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VACL

VACLは、**VLAN Access Control List(VLANアクセス制御リスト)**の略称で、スイッチング環境で使用されるアクセス制御リスト(ACL)の一種です。VACLは、特定のVLAN内のトラフィックをフィルタリングし、アクセス制御を行うためのメカニズムです。主に、Ciscoのスイッチで使用される用語ですが、他のネットワーク機器ベンダーでも同様の概念が存在します。

VACLの役割

VACLは、ネットワーク内でのトラフィック制御やセキュリティを強化するために以下のような役割を果たします:

1. トラフィックの制御

  • VLAN内部および異なるVLAN間の通信に適用され、特定のパケットの転送、ドロップ、またはリダイレクトを制御します。

2. セキュリティの向上

  • 不要または不正な通信をブロックし、ネットワーク内の攻撃や侵入を防止します。

3. ネットワークの効率化

  • トラフィックを最適化し、不要なデータ転送を減少させることで、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させます。

VACLの特徴

1. スイッチレベルで動作

  • VACLはスイッチング環境で動作し、特定のVLAN内またはVLAN間のトラフィックを制御します。

2. ポートACLとの違い

  • VACLはVLAN単位で適用され、スイッチの物理ポートや仮想インターフェース(SVI)に依存しません。
  • 一方、ポートACLは特定のポートに対して適用されます。

3. 柔軟な適用

  • IPベース(L3)、MACアドレスベース(L2)、または両方を組み合わせて適用できます。

4. 動作アクション

  • permit(許可): トラフィックを許可。
  • deny(拒否): トラフィックを拒否。
  • redirect(リダイレクト): トラフィックを他の場所に転送。

VACLの設定例(Cisco)

以下は、Ciscoスイッチでの基本的なVACL設定の例です:

1. ACLの作成

VACLで使用するアクセスリストを作成します。

arduino
ip access-list extended BLOCK_WEBSITES
permit tcp any any eq 80
deny ip any any

2. VACLの設定

VLANに適用するためのVACLマップを設定します。

python
vlan access-map VACL_MAP 10
match ip address BLOCK_WEBSITES
action drop

3. VLANに適用

特定のVLANに対してVACLマップを適用します。

css
vlan filter VACL_MAP vlan-list 10,20

VACLのメリット

1. セキュリティの向上

  • VLAN内での不正アクセスや不要な通信を防ぐことで、ネットワークの安全性を強化します。

2. 柔軟性

  • L2/L3の条件に基づいてトラフィックを制御できるため、広範囲なセキュリティポリシーを実現します。

3. 高パフォーマンス

  • ハードウェアで動作するため、パフォーマンスへの影響が最小限に抑えられます。

VACLのデメリット

1. 設定の複雑さ

  • ACLやVLANフィルタリングの理解が必要で、設定ミスがセキュリティリスクを引き起こす可能性があります。

2. トラブルシューティングの難しさ

  • VACLによる通信のブロックが原因で、ネットワークの問題を特定するのに時間がかかる場合があります。

VACLの用途

  1. 内部セキュリティの強化
    • VLAN内でのアクセス制御を強化し、不正な通信や攻撃を防ぎます。
  2. 特定のトラフィックのフィルタリング
    • VLAN内のHTTPトラフィックをフィルタリングするなど、特定のプロトコルを制御します。
  3. ネットワーク分離
    • VLAN内で異なるセグメント間の通信を制限し、ネットワークの分離を実現します。

まとめ

**VACL(VLAN Access Control List)**は、VLAN内およびVLAN間のトラフィックを制御するための強力なツールです。セキュリティの強化、不要な通信の削減、柔軟なフィルタリングなどの利点を提供します。

適切に設定することで、ネットワークのセキュリティとパフォーマンスを向上させることができますが、設定ミスや複雑な構成が原因でトラブルを招く可能性もあります。ネットワーク要件を明確にし、慎重に設定を行うことが重要です。


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