タイポスクワッティング|サイバーセキュリティ.com

タイポスクワッティング

タイポスクワッティング(Typo Squatting)は、ユーザーが誤って入力するURLやブランド名、キーワードのタイポ(タイプミス)に付け込んで、似たドメイン名を取得・運営するサイバー攻撃手法です。ユーザーが本来アクセスしたい正規サイトに類似したドメインをあえて登録し、そのドメインにフィッシングサイトや広告サイトを設置することで、ユーザーを騙して情報を盗み取る、広告収益を得るなどの悪質な目的で利用されます。

タイポスクワッティングは、人気のあるブランド名やWebサイトをターゲットにすることが多く、利用者の入力ミスやクリックミスを利用して誘導するため、ユーザーが正規サイトと偽サイトを見分けるのが難しいケースが多々あります。

タイポスクワッティングの手法

タイポスクワッティングは、さまざまなタイプミスを狙った手法があり、主に以下のようなパターンで行われます。

1. 一文字違いのドメイン

ブランド名やサイト名の文字を1文字だけ変更したり、削除したりしたドメインを登録する手法です。たとえば、「example.com」の代わりに「exampel.com」や「exampl.com」など、ユーザーがタイポしやすいパターンを狙います。

2. キーボード上の近隣文字を使用

ユーザーが誤ってキーボード上で隣り合う文字を押してしまうことを利用し、似たドメインを登録します。たとえば、「google.com」の代わりに「goohle.com」や「gppgle.com」などが挙げられます。

3. サブドメインの悪用

本来のドメインと同じ文字列をサブドメインに含めることで、正規サイトに似せたドメイン名を使います。たとえば、「secure-login.example.com」の代わりに「securelogin.example.com」などと表記して、正規サイトの一部のように見せかけます。

4. TLD(トップレベルドメイン)の変更

トップレベルドメイン(TLD)を変更する方法もあります。たとえば、「example.com」の代わりに「example.net」や「example.co」など、異なるTLDを使ってアクセスを誘導します。

5. 複数ドメインの組み合わせ

ブランド名やサービス名に関連する単語を追加・削除したりして、複数の単語を組み合わせることで、正規のサイトに見せかけた複雑なURLを作成します。たとえば、「example-login.com」や「example-service.com」などです。

タイポスクワッティングの目的とリスク

タイポスクワッティングは、利用者の不注意を利用して、以下のような目的で行われることが多いです。

1. フィッシング詐欺

タイポスクワッティングを利用して、正規のサイトに似せたフィッシングサイトを運営し、ユーザーのログイン情報やクレジットカード情報を盗む目的で使用されます。偽のログイン画面を表示し、入力された情報を不正に収集します。

2. マルウェアの配布

タイポスクワッティングによって誤って訪れたサイトにマルウェアを仕掛け、ユーザーのデバイスに感染させることで、不正なプログラムのインストールを促します。これにより、データの窃取やシステムの乗っ取りが可能になります。

3. 広告収益の獲得

広告収入を目的として、タイポスクワッティングを利用するケースもあります。偽サイトに訪れたユーザーに対してポップアップ広告やリダイレクト広告を表示し、クリックや表示回数に応じて収益を得ます。

4. ブランドや企業イメージの悪化

悪意のあるタイポスクワッティングは、正規サイトと誤認されやすく、企業やブランドの評判を低下させる原因にもなります。ユーザーが詐欺被害に遭うことで、企業への信頼が損なわれる恐れがあります。

タイポスクワッティングへの対策

タイポスクワッティングのリスクを軽減するためには、以下の対策が有効です。

  1. 関連ドメインの取得 ブランド名やサービス名の異なるスペルバリエーションやTLD(.com、.net、.orgなど)も含め、関連するドメインを事前に取得しておくことで、タイポスクワッティングによるリスクを抑えることが可能です。
  2. 商標登録の活用 ブランド名やサービス名を商標登録することで、法的手段に基づいて不正なタイポスクワッティングドメインを抑制することが可能です。また、商標権侵害に基づく取り締まりが可能となります。
  3. ブランド監視サービスの利用 タイポスクワッティングに関連する不正なドメインの登録を監視するために、ドメイン監視サービスやブランド監視サービスを利用することが効果的です。これにより、不正なドメインの早期発見と対応が可能です。
  4. ユーザー教育 正規サイトへのアクセス方法をユーザーに周知し、タイポスクワッティングの危険性について教育することが重要です。例えば、公式アプリや公式リンクをブックマークに登録して利用するなど、正規のアクセス手段を推奨します。
  5. ウェブフィルタリングの導入 ウェブフィルタリングやセキュリティソフトウェアを導入し、不正なドメインにアクセスしないようにすることも有効です。多くのセキュリティツールは、フィッシングサイトやマルウェア配布サイトを自動的に検出し、アクセスをブロックします。

まとめ

タイポスクワッティングは、ユーザーの入力ミスを狙った悪質なサイバー攻撃手法であり、フィッシングやマルウェアの配布に悪用されることが多いです。企業や個人がタイポスクワッティングによる被害を防ぐためには、関連ドメインの確保、商標登録、ブランド監視、ユーザー教育、ウェブフィルタリングといった対策が有効です。また、正規のアクセス方法をユーザーに推奨し、タイポスクワッティングによるリスクを最小限に抑える努力が重要です。


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