ソフトウェア型キーロガー|サイバーセキュリティ.com

ソフトウェア型キーロガー

ソフトウェア型キーロガーは、ユーザーがキーボードで入力した情報を記録するために設計されたプログラムで、特にパスワードや個人情報、クレジットカード情報などの機密情報を盗む目的で使用されます。この種のキーロガーは、ユーザーの端末にソフトウェアとしてインストールされ、ユーザーが気づかないうちにバックグラウンドで動作します。インストール方法は、フィッシングメールや感染したWebサイト、悪意のあるソフトウェアのインストールなどを介して行われることが多いです。

ソフトウェア型キーロガーの仕組みと機能

  1. キーストロークの記録
    ユーザーが入力したキーの内容(キーストローク)をリアルタイムで監視し、記録します。こうして収集したデータを分析することで、攻撃者はパスワードや重要なメッセージの内容、個人情報を取得します。
  2. スクリーンキャプチャ
    一部のソフトウェア型キーロガーは、入力とともにスクリーンショットを定期的に撮影し、入力画面を記録します。これにより、キーストロークだけでは把握できない内容、例えば仮想キーボードや画像で表示される情報も盗むことができます。
  3. クリップボードの監視
    クリップボードにコピーされたテキストデータも記録する機能が備わっている場合があります。これにより、パスワードマネージャーからコピーしたパスワードや、フォームの入力内容なども盗まれる可能性があります。
  4. アクティビティログの記録
    ユーザーが開いたアプリケーションやWebページの情報も記録する機能があるため、どのサイトでどの情報が入力されたかなど、活動の詳細を攻撃者が確認することが可能です。
  5. リモート送信機能
    収集したデータは攻撃者のサーバーに自動的に送信され、これをリモートで監視・取得します。送信は一定の間隔で行われ、盗まれたデータは攻撃者によって即座に分析されます。

ソフトウェア型キーロガーの種類

  1. キー入力記録型
    キーボードから入力されるすべての文字を記録します。キーストロークのデータのみを収集し、シンプルながらも情報収集に有効な方法です。
  2. スクリーンキャプチャ型
    スクリーンショットも取得する機能を備えており、特に仮想キーボードを使って入力されたパスワードや、画像内に表示される機密情報の収集に適しています。
  3. クリップボード監視型
    クリップボードに保存された情報(コピー&ペーストされたデータ)も記録します。これにより、ユーザーが一時的に保存した機密データを盗むことが可能です。
  4. フォームグラバー(Form Grabbing)
    Webフォームに入力された情報を直接取得する機能を持つキーロガーで、特にオンラインバンキングやショッピングサイトでの認証情報を盗む目的で使われることが多いです。
  5. インターネットモニタリング型
    ユーザーのWebブラウジングやアプリケーションの利用状況を記録し、ユーザーの行動や習慣、オンラインサービスの使用状況を把握します。

ソフトウェア型キーロガーの感染経路

  1. フィッシングメール
    フィッシングメールの添付ファイルやリンクからダウンロードされ、ユーザーが気づかないうちにインストールされます。特に「請求書」「配送通知」などの内容で偽装されるケースが多くあります。
  2. 不正なWebサイトの利用
    悪意のあるサイトにアクセスすると、自動的にキーロガーがダウンロードされることがあります。サイト上でのスクリプトがユーザーの操作をトリガーに、バックグラウンドでマルウェアをインストールするように誘導します。
  3. トレントやフリーソフトウェア
    一部のトレントやフリーソフトにキーロガーが仕込まれていることがあり、これをインストールすることでキーロガーが端末に侵入します。
  4. システムやアプリケーションの脆弱性
    古いソフトウェアや未更新のシステムの脆弱性を突いて、リモートからキーロガーがインストールされる場合もあります。

ソフトウェア型キーロガーによるリスク

  1. パスワードや機密情報の漏洩
    ログイン情報や認証コード、個人情報などが盗まれ、不正アクセスやなりすまし被害が発生するリスクがあります。
  2. 金融被害
    クレジットカード情報やオンラインバンキングのパスワードが盗まれると、経済的な被害につながる可能性が高まります。
  3. 企業の機密情報流出
    企業の端末にキーロガーがインストールされると、内部情報や顧客情報などが外部に漏洩し、企業の信用失墜や経済的損害が生じます。
  4. プライバシー侵害
    個人の行動や通信内容が記録されるため、私生活やオンラインでの活動がすべて攻撃者に把握されるリスクがあります。

ソフトウェア型キーロガーの対策

  1. セキュリティソフトの導入と更新
    アンチウイルスやスパイウェア対策ソフトをインストールし、最新の状態に保ちます。これにより、ソフトウェア型キーロガーの検出・駆除が可能です。
  2. 多要素認証(MFA)の利用
    パスワードだけでなく、SMS認証やバイオメトリクス認証など、複数の認証を組み合わせることで、不正アクセスを防ぎます。
  3. ソフトウェアとOSの最新バージョンの維持
    アプリケーションやOSを最新バージョンに更新し、脆弱性が悪用されないようにします。特にブラウザやプラグインは頻繁に更新し、セキュリティリスクを低減します。
  4. 仮想キーボードの使用
    金融機関や機密情報を入力する際に仮想キーボードを使用することで、キーストロークを回避することができます。ただし、スクリーンキャプチャ型のキーロガーに対しては効果が限定されるため、他の対策と併用することが推奨されます。
  5. 不審なメールや添付ファイルの取り扱いに注意
    フィッシングメールの添付ファイルや、信頼できないリンクを開かないようにします。不明な送信者からのメールは即座に削除するか、開かないことが推奨されます。
  6. 定期的なログの確認と監視
    システムログやファイルアクセス履歴を定期的に確認し、不審なアクセスやアクティビティがないかを監視します。特にキーストローク記録の兆候があれば、すぐに対策を講じることが必要です。

ソフトウェア型キーロガーの発見方法

  1. プロセスモニタリング
    タスクマネージャーやプロセスモニターを使って、バックグラウンドで動作している不審なプロセスがないかを確認します。リソースを多く消費しているアプリケーションや不審なプロセスが発見された場合は、キーロガーの疑いがあります。
  2. システムパフォーマンスの監視
    キーロガーが稼働していると、通常よりもPCの動作が遅くなる場合があります。特に、CPUやメモリの使用量が異常に高い場合、不審なプログラムが動作している可能性があります。
  3. アンチスパイウェアツールの利用
    特定のアンチスパイウェアツールを使用して、キーロガーの検出と駆除を行います。キーロガーに特化したツールもあり、ソフトウェア型キーロガーを迅速に特定できます。

まとめ

ソフトウェア型キーロガーは、入力内容を記録して盗む危険なツールで、フィッシングメールや不正なWebサイト、古いソフトウェアの脆弱性などを通じてインストールされます。個人情報や認証情報、企業の機密情報を盗むことが目的であり、発見が難しいため定期的な監視や多要素認証の導入など、強固なセキュリティ対策が求められます。


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