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Kimsuky

Kimsukyは、北朝鮮に関連するとされるサイバー攻撃グループで、主に情報収集とスパイ活動を目的としています。このグループは2013年頃から活動が確認されており、政治的、経済的に重要な対象を標的とする高度な持続的脅威(APT:Advanced Persistent Threat)グループの一つとされています。特に韓国やアメリカを含む複数の国の政府機関、軍事関連団体、研究機関、エネルギー産業を標的にした攻撃が報告されています。

Kimsukyの特徴

1. 情報収集に特化

Kimsukyの主な目的は、標的の機密情報や知的財産を盗むことです。これには、政府関係者の通信、研究データ、政策情報などが含まれます。

2. 標的型攻撃

フィッシングメールやマルウェアを使用して、特定の個人や組織を狙う攻撃を行います。特に、外交政策や安全保障に関連する人物がターゲットとなることが多いです。

3. 高度なソーシャルエンジニアリング

Kimsukyは、標的に合わせてカスタマイズされたフィッシングメールを作成するなど、ソーシャルエンジニアリングを駆使します。これにより、標的の不注意を誘い、マルウェアを実行させたり、認証情報を取得します。

4. 多様な攻撃手法

Kimsukyは、以下のような攻撃手法を用います。

  • スピアフィッシングメール:特定の対象に向けて送られるメールで、悪意のあるリンクや添付ファイルが含まれる。
  • マルウェアの配布:バックドアやリモートアクセスツール(RAT)を使用して、感染したデバイスを制御。
  • キーロガーの使用:標的のキーボード入力を記録し、認証情報を取得。
  • 偽のWebポータル:ログイン情報を盗むためのフィッシングサイトを設置。

5. 継続的な進化

Kimsukyは、検出を回避するために攻撃手法を定期的に更新しています。これは、ツールの進化や新しい技術の採用により実現されています。

主な攻撃事例

1. 韓国政府機関への攻撃

韓国の外交官や政策立案者をターゲットに、スピアフィッシングメールを送り、マルウェアを展開。政策に関する内部情報の収集が目的とされています。

2. Think Tankや研究機関への攻撃

Kimsukyは、安全保障や国際関係に関する研究を行うシンクタンクを標的とし、研究データや通信内容を窃取。

3. 暗号資産関連の攻撃

暗号資産取引所やウォレットを標的に、資産を不正に取得する攻撃も報告されています。これは、北朝鮮の外貨獲得の一環として行われているとされています。

使用されるツールと技術

  1. BabyShark Kimsukyが使用するマルウェアの一種で、標的のデバイスに感染し、情報収集や制御を行う。
  2. PowerShellベースのツール PowerShellスクリプトを使用して、感染の拡大や追加のマルウェアを展開。
  3. Google DriveやDropboxの悪用 クラウドストレージサービスを利用して、データのアップロードや指令の受信を行う。
  4. Keylogger 標的のキーボード入力を記録し、認証情報や機密情報を取得。

防御策

1. メールのセキュリティ強化

フィッシングメールへの対策として、スパムフィルタやメールのセキュリティソリューションを導入する。

2. 認証情報の保護

多要素認証(MFA)を導入し、認証情報が盗まれた場合でも不正アクセスを防止する。

3. マルウェア対策

エンドポイントセキュリティを強化し、マルウェアの検出と駆除を自動化する。

4. 従業員教育

ソーシャルエンジニアリングへの耐性を高めるため、従業員に対してセキュリティトレーニングを実施。

5. ネットワーク監視

ネットワークトラフィックを監視し、不審な通信や異常な挙動を早期に発見する。

まとめ

Kimsukyは、高度な技術と巧妙な手法を駆使するサイバー攻撃グループであり、情報収集やスパイ活動を主な目的としています。その攻撃は政治、経済、国際安全保障に関連するターゲットに集中しており、標的型攻撃やソーシャルエンジニアリングを得意としています。組織や個人は、防御策を徹底することでKimsukyの脅威に対処し、情報資産を保護することが求められます。

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