Wi-Fi6とは?仕組み・対応スマホも解説|サイバーセキュリティ.com

Wi-Fi6とは?仕組み・対応スマホも解説



家庭内や外出先でWi-Fiを使ってインターネット接続をすることが当たり前になりました。この「Wi-Fi」という言葉は無線でのインターネット接続の代名詞のように使われており、誰もが一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。

そんなWi-Fiですが、2020年1月に第6世代のWi-Fi 6が登場しました。Wi-Fi 6はこれまでのWi-Fiとはどう違うのでしょうか。今回はWi-Fi 6の概要やメリットとデメリット、注意点などについて徹底解説します。

Wi-Fi6とは

Wi-Fiとはパソコンやスマートフォンなどの端末をインターネットへ接続するための無線ネットワーク規格の一つです。Wi-Fi 6とは2020年現在で最新のバージョンのWi-Fiのことであり、もともとは「IEEE 802.11ax」が正式名称でした。Wi-Fi Allianceという団体が、このIEEE 802.11axを「Wi-Fi 6」にすると発表したことで、正式にWi-Fi 6と呼ばれるようになりました。

Wi-Fi6の仕組み

Wi-Fi 6も従来のWi-Fiと同様に無線による通信の規格です。Wi-Fiを使用して無線通信を行うためには、Wi-Fiルーターが必要です。インターネットに直接接続されているのがWi-Fiルーターで、私たちが使うパソコンやスマートフォンが、Wi-Fiを使ってWi-Fiルーターに接続されるイメージです。

Wi-Fi 6は6番目のWi-Fi規格です。Wi-Fi 6とこれまでのWi-Fiとの違いについて、過去のWi-Fi規格や最大通信速度、周波数をまとめた表で確認しましょう。

Wi-Fi規格名 最大通信速度 周波数 呼称
IEEE 802.11a 54 Mbps 5 GHz
IEEE 802.11b 11 Mbps 2.4 GHz
IEEE 802.11g 4 Mbps 2.4 GHz
IEEE 802.11n 600 Mbps 2.4GHz
5 GHz
Wi-Fi 4
IEEE 802.11ac 6.9 Gbps 5 GHz Wi-Fi 5
IEEE 802.11ax 9.6 Gbps 2.4 GHz
5 GHz
Wi-Fi 6

表を見ると、Wi-Fi 6では最大通信速度が9.6Gbpsまで速くなっていることがわかります。しかしWi-Fi 6には他にも様々なメリットがあります。それではWi-Fi 6のメリットについて見ていきましょう。

Wi-Fi6が誕生した背景

非常に有用なWi-Fi 6ですが、その誕生には日常や業務で使われている物のデジタル化が背景です。

ICT基盤として

これまでもスマートフォンによるキャッシュレス決済や、スマートスピーカーにもWi-Fiは使われてきました。

これに加えて、あらゆるものをインターネットに接続させる「IoT(Internet of Things)」や、大量の情報を処理することが求められる「AI(人工知能)」など、インターネットで大量の情報を高速に処理させなければならない場面が増えてきました。

このようなICT基盤を今後もさらに強力なものとするためにも、Wi-Fi 6による通信環境の強化が求められているのです。

5Gの情報処理に新しい回線規格が必要

次世代移動通信システム5Gにより、広いエリアでの通信速度が大幅に向上しますが、Wi-Fiの環境がそのままでは、5Gを有効に活用できません。5Gの普及に合わせて、Wi-Fi 6という新しいWi-Fi規格を設けることで、ネットワーク全体における通信環境を強化でき、業務や日常生活をより便利にできるのです。

Wi-Fi5との違いとは

ここで一旦、Wi-Fi6とWi-Fi5の違いを見ていきましょう。

まず、通信スピードが異なります。Wi-Fi5は最大6.93Gbpsであるのに対し、Wi-Fi6は最大9.6Gpbsとおよそ1.4倍です。これらはあくまで理論値ですが、Wi-Fi6は有効スループットでも、Wi-Fi5よりも高い数値を示しています。ちなみに、有効スループットとは「実際の利用シーンでどれくらいの速度が出るのか」を表す実測値のことで、実効スループットとも呼ばれます。

