マスターファイルテーブル(Master File Table、MFT)は、Windows OSが採用するNTFS(New Technology File System)ファイルシステムで使用されるデータベースです。MFTは、ファイルやディレクトリに関する情報を記録し、ディスク上のファイルやフォルダを管理する役割を持っています。MFTには、ファイルの名前、サイズ、作成日時、アクセス許可、物理的なデータ位置など、ファイルに関するメタデータが格納されています。
MFTはディスクのアクセスを効率化し、ファイルシステムのパフォーマンスを向上させる役割も果たしています。ファイルやディレクトリにアクセスする際、NTFSはまずMFTから必要な情報を取得するため、ファイルの検索や管理が高速に行われます。また、NTFSで削除されたファイルもMFT上に一部データが残るため、データ復旧の際に利用されることがある重要な構造です。
MFTの特徴
1. メタデータ管理
MFTには、ファイルやディレクトリに関するすべてのメタデータが記録されています。たとえば、ファイル名、サイズ、作成日時、アクセス権、属性情報、データの物理的な位置などが含まれており、ファイルシステム全体のデータ管理を効率化します。
2. 高速なファイルアクセス
NTFSは、ファイルやディレクトリの位置情報をMFTから直接取得するため、ファイルアクセスのパフォーマンスが向上します。これにより、ファイル検索やアクセス速度が高速化され、ディスクパフォーマンスの向上に貢献しています。
3. データ復旧での利用
MFTには削除されたファイルの情報が一部残る場合があるため、データ復旧の際にも活用されます。データ復旧ソフトウェアは、MFT上のメタデータを解析して、削除されたファイルの復旧を行います。
MFTの構造
MFTは、ディスク上に格納される一連のレコードで構成されています。各レコードには、ファイルやディレクトリに関する情報が保存されており、以下のような情報が含まれます。
- ファイル名:ファイルやフォルダの名前が格納されます。
- ファイル属性:ファイルの読み取り専用、システムファイル、隠しファイルなどの属性情報が含まれます。
- アクセス権:ファイルやフォルダへのアクセス権限に関する情報が含まれます。
- 作成・変更日時:ファイルが作成・更新された日付や時刻が記録されます。
- データの場所情報:ディスク上のどの場所にデータが保存されているかを示す位置情報が含まれます。
各MFTレコードは固定サイズ(通常は1KB)で、ディスクに保存されたファイルの情報を効率よく管理するために使用されています。
MFTの役割と機能
1. ファイルアクセスの管理
MFTは、NTFSファイルシステム内のすべてのファイルおよびフォルダのメタデータを管理し、効率的なファイルアクセスをサポートします。Windows OSがファイルにアクセスする際には、まずMFTにアクセスし、ファイルの場所や属性を確認してからディスクにアクセスします。
2. ファイル削除・復旧の管理
NTFSでファイルを削除しても、ファイルに関するMFTのメタデータはすぐには消去されません。そのため、削除されたファイルの情報がMFTに残っている場合、データ復旧ツールはこの情報をもとに削除されたファイルの復旧を試みることができます。
3. ディスク管理と最適化
MFTは、ディスクの断片化(ファイルがバラバラに保存されること)を防ぐ役割も果たしています。Windowsのデフラグツールなどは、MFTを参照しながらファイルの再配置を行い、ディスクの最適化をサポートしています。
MFTの管理と注意点
MFTの断片化
MFTも他のファイルと同様に断片化する可能性があります。MFTが断片化すると、ファイルのアクセス速度が低下する場合があります。Windowsには「ディスクデフラグツール」が標準で搭載されており、このツールを使ってMFTの断片化を解消することができます。
MFTミラー
NTFSには、MFTのバックアップコピーである「MFTミラー(MFT Mirror)」が存在します。MFTに障害が発生した場合でも、MFTミラーからデータを復元できるようになっており、ファイルシステムの信頼性を向上させています。
MFTの容量不足
MFTが使用する容量はディスクの一部を占有しており、ディスクがほぼ満杯の状態になるとMFTの拡張が難しくなります。その結果、新しいファイルを作成できなくなる可能性があるため、ディスクの容量に余裕を持たせることが推奨されます。
MFTとデータ復旧
MFTはデータ復旧において非常に重要な役割を果たします。ファイルが削除されても、MFTに残されたメタデータ情報をもとにファイルの復旧が可能です。データ復旧ソフトウェアは、MFT上に残された情報を参照してファイルの場所を特定し、削除されたデータを復元することができます。
まとめ
マスターファイルテーブル(MFT)は、NTFSファイルシステムにおける重要なデータベースであり、ファイルのメタデータ管理、ファイルアクセスの高速化、データ復旧など、多岐にわたる役割を担っています。MFTにはファイルやフォルダの情報が記録されており、ディスク上での効率的なファイル管理を可能にしています。MFTの断片化や容量不足には注意が必要であり、定期的なデフラグやディスク管理が推奨されます。また、MFTはデータ復旧の基盤となる情報源でもあり、削除されたファイルの復元において重要な役割を果たしています。