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“できない理由”を探すリーダーであれ、リスクマネジメントの観点から考える体操内村選手の言葉

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東京オリンピック開催に暗雲が立ち込める中、体操の内村選手が「できないではなく、どうしたらできるかを考えて欲しい」と発言し、その言葉を政治家や組織運営者が引用するケースが見受けられます。

例えば小池百合子東京都知事は「”できない理由を探すより、できることを探せ”と体操の内村選手もおっしゃっていた」などと発言し、ニュース記事になりました。

今回は”リスクマネジメント”の観点から、これらの発言を考えて行きたいと思います。

リスクマネジメントの観点からは”有り得ない発言”

「できない理由を探すより、できることをやれ」という言葉は、私の大嫌いな言葉の一つです。その理由を説明いたします。

できない理由とは?

まず「できない理由」とは何を指すかを考えましょう。

様々な「できない」がありますね。オリンピックができない、コロナの封じ込めができない、テストができない、彼女ができない、などなど。

いろいろありますが、これらは何ができないかと言えば「目標の達成」ができないんです。つまり「できない理由」とは「目標を達成できない理由」ということになります。

リスクマネジメントとは?

ところで、リスクマネジメントで言う「リスク」とは何かというと「目標に対してブレる要因」です。”目標を達成しない要因”、または”目標を上回り過ぎる要因”がリスクなのです。つまり「できない理由を探す」というのは、マネジメント観点から見ると「目標を達成できないリスクを洗い出す」ことに他なりません。

「できない理由を探すより、できることをやれ」というのは、言い換えれば「リスクは考えなくていいからとにかくやれ」ということなんです。慣用句を使えば「清水の舞台から飛び降りるつもりでやれ」ということでしょうか。

リスク軽視発言をする人の傾向

上司がこういう発言をしたとして、「私が全責任を取るから」という言葉が続くなら、「まあ、やってみるか…」とも思えるでしょう。

しかし「できない理由を探すな」という人は往々にして責任を取ろうとしないんですね。そして、このような人が自分の責任の範囲で問題が発生した場合、決まって言うセリフがあります。「想定外だった」です。

想定外になるのは当たり前

リスクの洗い出しをしてないのだから、想定してないのだから、想定外になるのは当たり前です。

想定外の事態が起こったから問題が起きたのではありません。想定していなかったから問題が起きたのです。発生原因が変わってしまっています。

責任を自覚するリーダーであれば

これが責任を自覚するリーダーであれば、このような発言にはなりません。例えば、筆者が評価している東京証券取引所のインシデント対応事例を思い出してください。あの時、批判を受けながらも朝から取引を停止していました。

取引を再開できない理由を探し、対応しきれないと判断したからこそ朝から取引停止としたのですよね。そして、報告書でもその判断は間違いではなかったとされました。「朝から取引できない理由を探すより、まず取引を再開しろ」という社長だったら、被害が拡大していたかも知れません。

「想定外」という言葉は用いない

また「想定が甘かった」とは言っても「想定外だった」とは言いません。

「想定が甘かった」とは、リスクを探し、評価したが評価が妥当でなかった、ということ。「想定外だった」とは、リスクを考えていなかった、ということです。責任を自覚しているリーダーは言葉一つとっても違います。

「できない理由を探すより…」発言をしてしまうリーダーは

大体、目標達成しなかった場合に自分が責任を取る覚悟があったら、未達成時の怖さを感じて、少しでも達成できないリスクを減らそうとするでしょう。「できない理由」を探して、その理由を潰すための施策を次々と実施していくでしょう。

「できない理由を探すより、できることをやれ」という言葉を平気で使うリーダーは、

  • 何も考えてない人
  • 有事の際に責任を取るつもりが無い人

のどちらかとしか思えないのです。

内村選手の発言をもう一度考えてみる

さて、今までの内容を踏まえてもう一度内村選手の発言を見てみましょう。

“できない”ではなく、どうしたらできるかを考えて欲しい

これが内村選手の発言です。”できない理由を探すより”なんて言っていませんね。「できない」で終わらず「どうしたらできるか」を考えて欲しいと言っています。

「どうしたらできるか」を考えるためには「できない理由」を探して潰す必要があります。そういう意味では内村選手の発言は決して間違ってはいるわけではありません。(本当に可能かどうかは別として)それを勝手に似た表現で内容を変えて引用している人たちに問題があるのです。

「できない理由」を可能な限り探して、それをクリアする。それこそがマネジメントに求められていることです。「できない理由を探すな」という人は、マネジメントの根幹を理解していない、リーダーになってはいけない人なのです。





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