「スレットインテリジェンス」という言葉を聞いたことがありますか?スレットインテリジェンスとは、「脅威情報」とも呼ばれるもので、サイバーセキュリティ関連の多くの情報を収集、蓄積し、それらを分析することで、脅威に対抗するための方法に生かしていこうといったものです。
今回は、このスレットインテリジェンスについて詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
スレットインテリジェンスとは
インターネットや、ネットワークを介してやりとりされるメールなどのデータ、記憶媒体など、さまざまなところから、サイバーセキュリティ上の脅威はやってきます。そうした膨大な脅威情報を収集し、蓄積する、そしてそれらを分析してセキュリティ対策に生かしていこうといったものが「スレットインテリジェンス」です。
言うなれば、今いろいろなところで取り上げられ、急速に拡大している「ビッグデータ」のセキュリティ対策版といったものであると言えます。
スレットインテリジェンスの仕組み
セキュリティ対策の一つであるスレットインテリジェンスとは、どういった仕組みになっているのでしょうか。
スレットインテリジェンスは、「IPアドレスをキーとした脅威情報のデータベース」と表現されることもあります。世界中の膨大な脅威情報を収集し、データベース化した上で、「どのIPアドレスがどういった通信を行なっているか」「どのIPアドレスがサイバー攻撃を行なっているか」などの分析を行います。
そうしたことを通して、IPアドレスやURLごとに危険性を算出し、フィルタリングなどに活用しているのです。
スレットインテリジェンスを活用するメリット
従来のセキュリティ対策といえば、セキュリティ対策ソフトやファイアウォール等が一般的です。スレットインテリジェンスを使うことによるメリットにはどういったものがあるのでしょうか。
攻撃の明確化
攻撃の明確化ということについては、どこから誰が攻撃をしているのかということを”可視化”してわかりやすくするといったサービスを提供しているケースもあります。
攻撃の事前予測と防御
スレットインテリジェンスを活用することで、攻撃の事前予測も含め、未然に被害を防止すること、また、攻撃発生時に迅速に対応することが可能となります。
対応方法のプロセス化
対応の手法も蓄積することで、その場で対応を考えるのではなく既存の手法に当てはめるということが可能となります。
スレットインテリジェンスの活用方法
スレットインテリジェンスにいろいろとメリットがあることを説明しましたが、具体的にどういったところに使えるのでしょうか。具体的な活用プロセスとメリットについて見ていきましょう。
サイバー攻撃の検知
当然のことながら、何者かからサイバー攻撃が来ても、検知しなければ対応はできません。従来のセキュリティ対策ソフトでは、既存のウイルスの情報を集めた定義ファイルを使ってパターンパッチングすることで検知していたので、未知の脅威には対抗できませんでした。
しかし、大手のセキュリティベンダーをはじめとして、スレットインテリジェンスでも使われる脅威情報のデータベースをAIなどを使って分析することで、プログラムの振る舞いなどから未知の脅威も検知できるようになってきています。
サイバー攻撃の防御
迅速かつ確実な検知は、防御力の強化にもつながります。スレットインテリジェンスによって、膨大な情報から分析によって導き出された推測等に基づいて、不正なプログラムが実際に動いてしまう前に、発信元やコードの内容といった情報から、危険性を事前に予測して防ぐといったこともできるようになっています。
加えて、攻撃手法や攻撃パターンを明確化することによって、より適切かつ確実な防御を実現しています。
サイバー攻撃の予測
防御のところでも説明しましたが、スレットインテリジェンスでは、膨大な脅威情報の分析を行うことによって、実際に不審なプログラムかどうかを動きやコードの内容から予測することができるようになっています。
セキュリティ体制の強化
スレットインテリジェンスの情報は、社内で脅威情報として報告等を共有化しておくことが必要となります。そして、その際には、サイバー攻撃時の対応含めた組織体制の明確化と強化が欠かせません。そして、こうしたことを実現することで、組織全体のセキュリティ機能の強化につながります。
スレットインテリジェンスの将来性
高まるセキュリティ上の脅威に対抗できる手法として新しく使われるようになってきたスレットインテリジェンスですが、将来に向けてどんどんと利用が拡大していくと考えられます。それには、以下のような理由があります。
- 未知の脅威に対する防御ができる
- 攻撃を未然に防ぐことができる
- サポートサービスなど手軽に導入できるサービスがある
まとめ
近年、マルウェアや不正アクセスなどセキュリティ上の脅威は急激に高まっています。従来のセキュリティ対策では、未知の脅威などには全く検知や防御などの対応が行えませんでした。
そうした中で、開発された手法が今回紹介した「スレットインテリジェンス」です。この手法では、ビッグデータのように膨大な脅威情報を収集し、AIなどを用いてそれらを分析することによって未知の脅威への防御や、攻撃の予測などによる被害の未然防止といったことが実現できます。
巧妙化かつ悪質化するサイバー犯罪は、ひとたび被害にあうと大きな損害につながる可能性があります。今後、スレットインテリジェンスを活用したセキュリテイ体制の強化が、さらに進むことは間違いないでしょう。