さらに、周波数にも大きな違いが。Wi-Fi5の周波数は5GHz帯のみですが、Wi-Fi6は2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応しているので、安定した通信が期待できます。また、OFDMA技術により、混雑していても快適な通信が可能です。今後、街中のフリーWi-FiがWi-Fi6に順次切り変わっていけば、「フリーWi-Fiは遅くて使えない」といったイメージも覆るでしょう。

近年、IoT機器の登場によって、ネットワークの利用は拡大しています。たとえば、テレビや冷蔵庫、エアコンなどのスマート家電化が一例にあげられるでしょう。Wi-Fi5の場合、ネットワークへの接続台数が増えるほど、通信速度や安定性に影響が出やすくなります。しかし、Wi-Fi6であれば接続台数が増えても、通信速度・安定性ともに快適に利用できます。

Wi-Fi6と5Gの関係

Wi-Fi 6と5Gは、互いに弱点を補完し合う関係にあります。5Gとは第5世代の次世代移動通信システムの事です。Wi-Fi 6が限定された狭いエリアでの通信に特化しているのに対して、5Gは基地局を経由した広範囲の通信を得意とする技術です。

Wi-Fi 6は、オフィスやカフェなどの、ある程度の狭い範囲で多くの人が同時に通信する場合に効果的であり、5Gは屋外や長距離での通信が必要な場合に有効な通信システムです。

このようにWi-Fi 6と5Gはともに、今後の社会的なインフラの発展に大きく貢献することが期待されています。

Wi-Fi6のメリット

新しいWi-Fi 6にはどのようなメリットがあるのでしょうか。従来のWi-Fiと比較した時の3つのメリットについて紹介します。

高速

Wi-Fi 6は従来のWi-Fi 5に比べて、通信速度が約1.4倍高速です。通信速度が速いということは、大容量なデータの転送が可能になるということです。これにより、8Kや4Kなどの高画質な映像や、ネットゲームの配信が可能です。さらにWi-Fi 6では5GHz帯と2.4GHz帯の2つの周波数帯を使用するため、回線の使用状況に応じて、使用する周波数帯を切り替えることも可能です。

混雑に強い

Wi-Fi 5以前では、接続する機器の数が増えると、通信が混雑して、速度が遅くなったり、つながりにくくなったりすることがありました。

しかしWi-Fi 6では「直交周波数分割多元接続(OFDMA)」と呼ばれる技術により、同時接続する端末の数が増加しても、通信の順番待ちが発生しないようになっています。これにより、同時に多くのユーザーが接続するようなネットゲームも快適にプレイできます。

省エネ

Wi-Fi 6では無線子機にあたるスマートフォンやタブレットなどのバッテリー消費を抑えられる「TWT(Target Wake Time)」と呼ばれる技術が使われています。これはWi-Fi 6の親機から子機への通信を調整することで、信号の待ち受けを必要としない子機の通信機能をスリープ状態にすることで、消費電力を抑えられる技術です。これにより端末のバッテリーをセーブできます。

Wi-Fi6のデメリット

Wi-Fi 6は登場したばかりの技術なので、対応している機器の中には高額な物もあります。また、Wi-Fi 6に対応しているスマートフォンもあまり多くありません。そのため人によっては、今すぐWi-Fi 6の恩恵を受けられるわけではありません。

例えば、iPhoneの場合、Wi-Fi 6に対応しているのは、iPhone 11シリーズやiPhone SE(第2世代)のみです。Android OSでは、サムスンの Galaxy S20/S10シリーズなどの一部のスマートフォンのみです。

現状では、Wi-Fi 6に対応したデバイスは少ないですが、これから発売されるデバイスにはWi-Fi 6が標準的に搭載されるでしょうし、Wi-Fi 6が普及すれば、価格も落ち着いてくることが予想されます。

スマホのWi-Fi6対応機種はある?

以下の表に、主なWi-Fi6対応機種をまとめました。

iPhone iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max、iPhone SE(第2世代)、iPhone 12、iPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max
Xperia Xperia 5 Ⅱ、Xperia 1 Ⅱ、Xperia 1 Ⅲ、Xperia PRO
Galaxy Galaxy Z Flip/Z Flip 5G、Galaxy Z Fold2 5G、Galaxy Note20 Ultra 5G、Galaxy S20 5G、Galaxy S20 Ultra 5G、Galaxy S21/S21+ 5G、Galaxy S21 Ultra 5G
AQUOSAQUOS R5G、AQUOS R6 AQUOS R5G、AQUOS R6

iPhoneは、iPhone 11シリーズ以降とiPhone SE(第2世代)が対応しており、Androidはハイエンドモデルに対応製品が集中しています。

Wi-Fi規格の歴史年表

Wi-Fi規格の変遷を、以下の歴史年表にまとめました。世代ごとの通信速度などをまとめましたので、ご覧ください。

世代 登場年 規格名

(新名称)

