AI分析で不正行為を即座に検知!HyperG×FROMN共同開発の「monban03」が日本のモバイルアプリを脅威から守る|サイバーセキュリティ.com

AI分析で不正行為を即座に検知!HyperG×FROMN共同開発の「monban03」が日本のモバイルアプリを脅威から守る



スマートフォンの普及により、モバイルアプリを通じた業務やサービス提供が当然となった現在、アプリのセキュリティ対策は企業にとって避けて通れない課題となっています。一方で「開発リソースが不足している」「セキュリティの専門知識がない」といった理由から、十分な対策を講じられずにいる企業も少なくありません。

今回は、ソースコードの修正不要で導入できる画期的なセキュリティサービス「monban03」について、HyperG Smart Security Technology Pte., Ltd.Taiwan Branchの丁玄紹氏とFROMN株式会社の武藤真氏、佐藤雄亮氏にお話を伺いました。

クラウドとセキュリティの両軸で事業を展開する技術者集団

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HyperG社についてご紹介いただけますか?

丁(ting)氏
弊社は、台湾の大手ゲーム運営企業であるガマニアグループから生まれた会社です。ガマニアグループは30年以上にわたってゲーム事業を手がけており、その技術部門が2013年に独立してGamania Cloud Forceという会社が設立されました。その後、東南アジア市場への展開を目的として、2019年にシンガポールで弊社を立ち上げたという経緯があります。長年のゲーム運営で培ったセキュリティ技術とクラウドサービスの知見が、私たちの事業の核となっています。

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事業内容についても詳しく教えてください。

丁(ting)氏
大きく分けて2つの軸があります。1つ目の軸はクラウドサービスで、世界で広く使われているAmazon Web ServicesやGoogle Cloud Platform、Microsoft Azureなどを活用した環境を提供しています。中国向けビジネスをお考えのお客様には、Tencent CloudやHuawei Cloudといった中国系クラウドサービスも提供できるため、現地に適したクラウド環境をご提案できることが特徴といえるでしょう。

2つ目の軸はセキュリティサービスです。弊社のエンジニアはホワイトハッカーとして、脆弱性診断やペネトレーションテスト、コードレビュー、そしてモバイルアプリのセキュリティサービスを提供しています。

そんな私たちの技術には2つの大きな特徴があります。まず、導入するだけですぐに運用できること。そして、リアルタイムでアプリやサーバーを監視し、不正行為や侵入を即座に検知することです。お客様のソースコードに合わせて、調整する必要がないため迅速に導入でき、お客様の開発リソースへの影響を最小限に抑えられます。台湾では金融機関の約50%が私たちのサービスを利用しており、この実績が技術力の証明となっています。

代理店ではなく共同開発パートナーとしての協業関係

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どのような経緯で協業に至ったのでしょうか?

武藤氏
私がキヤノンマーケティングジャパン出身でセキュリティの知見を持っていたことから、HyperG社の営業担当の方とつながる機会がありました。モバイルセキュリティの技術について話し合ううちに、技術提携をして日本向けの新しい製品を作り出そうということになったのです。現在は、セキュリティサービス「monban03」の本格的な展開に向けて開発を進めているところです。将来的には、HyperG社やガマニアグループが扱っているクラウドサービスについても、日本で展開していきたいと考えています。

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両社の役割分担はどのようになっていますか?

丁(ting)氏
この協業で重要なのは、単純な販売代理店の関係ではないということです。共同開発として、私たちが持つコア技術を提供し、FROMN社が日本のお客様のニーズを読み解き、日本市場に特化した製品開発を行う流れになっています。私たちは3年以内に日本のアプリセキュリティサービス分野でトップの地位を確立することを目標としており、FROMN社と一緒にその実現を目指していきます。

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他社製品との差別化ポイントについて教えてください。

丁(ting)氏
サービスの強みは4つの要素に集約されます。

まず、AndroidとiOSをはじめとする複数プラットフォームへの対応です。企業がどのようなデバイスを使用していても、統一されたセキュリティ対策を提供できます。次に、モジュール化された構造です。必要な機能を選んで導入できるので、ユーザーの環境に柔軟に対応し、既存システムとの統合が容易になっています。

