画像:CITRIXより
ネットワーク技術会社の米国シトリックスは2019年3月6日、FBIより「同社が何者かのサイバー攻撃を受けた可能性がある」と通告を受けたと明らかにしました。
シトリックスはVPN技術などに強みを持ち、Fortune500の98%企業を含む約4万5,000社にソリューションを提供している著名企業。
インシデントは米国を中心に大々的に報じられ、米国ニュースメディア「The Register」などは、少なくとも6TB相当の電子メール・ドキュメントファイル・機密情報に懸念が生じたと報道。今後の動きに注目が集まっています。
高ステルス性サイバー攻撃「password spraying」の存在
高いセキュリティシステムを持つはずのシトリックスが、なぜサイバー攻撃による侵入を許したのか。その答えとして、高ステルス性サイバー攻撃「password spraying(パスワードスプレー攻撃)」の存在が指摘されています。
「password spraying」とは、総当たり型のサイバー攻撃を仕掛ける際に、防衛システムによる規制を受けないように攻撃者側がペースを調整する手法。強固なサイバーセキュリティ対策を持つ大手企業は多くの場合、「短期間に複数回のアクセス試行」を検出し、防御・警告するシステムを持っています。
ところが「password spraying」は攻撃ペースを落とすことで、防御システムを回避。攻撃対象にサイバー攻撃を悟られず、不正ログインを試みることができる手法として恐れられています。
イラン政府の関与の疑い
米国メディアのうち一定数は、シトリックスに対するサイバー攻撃の犯人として、イラン政府の関与可能性を挙げています。
現時点でシトリックス側は見解を明らかにしていませんが、イラン政府の息のかかったサイバー犯罪チームによる可能性があるとのこと。同社は今後詳細な調査を通じて、事態を明らかにする考えを示しています。
参照Citrix investigating unauthorized access to internal network/シトリックス公式ブログ
参照Iranian-backed hackers ransacked Citrix, swiped 6TB+ of emails, docs, secrets, says cyber-biz/The Register