データの状態|サイバーセキュリティ.com

データの状態

データの状態(Data State)とは、データが保持されている位置や利用される状況に基づき、データを分類したものです。サイバーセキュリティや情報管理の分野においては、データが「保存(保管)」「転送」「使用」のいずれの状態にあるかに基づいて、適切な保護や管理が行われます。この分類により、データが置かれた状況に応じたリスクや脅威を分析し、適切な対策を講じることが可能となります。

データの状態の3つの種類

データの状態は、主に以下の3種類に分類されます。

1. 保管中のデータ(Data at Rest)

保管中のデータとは、データがシステムやデバイス上に静的に保存されている状態のことです。ハードディスク、SSD、クラウドストレージ、USBドライブ、バックアップ媒体などに保存されているファイルやデータベースのデータが該当します。この状態のデータは、外部からのアクセスや盗難に対しての対策が必要であり、データ暗号化やアクセス制御などの保護策が用いられます。

保管中のデータにおけるリスクと対策

  • リスク:物理的な盗難、データ漏洩、不正アクセス
  • 対策:データの暗号化、アクセス制御、ストレージのセキュリティ、バックアップの保護

2. 転送中のデータ(Data in Transit)

転送中のデータとは、ネットワークを通じて移動しているデータの状態を指します。たとえば、Webブラウザでアクセスする際のインターネット上のデータ通信、企業内ネットワークでのデータ転送、クラウド間のデータ同期などが該当します。この状態のデータは、通信経路上で盗聴や改ざんが発生するリスクが高いため、SSL/TLSによる暗号化やVPNなどのセキュアな通信手段で保護することが重要です。

転送中のデータにおけるリスクと対策

  • リスク:盗聴、改ざん、中間者攻撃(MITM攻撃)
  • 対策:SSL/TLS暗号化、VPN、セキュアな通信プロトコル(HTTPS、SSHなど)

3. 使用中のデータ(Data in Use)

使用中のデータとは、データがアクティブに利用され、システムのメモリ上で処理されている状態のことです。たとえば、アプリケーションが処理するデータや、リアルタイムで表示される機密情報などが該当します。この状態のデータは、メモリ内で一時的に保存されるため、他のプロセスやアプリケーションからの不正アクセスや不正操作によるリスクが存在します。

使用中のデータにおけるリスクと対策

  • リスク:データの不正な読み取り、プロセスメモリへのアクセス、スクリーンキャプチャ
  • 対策:メモリ内データの暗号化、アプリケーションレベルのアクセス制御、セキュアなプログラム開発、二要素認証

データの状態ごとの保護方法

データの各状態に応じて異なる保護方法が用いられます。以下は、各状態のデータを保護するための具体的な方法です。

1. 保管中のデータの保護

保管中のデータに対しては、データの暗号化やアクセス制御、バックアップ保護が重要です。例えば、重要データはAESなどの暗号方式で暗号化し、アクセス権限を設定することで、承認されたユーザーのみが閲覧できるようにします。また、定期的なバックアップと、そのバックアップデータの保護も必要です。

2. 転送中のデータの保護

転送中のデータには、データが通信経路上で傍受されないように、SSL/TLS暗号化やVPNの利用が推奨されます。データがインターネット経由で送信される場合、HTTPSでの接続を用いることで暗号化が施され、データの盗聴や改ざんが防止されます。

3. 使用中のデータの保護

使用中のデータは、システムやアプリケーションのメモリ内に存在するため、メモリ上での暗号化やアプリケーションのアクセス管理が必要です。また、特定の機密情報を処理するアプリケーションに対しては、二要素認証やセッション管理による保護も推奨されます。

データの状態管理の重要性

データの状態を把握し、それぞれの状態に応じた保護対策を講じることは、セキュリティやコンプライアンスにおいて非常に重要です。データが保管中、転送中、使用中のいずれの状態にあるかによって、リスクや脅威が異なるため、適切な保護がなされていないと情報漏洩やサイバー攻撃の原因になります。特に、企業や組織では、データの状態に応じて保護手段を使い分けることで、データの機密性、完全性、可用性を確保することが求められます。

まとめ

データの状態は「保管中」「転送中」「使用中」の3つに分類され、それぞれ異なるリスクに対する保護が必要です。保管中のデータには暗号化やアクセス制御、転送中のデータにはSSL/TLSやVPN、使用中のデータにはメモリ暗号化やアクセス制限などが適用されます。これらの対策を講じることで、データの機密性と安全性が確保され、情報漏洩やサイバー攻撃からの保護が強化されます。

データの状態を把握し、状態に応じた適切なセキュリティ対策を講じることは、現代のサイバーセキュリティにおいて欠かせない要素であり、信頼性の高い情報管理とコンプライアンスの遵守を実現するためにも重要です。


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