Combinedログ形式は、ウェブサーバーがアクセスログを記録する際に用いられる拡張ログ形式の一つで、Commonログ形式に加えて、参照元(リファラー)やユーザーエージェント(ブラウザ情報)などの追加情報を記録するものです。このログ形式は、アクセスログにおいてより詳細な情報を提供するため、ウェブサイトの訪問者の行動や使用しているデバイス、どこから訪問したのかといった情報を把握するのに役立ちます。Apache HTTPサーバーやNginxなど、多くのウェブサーバーで広く使用されています。
典型的なCombinedログ形式のエントリは以下のように記録されます:
Combinedログ形式の構成要素
- クライアントのIPアドレス
- 例:
127.0.0.1
- 接続元のIPアドレスを示します。
- 例:
- リモートログ名
- 通常、この項目はハイフン(
-
)で表されることが多く、特定の環境でのみリモートユーザーが識別される場合に値が記録されます。
- 通常、この項目はハイフン(
- 認証されたユーザーID
- 認証がある場合に記録されるユーザーID。認証がない場合はハイフン(
-
)で表されます。
- 認証がある場合に記録されるユーザーID。認証がない場合はハイフン(
- リクエスト日時
- 例:
[10/Oct/2023:13:55:36 +0000]
- リクエストが受信された日付と時刻を示します。タイムゾーン情報も含まれます。
- 例:
- リクエスト行
- 例:
"GET /index.html HTTP/1.1"
- クライアントが送信したHTTPリクエストの詳細で、メソッド(GET/POSTなど)、リソースのパス、およびHTTPバージョンが含まれます。
- 例:
- ステータスコード
- 例:
200
- リクエストに対するサーバーの応答ステータスコードを示します。
200
は正常なリクエストを表します。
- 例:
- 送信バイト数
- 例:
1043
- クライアントに送信されたバイト数です(ヘッダーを除く)。
- 例:
- 参照元(リファラー)
- 例:
"http://example.com/start.html"
- リクエストが行われる際に参照されたページのURLが記録されます。これにより、訪問者がどのページから来たのかを追跡できます。
- 例:
- ユーザーエージェント(ブラウザ情報)
- 例:
"Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/91.0.4472.124 Safari/537.36"
- クライアントの使用するブラウザやオペレーティングシステムの情報を含む文字列です。これにより、訪問者が使用しているデバイスやブラウザを把握できます。
- 例:
Combinedログ形式のメリット
- 詳細なアクセス情報
- Combinedログ形式は、リファラーやユーザーエージェントの情報を含むため、訪問者の行動や利用環境を詳細に把握することが可能です。これにより、トラフィックの分析や、どのデバイスやブラウザが多く使用されているのかを調べることができます。
- トラフィック解析の向上
- 参照元(リファラー)情報を記録することで、ウェブサイトへのアクセス元を追跡でき、SEOや広告の効果測定に役立ちます。また、ユーザーエージェント情報を活用することで、サイトの最適化やユーザー体験の向上に役立てることができます。
- 問題の特定とトラブルシューティング
- サーバーのログにリクエストとそれに対する応答ステータスが記録されるため、エラーの原因や不正アクセスの痕跡を調査するのに利用できます。
Combinedログ形式の利用例
1. アクセス解析
ウェブサイトの訪問者の行動を分析し、どのページがどのように参照されているかを把握することができます。例えば、特定のページにアクセスが集中している場合や、特定の参照元からの流入が多い場合に対策を講じることができます。
2. セキュリティ監視
Combinedログ形式の情報をもとに、不正なアクセスや攻撃を検知することが可能です。異常なリファラーやユーザーエージェントを監視することで、攻撃の兆候を早期に発見できます。
3. ブラウザやデバイスの最適化
ユーザーエージェントの情報をもとに、訪問者が使用しているブラウザやデバイスに合わせたサイトの最適化を行うことが可能です。
まとめ
Combinedログ形式は、ウェブサーバーのアクセスログにおいて、従来のCommonログ形式に加えてリファラーやユーザーエージェントの情報を含むことで、より詳細なアクセス情報を記録する形式です。これにより、トラフィック解析やセキュリティ監視、訪問者の行動把握が効率的に行えるようになり、ウェブサイトの改善やセキュリティ対策に大きく貢献します。