ハードウェア型キーロガーは、キーボードとコンピュータの接続の間に物理的に取り付けられるデバイスで、キーボード入力を記録するためのツールです。ソフトウェアとしてインストールされる一般的なキーロガーと異なり、ハードウェア型は小型の機器が物理的に取り付けられるため、デバイスが見つかるまでは検出が非常に難しいという特徴があります。このため、物理的にアクセス可能な場所で、キーストロークの情報を盗む目的で使用されることが多く、攻撃者はパスワードや個人情報を取得しやすくなります。
この記事の目次
ハードウェア型キーロガーの種類と仕組み
- USBタイプ
USBポートに挿入してキーボードとPCの間に設置されるタイプのキーロガーです。キーボードからPCに送られるデータをすべて記録し、内部メモリに保存します。見た目が通常のUSBデバイスに似ているため、気づかれにくいことが特徴です。 - ケーブル型
キーボードケーブルとPCの間に取り付けられるタイプのキーロガーです。USBタイプ同様、キーボードからの入力データを記録しますが、USBポートに差し込まれないため、ケーブルや配線が複雑な環境で取り付けられることが多いです。 - 内蔵型キーロガー
キーボード内部やPC内部にあらかじめ組み込まれたものです。キーボードやPCの外観からは完全にわからないため、物理的な発見が難しく、より隠密性が高いのが特徴です。PCを開けて内部を確認しない限り、検出が非常に困難です。 - ワイヤレスキーロガー
ワイヤレスキーボードの通信信号を傍受し、キー入力内容を記録するものです。BluetoothやRF(無線周波数)通信を介してキーボードとPCが接続されている場合、これらの通信を傍受することで入力データを取得します。
ハードウェア型キーロガーの仕組み
- キーストロークの記録
ハードウェア型キーロガーは、キーボードからPCへ送信されるデータを、リアルタイムで記録します。記録したキーストロークデータは内蔵メモリに保存され、攻撃者がデバイスを回収した際に確認できるようになっています。 - データの保存方法
ハードウェア型キーロガーには小型のフラッシュメモリが内蔵されており、膨大な量のキーボード入力を保存することが可能です。特定のショートカットキーを押すことでキーロガーにアクセスし、記録されたデータを表示するなどの操作が可能です。 - データのダウンロード
いくつかの高性能なハードウェア型キーロガーでは、Wi-Fi経由で攻撃者がリモートでデータにアクセスできるものもあります。このタイプは、物理的に回収しなくてもデータの確認ができるため、発見されにくいという特徴があります。
ハードウェア型キーロガーの用途とリスク
主な用途
- パスワードや個人情報の窃取
キーロガーは、ユーザーの入力するパスワード、PIN、クレジットカード情報などの個人情報を記録し、情報窃盗を目的として使用されることが多いです。 - 企業の機密情報収集
ビジネスの現場において、重要な情報を盗むために設置されることがあります。たとえば、特定の社員のPCにハードウェア型キーロガーが取り付けられると、社内機密やプロジェクトに関わる情報が攻撃者の手に渡る可能性があります。 - 監視目的
親や管理者が子供や従業員の行動を監視する目的で利用されることもありますが、正当な目的でもプライバシー侵害の可能性があるため、注意が必要です。
リスク
- 物理的なアクセスが可能な環境でのリスク
ハードウェア型キーロガーは、オフィスやラボなど、複数の人が出入りする環境で特にリスクが高まります。攻撃者が物理的にPCにアクセスできる場合、簡単に設置されてしまう可能性があります。 - 発見が難しい
見た目が小さく、通常のUSBデバイスやケーブルに似ているため、気づかれずに使用されやすいです。また、キーボードやPC内部に取り付けられるタイプは、通常の検査では発見しにくく、長期間気づかれないまま稼働することがあります。 - 盗まれた情報の悪用
キーロガーにより記録された情報は、フィッシング詐欺やアカウントの乗っ取り、財産的被害につながる可能性が高く、個人情報や企業機密の流出リスクが増します。
ハードウェア型キーロガーの防止対策
- 物理的な端末の管理と監視
端末やキーボードの近くに不審なデバイスが接続されていないか、定期的にチェックします。また、オフィスや重要な端末のある場所には、無許可の人がアクセスできないように物理的なセキュリティ対策を講じます。 - ケーブルやUSBポートの定期的な確認
デバイスを利用する前に、キーボードのUSBポートやケーブルに不審なデバイスが取り付けられていないか確認します。通常と異なるデバイスが接続されている場合は、念のため取り外して確認しましょう。 - USBポートの制限
不正なデバイスが接続されないように、USBポートの使用を制限することで、物理的なキーロガー設置のリスクを下げます。たとえば、特定のUSBデバイスしか接続できない設定にすることも一つの方法です。 - 分解と内部確認
定期的にPCの内部やキーボードを分解して、内部に不審な機器が取り付けられていないか確認します。特に重要な情報を扱う端末には、定期的な内部確認が推奨されます。 - 無線キーボードの使用
無線キーボードを利用すると、物理的にケーブルを接続するハードウェア型キーロガーの設置が困難になります。ただし、無線通信が盗聴されるリスクもあるため、暗号化機能のある無線キーボードを使用することが望ましいです。
ハードウェア型キーロガーの発見方法
- 外観のチェック
キーボードとPCの接続部分に不審なデバイスやケーブルがないか確認します。USBポートやケーブルに通常とは異なるデバイスが見つかる場合、ハードウェア型キーロガーの可能性があります。 - 定期的な分解と内部点検
重要な端末については、キーボードやPCを分解して内部点検を行い、不審なデバイスが設置されていないか確認します。特に内蔵型のキーロガーは発見が難しいため、物理的な内部確認が重要です。 - ネットワーク監視
Wi-Fi機能を持つ高性能なハードウェア型キーロガーは、ネットワーク経由でデータを送信するため、不審なネットワーク通信を監視することで発見できる場合があります。特に、接続先のIPアドレスや通信量を確認します。 - USBデバイスのログ確認
USBデバイスの接続履歴やログを確認し、通常と異なるデバイスが一時的に接続されていないかを調べます。OSによっては、接続履歴やイベントログが確認できるため、端末の不正アクセスが疑われる場合には確認することが推奨されます。
まとめ
ハードウェア型キーロガーは、物理的にPCに取り付けられ、キーボード入力を記録する非常に隠密な攻撃手法です。USBポートに接続されるタイプから、キーボード内部に組み込まれるものまで種類があり、発見が難しいため、気づかないうちに情報が漏洩するリスクがあります。これを防ぐためには、USBポートの管理や物理的な端末の監視、不審なデバイスの定期的なチェックが重要です。また、特にセキュリティが重要な環境では、内部点検やアクセス制限を徹底して、物理的なセキュリティを強化することが効果的です。