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MECM

MECM(Microsoft Endpoint Configuration Manager)**は、Microsoftが提供するエンドポイント管理ツールであり、従来のSystem Center Configuration Manager(SCCM)を進化させたものです。MECMは、企業や組織がPC、モバイルデバイス、サーバー、アプリケーションなどのエンドポイントを効率的に管理するためのプラットフォームを提供します。

MECMは、オンプレミス環境だけでなく、Microsoft Intuneなどのクラウドベースのサービスと連携することで、ハイブリッド環境の管理も可能にしています。この統合された管理機能により、セキュリティポリシーの適用、ソフトウェアの配布、OSのデプロイなど、幅広い管理タスクを効率化できます。

MECMの主な機能

1. ソフトウェア配布

MECMを使用すると、組織内のエンドポイントにアプリケーションや更新プログラムを効率的に配布できます。特定のユーザーやデバイスにソフトウェアをターゲティングし、自動的にインストールを実行することが可能です。

2. OSデプロイ

Windows OSのイメージ展開やアップグレードを効率的に実施します。新しいデバイスの導入や、既存デバイスのリカバリ時に迅速な展開を実現します。

3. セキュリティとコンプライアンスの管理

エンドポイントにセキュリティポリシーを適用し、システムのコンプライアンス状況を監視します。アンチウイルスソフトウェアやファイアウォールの設定を一元的に管理できます。

4. パッチ管理

Windows Updateや他のサードパーティ製ソフトウェアの更新プログラムを管理し、エンドポイントが常に最新の状態に保たれるようにします。

5. リモート管理

リモートデバイスへのアクセスや管理をサポートし、物理的なアクセスが難しい環境でもエンドポイントの制御を可能にします。

6. インベントリ管理

エンドポイントにインストールされているハードウェアおよびソフトウェアの詳細な情報を収集し、資産管理を容易にします。

MECMの構成要素

MECMは以下の主な構成要素から成り立っています:

1. 管理コンソール

MECMの操作を行うGUIツールで、ソフトウェア配布やOSデプロイ、セキュリティ設定などのすべての管理タスクを一元的に実行できます。

2. サイトシステム

MECM環境を構成するサーバーの役割です。管理サイトや配布ポイントなどの役割があり、これらが連携して管理業務を実行します。

3. クライアントエージェント

各エンドポイントにインストールされるソフトウェアで、MECMサーバーと通信して指示を受け取り、各種管理タスクを実行します。

4. クラウド連携

MECMは、Microsoft Intuneと統合することで、クラウドベースのデバイス管理機能を拡張できます。この連携により、オンプレミスとクラウド環境をシームレスに管理可能です。

MECMのメリット

1. 一元管理

オンプレミスとクラウドの両方のエンドポイントを統一的に管理できるため、運用効率が向上します。

2. 高い柔軟性

組織の規模や要件に応じて、必要な機能を選択的に活用できるため、小規模から大規模な企業まで対応可能です。

3. セキュリティ強化

セキュリティポリシーの一元管理や迅速なパッチ適用により、エンドポイントのセキュリティを強化できます。

4. コスト削減

MECMを利用することで、IT部門の運用負担を軽減し、効率的なリソース配分が可能となります。

MECMとMicrosoft Intuneの比較

特徴 MECM Microsoft Intune
管理対象 主にオンプレミス環境 クラウドベースのデバイス管理
配布形式 ローカルネットワーク経由で配布 インターネット経由で配布
セキュリティ設定 高度なポリシー設定が可能 BYOD(Bring Your Own Device)にも対応
管理対象OS Windows中心 Windows、iOS、Android、macOS
連携 Intuneと統合可能 MECMとの統合で機能拡張

MECMの活用事例

  1. 企業のIT資産管理 数百台から数千台のPCやモバイルデバイスを効率的に管理し、セキュリティパッチやアプリケーションの更新を一元的に実施。
  2. OSアップグレードプロジェクト Windows OSの大規模なアップグレードを短期間で実施し、従業員の生産性を維持しながら移行を完了。
  3. ハイブリッド環境の管理 オンプレミスとクラウドにまたがるIT環境で、セキュリティポリシーを一貫して適用し、管理を効率化。

MECM導入時の注意点

  1. 初期設定の複雑さ MECMは機能が豊富な反面、初期設定や環境構築に時間と専門知識が必要です。
  2. クラウド連携の最適化 MECMをクラウドと統合する際には、Microsoft Intuneとの併用が鍵となるため、その統合戦略を明確にする必要があります。
  3. ハードウェア要件 MECMサーバーの設置や管理には、十分なリソースを確保する必要があります。

まとめ

MECM(Microsoft Endpoint Configuration Manager)は、エンドポイントの効率的な管理を実現する強力なツールであり、企業のIT運用を包括的にサポートします。特に、オンプレミス環境やハイブリッド環境を管理するニーズがある企業にとって、MECMは欠かせないソリューションです。導入時には、組織の要件に応じた適切な設定やMicrosoft Intuneとの連携を検討し、最大限の効果を引き出すことが重要です。


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