まず感染が疑われるデバイスをインターネットから切断し、情報の外部送信を止めましょう。次に別の安全なデバイスから主要なアカウントのパスワードをすべて変更してください。感染デバイスでは最新のセキュリティソフトを使ってフルスキャンを実施します。それでも不安な場合はOSの完全再インストールが最も確実な除去方法です。

まとめ

キーロガーとはキーボードの入力を記録して攻撃者に送信するソフトウェアまたはハードウェアで、ソフトウェア型とハードウェア型の2種類があります。ユーザーが気づかないまま被害が進む点が最大の危険性で、パスワード・クレジットカード情報・企業機密の流出につながります。

セキュリティソフトの導入・OSの最新化・不審なリンクを踏まない習慣がPC・スマホ共通の基本対策です。iPhoneは感染リスクが低いものの脱獄は厳禁で、最新iOSへのアップデートが最重要対策です。ハードウェア型はセキュリティソフトで検出できないため公共のPCでは接続部分の目視確認も行いましょう。

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