「Excelファイルにパスワードをかけたけど、忘れてしまった!」「昔作ったExcelが開けなくて業務が止まってしまった!」——こんな経験はありませんか。
本記事では、自分が所有・管理するExcelファイルのパスワードを忘れた場合に使えるパスワード解除ツールと手順を、初心者にもわかりやすく解説します。
この記事の目次
Excelパスワードの種類と解除の難易度
Excelのパスワードには複数の種類があり、種類によって解除の難易度が大きく異なります。まず自分がどのタイプを忘れたかを確認しましょう。
Excelパスワードの種類と解除フロー

| パスワードの種類 | 状況 | 難易度 | 解除方法 |
|---|---|---|---|
| 読み取りパスワード | ファイル自体が開けない | 🔴 難しい | 専用の解析ツールが必要 |
| 書き込みパスワード | 開けるが編集・保存できない | 🟡 やや簡単 | 読み取り専用で開いて別名保存 |
| シート保護パスワード | 特定シートのセルを編集できない | 🟢 比較的簡単 | VBAマクロまたは拡張子変更で解除 |
| ブック保護パスワード | シートの追加・削除ができない | 🟢 比較的簡単 | VBAマクロまたは拡張子変更で解除 |
「誰かが設定したシート保護のパスワードを誰も知らない」というケースが最多です。シート保護はVBAで比較的簡単に解除できます。
ツールを使う前に試す3つの手順
解析ツールを使う前に、まず以下を確認してください。これだけで解決するケースも多いです。
手順①:バックアップ・クラウドを確認する
OneDriveやSharePoint・社内ファイルサーバーに古いバージョンが保存されていないかを確認します。OneDriveは「バージョン履歴」から以前のバージョンを復元できる場合があります。パスワードを設定する前のバージョンが残っていれば、解除作業は不要です。
手順②:よく使うパスワードを試してみる
誕生日・電話番号・名前・会社名など、自分がよく使うパスワードをいくつか試してみましょう。また、ファイルを作成・共有した人に確認を取ることも忘れずに。
手順③:メモ・メール・チャット履歴を確認する
パスワードを設定したときにメモに残していないか確認してください。パスワード管理ツールや、メール・チャットの履歴にパスワードが残っていることもあります。
ツールを使わずに解除できる方法
方法①:書き込みパスワードは「読み取り専用で開いて別名保存」
書き込みパスワードのみの場合(ファイルは開ける状態)、読み取り専用で開いた後に「名前を付けて保存」で新しいファイルとして保存すれば、書き込みパスワードのない新しいファイルが作成できます。
方法②:シート保護はVBAマクロで解除できる(旧形式.xlsのみ)
Excel 2010以前の旧形式(.xls)のシート保護は、VBAマクロを実行することで解除できる場合があります。
VBAによるシート保護解除の手順
- 解除したいExcelファイルを開く
- 「Alt + F11」キーでVBAエディタを開く
- 「挿入」→「標準モジュール」を選択
- 下記のコードを貼り付けて「F5」で実行する
- 「解除成功!」と表示されれば完了
【VBAコード】シート保護解除
Sub BreakSheetPassword()
Dim i As Integer, j As Integer, k As Integer
Dim l As Integer, m As Integer, n As Integer
Dim i1 As Integer, i2 As Integer, i3 As Integer
Dim i4 As Integer, i5 As Integer, i6 As Integer
On Error Resume Next
For i = 65 To 66: For j = 65 To 66: For k = 65 To 66
For l = 65 To 66: For m = 65 To 66: For i1 = 65 To 66
For i2 = 65 To 66: For i3 = 65 To 66: For i4 = 65 To 66
For i5 = 65 To 66: For i6 = 65 To 66: For n = 32 To 126
ActiveSheet.Unprotect Chr(i) & Chr(j) & Chr(k) & _
Chr(l) & Chr(m) & Chr(i1) & Chr(i2) & Chr(i3) & _
Chr(i4) & Chr(i5) & Chr(i6) & Chr(n)
If ActiveSheet.ProtectContents = False Then
MsgBox "解除成功!"
