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HTTP

HTTP(Hypertext Transfer Protocol)**は、Web上で情報をやり取りするための通信プロトコルです。クライアント(通常はWebブラウザ)とサーバー間でデータを送受信する仕組みを提供し、Webページの閲覧やAPIの利用、ファイルのダウンロードなど、インターネット上の多くの機能の基盤となっています。

HTTPは1989年に提案され、現在では最新バージョンであるHTTP/3に至るまで進化を続けています。初期のHTTPはシンプルなプロトコルであったものの、現在では暗号化やデータ圧縮、セキュリティ機能を備え、モダンなWebアプリケーションを支える重要な技術として広く利用されています。

HTTPの特徴

1. テキストベースのプロトコル

HTTPはテキスト形式で通信が行われ、リクエストとレスポンスが人間にも読みやすい形式で構成されています。これにより、デバッグや開発が比較的容易です。

  • リクエスト: クライアントからサーバーへの要求(例:Webページの取得)。
  • レスポンス: サーバーからクライアントへの応答(例:HTMLファイルや画像データ)。

2. ステートレス(状態を保持しない)

HTTPはステートレスプロトコルであり、リクエストごとに独立して処理されます。クライアントの過去のリクエストの情報を保持せず、必要な場合はCookieやセッション、トークンを用いて状態を管理します。

  • メリット: シンプルでスケーラブルな設計。
  • デメリット: 状態管理が必要なアプリケーションでは追加の仕組みが必要。

3. 可搬性

HTTPはインターネット上のほとんどのネットワーク環境で利用可能で、デバイスやプラットフォームを問わず広く普及しています。

HTTPの仕組み

1. リクエストとレスポンスの流れ

HTTPはクライアントとサーバー間で通信を行います。この通信は以下の手順で進行します。

  1. リクエスト送信
    クライアントがサーバーに対してリクエストを送信します。リクエストにはHTTPメソッド(GET、POSTなど)、URL、ヘッダー情報などが含まれます。
  2. サーバー処理
    サーバーがリクエストを受け取り、要求されたリソースを探します。動的な処理が必要な場合は、サーバー側でスクリプトが実行されます。
  3. レスポンス送信
    サーバーがリクエストに応じたデータ(HTML、画像、JSONなど)をクライアントに返します。

2. HTTPメソッド

HTTPメソッドは、リクエストで行いたい操作を指定するために使用されます。

  • GET: リソースの取得(例:Webページの表示)。
  • POST: データの送信(例:フォームの送信)。
  • PUT: リソースの作成または更新。
  • DELETE: リソースの削除。
  • HEAD: GETリクエストのヘッダー情報のみを取得。
  • OPTIONS: サーバーがサポートするメソッドを確認。

3. HTTPステータスコード

レスポンスには、サーバーの処理結果を示すステータスコードが含まれます。

  • 2xx(成功): 正常に処理された(例:200 OK)。
  • 3xx(リダイレクト): 別の場所にリソースが移動(例:301 Moved Permanently)。
  • 4xx(クライアントエラー): クライアント側の問題(例:404 Not Found)。
  • 5xx(サーバーエラー): サーバー側の問題(例:500 Internal Server Error)。

HTTPのバージョン

1. HTTP/1.1

HTTPの初期バージョンで、長らく標準として使われてきました。同一接続で複数リクエストを処理できる「Keep-Alive」や圧縮転送などが導入されました。

2. HTTP/2

HTTP/2は、高速化を目的にHTTP/1.1の改善版として開発されました。

  • 主な特徴: マルチプレキシング、ヘッダー圧縮、優先度制御。
  • メリット: ページ読み込み速度の向上。

3. HTTP/3

HTTP/3は、HTTP/2の改良版で、UDPをベースにしたQUICプロトコルを採用しています。

  • 主な特徴: 接続の低遅延化、再送制御の効率化。
  • メリット: モバイル環境や高遅延ネットワークでのパフォーマンス向上。

HTTPとHTTPSの違い

HTTPは暗号化されていない通信を行いますが、HTTPS(HTTP Secure)はSSL/TLSプロトコルを利用して通信を暗号化します。HTTPSはセキュリティやプライバシー保護を強化するため、現代のWebサイトではほぼ標準的に採用されています。

  • HTTPの課題: データが平文で送信されるため、盗聴や改ざんのリスクがある。
  • HTTPSの解決策: データを暗号化し、第三者が通信内容を傍受できないようにする。

HTTPの用途

HTTPは、以下のようなさまざまな分野で利用されています。

  • Webブラウジング: Webページや画像の取得。
  • API通信: REST APIを通じたアプリケーション間のデータ交換。
  • ファイルダウンロード: ファイルの転送。
  • IoTデバイス: センサーやデバイスのデータ送信。

まとめ

HTTP(Hypertext Transfer Protocol)は、インターネット上の情報通信を支える基本的なプロトコルです。テキストベースのシンプルな設計、ステートレス性、広範な互換性などの特徴を持ち、Webページの閲覧やAPI通信、データ交換の基盤として広く利用されています。

現在では、HTTPSによるセキュリティ強化やHTTP/3の導入など、進化を続けるHTTPは、インターネットの成長に伴って不可欠な技術となっています。モダンなWebアプリケーションやサービスを構築する際には、HTTPの仕組みやセキュリティ機能を十分に理解し、活用することが求められます。


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