最大通信速度 周波数
第1世代 1997年 IEEE 802.11 2Mbps 2.4GHz
第2世代 1999年 IEEE 802.11a 54Mbps 5GHz
IEEE 802.11b 11Mbps 2.4GHz
第3世代 2003年 IEEE 802.11g 54Mbps 2.4GHz
第4世代 2009年 IEEE 802.11n

(Wi-Fi 4)

600Mbps 2.4GHz

5GHz

第5世代 2013年 IEEE 802.11ac

(Wi-Fi 5)

6.9Gbps 5GHz
第6世代 2019年 IEEE 802.11ax

(Wi-Fi 6)

9.6Gbps 2.4GHz

5GHz

第1世代の最大通信速度は、1秒あたり2Mbpsしかありませんでした。一方、最新の第6世代は1秒あたり9.6Gbpsです。20年以上かけて、およそ5000倍の通信速度に到達しています。今後の新世代では、さらなる高速化・安定化が期待できるでしょう。

Wi-Fi6を導入する際の注意点

現状ではWi-Fi 6を導入するにあたり、以下の2点に注意が必要です。

Wi-Fi6対応の端末でないと性能が発揮されない

Wi-Fi 6に対応した端末は2020年現在では、まだあまり多くありません。またWi-Fi 6に対応したルーターも少なく、値段も高額です。Wi-Fi 6は次で紹介するように下位互換性を持つため、Wi-Fi 5に対応した機器と接続できますが、その場合、Wi-Fi 6の性能は発揮されません。

下位互換するので、現在使用している機器も継続使用可能

Wi-Fi 6は下位互換性を持つため、Wi-Fi 6のルーターを使っていても、Wi-Fi 6に非対応なスマートフォンやタブレットの接続は可能です。逆に、古いWi-Fi 5対応のルーターを使って、Wi-Fi 6に対応している新しいスマートフォンやタブレットの接続も可能です。

まとめ

Wi-Fi 6の登場でインターネットの通信環境が強化され、より便利で高速にインターネットを使用できることが期待されます。2020年夏現在では対応している機器が少ないのですが、これからWi-Fi 6に対応した機器が増えてくると思われます。もしこれからWi-Fiルーターやスマートフォンを買い替えようと思っているのでしたら、Wi-Fi 6に対応した機種を選択してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

そもそもWi-Fiとはどういう意味?

Wi-Fiとは、有線ケーブル不要でインターネット接続できる無線LANの種類の1つです。無線LAN=Wi-Fiと思われがちですが、厳密には異なります。

 

無線LANが初めて登場した頃、無線LAN機器の規格は乱立していました。異なるメーカーの無線LAN機器同士は相互接続できず、ユーザーにはとても不便な状態だったわけです。そこで、米団体「Wi-Fi Alliance」により、相互接続可能な標準規格「Wi-Fi(IEEE 802.11)」が1997年に登場します。Wi-Fiの普及が進む中、スマホの登場などによりWi-Fiを利用する人も増え、「無線LAN=Wi-Fi」のイメージが定着しました。

相互接続性があると認証された無線LAN機器には、「Wi-Fi CERTIFIED」のロゴマークが付与されます。たとえば、バッファローのWi-Fi6対応ルーターは「Wi-Fi CERTIFIED 6™」のマークがついています。

Wi-Fi6対応ルーターは必要?

家庭や事業所でWi-Fi6を利用したい場合は、Wi-Fi6対応ルーターが必要です。また、スマホやパソコンなどの端末も、Wi-Fi6対応機器である必要があります。人によっては「Wi-Fi6対応機器だと、5以前の規格に対応できないのでは?」と心配するかもしれません。

ご安心ください。Wi-Fiは下位互換性があるため、これまでの規格の端末も問題なく使えます。ですので、Wi-Fi6対応ルーターに買い替えたからといって、「スマホがネットに繋がらなくなった」などのトラブルは起きません。全ての端末を買い替えなくても問題ないので、安心して導入できるでしょう。


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