Exit Sub
End If
Next: Next: Next: Next: Next: Next
Next: Next: Next: Next: Next: Next
End Sub
このコードは「A・Bなどの文字を片っ端から組み合わせて試し続け、シートの鍵が開いたら終了」という総当たり解析です。Excel 2010以前の旧形式(.xls)は暗号化が弱いため、実際のパスワードではなく「同じ効果を持つ別の文字列」を見つけるだけで解除できてしまいます。
このVBAコードが使える条件
- Excel 2010以前の旧形式(.xls)のシート保護に有効
- Excel 2013以降の.xlsx形式には使えません(暗号化が強化されているため)
- 読み取りパスワード(ファイルを開くパスワード)には使えません
- 作業前に必ずファイルのコピーを作成してください
方法③:拡張子を.zipに変更する(.xlsx形式・シート保護のみ)
.xlsx形式のファイルはXML形式の圧縮ファイルです。シート保護に限り、以下の手順で解除できる場合があります。
- Excelファイルのコピーを作成する(元ファイルは絶対に触らない)
- コピーファイルの拡張子を「.xlsx → .zip」に変更する
- .zipファイルを解凍する
- 「xl」→「worksheets」フォルダ内の「sheet1.xml」をテキストエディタで開く
- 「<sheetProtection」から始まるタグを探して丸ごと削除する
- 保存後、拡張子を「.zip → .xlsx」に戻す
読み取りパスワード(ファイルを開くパスワード)には使えません。Microsoft 365など最新環境では強固な暗号化が施されており、この手法では解除できないケースがほとんどです。
Excelパスワード解除ツールおすすめ5選
読み取りパスワード(ファイルを開くパスワード)を忘れた場合は、専用の解析ツールが必要です。

PassFab for Excel
初心者でも操作しやすいGUIを持つWindowsソフトです。GPU加速による高速解析に対応しており、総当たり・辞書・マスクの3種類の攻撃モードを選べます。
- 対応OS:Windows
- 料金:有料(試用版あり)
- 対応形式:Excel 97〜2019・Microsoft 365
- 特徴:GPU加速・3種の攻撃モード・日本語対応
LostMyPass
ファイルをブラウザ上でドラッグ&ドロップするだけで解析できるオンラインツールです。シンプルなパスワードや権限パスワードの削除は無料で対応しています。
個人情報・社外秘データが含まれる場合は必ずローカル実行型のツールを使いましょう。
Passper for Excel
読み取りパスワードの解除に特化した高性能ツールです。AIによるパスワード推測機能を搭載しており、解析速度が速いことが特徴です。30日間返金保証あり。
- 対応OS:Windows
- 料金:有料
- 対応形式:Excel 97〜Microsoft 365
- 特徴:AI推測機能・GPU加速・シート保護解除も可能
Aspose
パスワードはわかっているが何らかの理由でExcelから解除できない場合に使えるオンラインツールです。ファイルをアップロードしてパスワードを入力するだけで解除でき、アップロードファイルは24時間後に削除されます。
エクセルパスワード瞬時解除
Excel 2007/2010/2013向けの無料アドインです。インストール後はExcelのツールバーから「シートパス解除」「ブックパス解除」をワンクリックで実行できます。ただし、読み取りパスワードには対応していません。
| ツール名 | 料金 | 形式 | 読み取りPW | シート保護 | 安全性 |
|---|---|---|---|---|---|
| PassFab for Excel | 有料(試用版あり) | ローカル | ◎ | ◎ | ◎ |
| LostMyPass | 無料〜 | オンライン | ○ | ◎ | △ 機密NG |
| Passper for Excel | 有料 | ローカル | ◎ | ◎ | ◎ |
| Aspose | 無料〜 | オンライン | ○(PW要) | ○ | △ 機密NG |
| エクセルパスワード瞬時解除 | 無料 | アドイン | × | ◎ | ○ |
無料ツールに潜む3つのリスクと安全な選び方
「無料・即解除」を謳うツールには危険なものも多くあります。

危険①:マルウェア・バックドアの仕込み
信頼性のないフリーソフトの多くは、インストール時にバックグラウンドでアドウェアやバックドア(不正侵入経路)を仕込むものがあります。特に海外の怪しいサイトからのダウンロードは非常に危険です。
危険②:オンラインツールへの機密情報アップロード
「ファイルをアップロードするだけ」タイプのオンラインツールは、企業の機密情報や個人情報がサーバーに送信されるリスクがあります。業務データの場合は必ずローカル実行型のツールを使いましょう。
危険③:社内コンプライアンス違反
社内規定で非公式ソフトの使用が禁止されている場合、万が一情報漏洩が発生した際に管理責任を問われます。
安全なツールの選び方チェックリスト
- 開発元が明確なソフトウェアベンダーか
- Windowsのプロパティ→「デジタル署名」タブで署名があるか
- クラウドアップロードを要求しないローカル実行型か
- VirusTotalでスキャンして検知されないか
- 試用版があり実環境でテストしてから購入できるか
解除できない場合は?