独自開発のAI分析エンジンを搭載している点も強みといえます。AIによって不正行為を分析・検出することで、巧妙化する脅威にリアルタイムで対応可能です。最後に、グローバル対応力を重視している点も差別化要因となっています。日本語を含む多言語での技術サポートも完備しており、導入から運用まで安心してご利用いただける体制を構築しています。

健康診断や保険のような感覚で導入できるセキュリティ対策

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日本企業が直面しているセキュリティの課題について教えてください。

武藤氏
日本企業の多くは、モバイルアプリのセキュリティ対策に十分なリソースを割けていないのが実情です。ですが、専門知識を持った人材の確保は難しいですし、外部に委託しようとすると高額なコストがかかってしまいます。その結果として、セキュリティ対策が遅れがちなのです。

丁(ting)氏
実際に日本の金融系アプリを分析してみると、セキュリティが不十分なケースが多く見受けられます。決済サービスなどの、個人の金融情報を扱うアプリでさえ、十分なセキュリティ対策が施されていないのが現状です。

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そうした現状に対して、どのような価値を提供していくのでしょうか?

武藤氏
私たちが展開する「monban03」は導入するだけですぐに運用でき、リアルタイムでアプリを監視してくれます。ダッシュボード上でセキュリティリスクを可視化するため、専門知識がなくても「ここにバグがある」「こういう調整が必要だ」ということが一目瞭然でわかるのです。これにより、限られたリソースでも効率的にセキュリティレベルを向上させることができます。

佐藤氏
セキュリティは馴染みのない分野かもしれませんが、健康診断や保険のようなイメージでアプローチしていくつもりです。年一回の健康診断で病気の早期発見ができるように、アプリも定期的にチェックして問題を未然に防ぐ。そして保険のように、万が一の時には自動的に防御してくれる安心感を提供していきたいですね。

金融からエンターテインメントまで、幅広い業界の安全性を保証

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サービスが特に価値を発揮できる業界について教えてください。

丁(ting)氏
私たちのサービスが最も多く利用されているのは金融業界です。オンライン銀行や証券取引といったアプリなどは、顧客の資産を直接扱う関係上、高いセキュリティが求められるため、特に効果的だといえるでしょう。

また、フィンテック分野でもご活用いただけると考えています。モバイル決済サービスやデジタルウォレットでは、金銭の移動が瞬時に行われるため、セキュリティ侵害による被害は計り知れません。リアルタイム監視と即座の対応が可能な私たちのサービスは、こうした高リスク環境でも安心と安全を提供することが可能です。

もちろん、私たちの原点ともいえるゲームやエンターテインメント業界でも活用していただけます。アプリ内での決済が活発化する中、不正行為の防止は事業の根幹に関わる課題となっても過言ではありません。さらに、政府機関にも導入していただきたいと考えており、台湾では既に政府と協業をスタートさせています。

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導入支援についてはいかがでしょうか?

武藤氏
興味をお持ちの企業様には、まずアプリの無料セキュリティ診断を実施しています。アプリをお預かりして診断レポートを作成し、現在のセキュリティ状況を可視化し、その結果をもとに、具体的にどの部分を強化すべきかをご提案する流れです。お客様の状況に合わせた導入プランをご提案いたしますので、お気軽にご相談いただければ嬉しいですね。お客様が安心してデジタル事業を展開していただけるよう、全力でサポートしてまいります。

まとめ

HyperG社とFROMN社の協業は、台湾で長年培ってきた技術力を日本のセキュリティ市場に持ち込む画期的な取り組みです。ソースコードの修正不要で導入できる手軽さと、リアルタイム監視による確実な保護を実現する「monban03」は、開発リソースや専門知識不足に悩む日本企業にとって心強い味方となるでしょう。両社の取り組みが日本のセキュリティ水準を底上げすることを願っています。

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