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KEV

KEV(Known Exploited Vulnerabilities)は、既知の悪用されている脆弱性を指し、サイバー攻撃者によって積極的に利用されているセキュリティ上の欠陥を特定したものです。これらの脆弱性は、特に攻撃者にとって有用で、システムやネットワークへの侵入、情報の窃取、マルウェアの展開などの手段として悪用されています。

KEVは、セキュリティパッチが公開されているにもかかわらず、適切な対策が行われていないシステムをターゲットにした攻撃に多く利用されます。国家や産業レベルでのサイバーセキュリティ戦略において、KEVの管理は重要な要素です。

KEVの重要性

1. 攻撃の主な切り口

KEVは、攻撃者が最も効果的にシステムに侵入する手段の一つです。これらの脆弱性は、ゼロデイ脆弱性とは異なり、既に公開されているものの、未修正または修正が不十分な場合に悪用されます。

2. セキュリティ管理の優先順位

KEVは、膨大な数の脆弱性の中で特に対策を優先すべき項目として位置づけられています。これらの脆弱性を迅速に修正することで、重大な攻撃を未然に防ぐことが可能です。

3. グローバルなサイバーリスクの軽減

KEVの管理は、個別の組織だけでなく、国際的なサイバーセキュリティの強化にも寄与します。

KEVの主な特徴

1. 既知の脆弱性

KEVは、すでに脆弱性情報が公開され、攻撃者による利用が確認されているものを指します。

2. 攻撃コードの入手が容易

KEVの多くは、攻撃コードが広く出回っており、技術的なスキルがなくても攻撃が可能です。

3. 幅広い影響範囲

KEVは、オペレーティングシステム、ネットワーク機器、ソフトウェアなど、さまざまな分野で見られ、幅広い影響を及ぼします。

KEVに関連する具体的な事例

  1. Log4Shell(CVE-2021-44228)
    • Apache Log4jライブラリのリモートコード実行(RCE)脆弱性。
    • 世界中で数千万台のシステムが影響を受け、広範囲に悪用されました。
  2. ProxyLogon(CVE-2021-26855など)
    • Microsoft Exchange Serverの脆弱性で、リモートコード実行や情報漏洩が可能。
    • 国家支援のAPTグループが攻撃に使用。
  3. EternalBlue(CVE-2017-0144)
    • Windowsの脆弱性で、WannaCryランサムウェアの拡散に利用されました。

KEV管理の重要性と対策

1. 脆弱性情報の定期的な確認

脆弱性データベース(例:CISAのKnown Exploited Vulnerabilities CatalogやNVD)を活用し、KEVのリストを常に最新の状態に保つ。

2. 迅速なパッチ適用

公開されているセキュリティパッチを速やかに適用し、攻撃のリスクを軽減する。

3. 脆弱性スキャン

定期的にネットワークやシステムをスキャンし、未修正の脆弱性を特定。

4. ネットワークセグメンテーション

KEVが悪用された場合でも、被害が全体に波及しないようにネットワークを分割。

5. セキュリティ教育

従業員やシステム管理者にKEVのリスクと対策についての教育を実施。

KEVのグローバルな取り組み

KEVへの対応は、国家レベルのセキュリティ戦略において重要視されています。アメリカのCISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)は、Known Exploited Vulnerabilities Catalogを提供しており、世界中の組織がこれを参考にして脆弱性対策を講じています。

まとめ

KEVは、既知の脆弱性が攻撃者によって積極的に悪用されるという重大なリスクを表しています。これらの脆弱性を迅速に修正し、システムの防御を強化することは、サイバー攻撃を未然に防ぐために不可欠です。脆弱性情報の監視、適切なパッチ適用、セキュリティ意識の向上を通じて、KEVに対する効果的な防御体制を確立することが求められます。


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