専門業者に依頼する
パスワードが長く複雑な場合は専門業者への依頼が確実です。費用は数万円〜数十万円、期間は数日〜1週間程度が一般的です。依頼前にPマーク取得・NDA締結・データ完全削除の保証を確認してください。
データをあきらめて再作成する
スクリーンショットや印刷物から内容を確認できる場合は、再作成の方が早いケースもあります。
無料ツール・オンラインサービス利用時の被害事例2選
事例1:偽インストーラーにマルウェアが混入していた事例
2020年、Web会議ツール「Zoom」を装った偽インストーラーに、バックドアやボットネット型マルウェアが混入していた事例が確認されました。偽インストーラーは、正規のアプリも同時に導入するため、利用者が感染に気づきにくい点が特徴です。Excelパスワード解除ツールでも、「無料」「即解除」などをうたう不審なソフトには、マルウェアが仕込まれている可能性があります。ツールを利用する場合は、必ず開発元が明確な公式サイトから入手し、事前にウイルススキャンを行いましょう。
事例2:クラウドストレージの設定ミスで個人情報が外部閲覧可能になった事例
労務管理サービス「WelcomeHR」では、ストレージサーバーのアクセス権限設定ミスにより、16万2,830人分の個人情報が外部から閲覧可能な状態となり、うち15万4,650人分について第三者によるダウンロードが判明しました。Excelパスワード解除のオンラインツールも、ファイルを外部サーバーへアップロードする仕組みです。顧客情報・契約情報・給与情報などを含むExcelファイルは、オンラインツールにアップロードせず、ローカル環境で扱うことが重要です。
二度とパスワードを忘れないための再発防止策
パスワードマネージャーを導入する
1Password・Bitwarden・KeePassなどのパスワードマネージャーを使い、設定したパスワードを必ず記録・管理しましょう。企業はIDaaS(ID as a Service)などの組織単位での管理ツールの導入を検討してください。
IDベースのアクセス管理に移行する
ファイル単位のパスワード管理は属人化・忘却リスクが高いです。Active DirectoryやAzure ADによるフォルダー権限設定、SharePointやOneDriveなどのIDベース管理に移行することで問題を根本から解決できます。
定期的なバックアップを取る
クラウドストレージへの自動バックアップを設定しておけば、パスワードを設定する前のバージョンから復元できます。
よくある質問(FAQ)
Q. Excelパスワード解除ツールの使用は違法?
自分が所有・管理するファイルに対して正当な権限を持って行う分には違法ではありません。ただし、他人のExcelファイルを許可なく解除する行為は不正アクセス禁止法違反・著作権法違反に該当する可能性があります。
Q. Macでもパスワードを解除できますか?
Macではローカル実行型ツールの選択肢が少ないため、LostMyPassなどのオンラインツールか、Windowsの仮想環境を使う方法が一般的です。機密情報を含むファイルのオンラインアップロードは避けてください。
Q. 作業中にファイルが壊れることはありますか?
解析ツールによる解除では通常ファイルは壊れません。ただし拡張子変更・XML編集などの手動作業は、操作ミスでファイルが破損するリスクがあります。作業前には必ずファイルのコピーを作成してください。
Q. 何文字以上のパスワードは解析できませんか?
英数字のみで8文字以下なら解析できる可能性があります。10文字以上の英数字+記号は現実的な時間での解析が非常に困難です。Excel 2013以降のAES-256暗号化は特に解析が困難です。
Q. 解析に時間がかかりすぎます。早くする方法は?
「パスワードの文字数を覚えている」「先頭の文字がわかる」などの手がかりがあれば、マスク攻撃モードを使うと解析時間を大幅に短縮できます。PassFab for ExcelやPassper for Excelはマスク攻撃に対応しています。
まとめ
Excelパスワードを忘れた場合、まずはバックアップの確認・よく使うパスワードを試す・共有者への確認を行いましょう。
シート保護であればVBAマクロ(旧形式.xlsのみ)や拡張子変更で無料解除できる場合があります。読み取りパスワードを忘れた場合は、PassFab for ExcelやPassper for Excelなどの信頼できるローカル実行型ツールを使いましょう。
無料ツールやオンラインツールにはマルウェアリスクと情報漏洩リスクがあるため、特に企業の機密情報が含まれるファイルはオンラインツールへのアップロードを絶対に避け、デジタル署名があり開発元が明確なローカル実行型ツールを選んでください。
























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本記事は自分が所有・管理するファイルのパスワードを忘れた方向けです。他人のExcelファイルを無断で解除する行為は不正アクセス禁止法違反・著作権法違反に当たる可能性があり、絶対に行わないでください。