近年さまざまな業界で感染被害が報告されている「ランサムウェア」は、パソコンだけでなくスマホでも感染します。
今回はスマホがランサムウェアに感染した際に起こる具体的な症状と対処方法、ランサムウェアに感染しないための対策を紹介します。
大切なスマホをランサムウェアから守るためには、どうすればよいかが具体的に理解できる内容となっています。社内携帯としてスマホを導入予定の企業の皆さまや、スマホのセキュリティを高めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
ランサムウェアとは
ランサムウェアとはパソコン・スマホ内のデータに対して30文字以上の長いパスワードをかける等と暗号化して、そのパスワード解除と引き換えに身代金を要求するマルウェアの一種です。
ランサムウェアはスマホでも感染する?
ランサムウェアはスマホでも感染します。特に最近ではiPhoneユーザーに対して非公式のAppleストアに誘導し、ランサムウェア付きのアプリをインストールさせる手口も発見されています。
従来から狙われやすいWindows環境下のAndroid端末だけではなく、Mac環境下のiPhoneでもランサムウェアに感染する可能性が十分あり、油断は禁物です。
ランサムウェアがスマホに感染したらどうなる?
ランサムウェアに感染するとスマホの画面がロックされたり、操作ができなくなります。
スマホがランサムウェアに感染した際には、以下のように画面表示されるケースがあります。
スマホがランサムウェアに感染すると、あたかも個人を特定したかのような画面が表示されます。また、金銭を要求する画面が表示される場合もあります。
これから、スマホがランサムウェアに感染した際に起こる現象や、ウイルスに感染した際に起こる現象について、詳しく解説していきます。
スマホがランサムウェアが感染した際に起こる現象
スマホがランサムウェアに感染した際に起こる現象は以下の3つです。
- 操作不能になる(電源も切れない)
- 金銭を要求する文面がでてくる
- ポップアップ広告が消せない
順番に解説していきます。
操作不能になる(電源も切れない)
ランサムウェアに感染すると、電源すら切れないといった操作不能状態になる場合も少なくありません。例えばロック型ランサムウェアに感染した場合、ランサムウェアが携帯のPINコードを勝手に変えられてしまうため、ユーザーは身代金を支払う以外の操作ができません。
金銭を要求する文面がでてくる
スマホがランサムウェアに感染すると、金銭を要求する画面が出ます。例えば法務省等の公的機関を装った攻撃者から「あなたは犯罪を犯しています。期日までに罰金を支払ってください」と、罰金を支払うように警告する画面が表示されます。
ポップアップ広告が消せない
ポップアップ広告がしつこく出続け、消せなくなる場合があります。広告を消すためにタップし続けると、架空請求を行う偽サイトに誘導されたり、不正ファイルがダウンロードされてしまうため注意してください。
スマホがランサムウェアに限らずウイルスに感染した際に起こる現象
ここからは、ランサムウェアに限らず、スマホがウイルスに感染した際によく起こる現象を紹介します。スマホウイルスに対する知識の参考としてご覧ください。
バッテリーの消費が増える
バッテリーの減りが早い場合は、ウイルス感染の可能性があります。Apple公式サイトによると、iPhoneのバッテリーは500回のフル充電サイクルを経過した状態でも、80%の蓄電容量を保つよう設計されています。そのためバッテリーの最大容量が80%を下回る場合、ウイルス感染しているかもしれません。
参照iPhoneのバッテリーとパフォーマンス/Apple
インストールした覚えのないアプリがある
インストールした覚えのないアプリがある場合、ウイルス感染の可能性があります。不審なアプリを見つけたら、開かずに削除しましょう。
アプリが頻繁に落ちる
ランサムウェアはスマホのバックグラウンドで起動し続け、多くのストレージを必要とします。そのためアプリが頻繁に落ちる場合にはウイルス感染の可能性が高いです。
データが削除される
スマホのデータが知らない間に消えている場合には、ウイルス感染が考えられます。
スマホの動作が遅くなる
ストレージ容量に十分余裕があるのにスマホの動作が遅くなる場合には、ウイルス感染を疑いましょう。
カメラアプリが勝手に起動する
サイバー攻撃者のなかには個人情報を狙う攻撃者もいます。そのためカメラアプリが勝手に起動する場合は、盗撮や盗聴を目的としたウイルスに感染しているかもしれません。
スマホが勝手に再起動する
スマホが頻繁に再起動を繰り返す場合はウイルス感染しているかもしれません。再起動を繰り返すことで、ウイルスが動作しやすいようにスマホの環境設定を変更する場合もあります。
ランサムウェアがスマホに感染した際にすぐ行う対処方法
ここからは、ランサムウェアがスマホに感染した場合にすぐ行う対処方法を紹介します。
ランサムウェアに感染すると、自分だけでなく家族・友人・知人にも被害が及ぶ場合があります。あわてず、冷静に対処していきましょう。
iPhoneの場合
iPhoneがランサムウェアに感染した場合、すぐに行う対処法は以下の4つです。
- ネット回線から切断
- ウイルス対策アプリのインストール
- iOSを最新版にアップデート
- 端末の初期化
- 専門の業者に依頼
まずは感染が疑われるiPhoneをインターネット回線から切断しましょう。Wi-Fiをオフにし、機内モードにします。インターネット回線から切断することで、自宅のWi-Fiからパソコンへのウイルス侵入が防げます。
また金銭を要求するポップアップ画面のまま操作ができなくなった場合は、早急に専門の業者に相談しましょう。
Androidの場合
Androidがランサムウェアに感染した場合には、以下の5つを試してみてください。
- ネット回線から切断する
- 端末をセーフモードにする
- 不正と思われるアプリを特定し、削除する
- 端末を初期化する
- 専門の業者に依頼する
特にAndroidの場合は「セーフモード」が、ランサムウェアに対して有効に働く場合があります。端末をセーフモードにすると、Google以外のアカウントが作成したアプリの実行が停止され、ウイルスが原因の動作不具合が推測できます。
セーフモードの状態で疑わしいアプリをアンインストールすると、端末の管理アクセスが無効となり感染源そのものを削除できます。
身代金を支払うのは絶対しちゃだめ
ランサムウェア攻撃では、スマホをロックしたうえで警告画面やアダルトサイトの広告が出続ける場合があります。電源も切れず焦る気持ちや恥ずかしさから身代金を支払って解決したいと思う方も多いでしょう。
しかし、身代金を支払ってもパソコン・スマホのデータが回復するケースはほぼありません。そのため身代金を要求されても、絶対に支払わないようにしましょう。
スマホがランサムウェアに感染しないための対策
スマホがランサムウェアに感染しないためには、日頃の対策が重要です。ここでは、スマホのランサムウェア感染予防対策について紹介します。
信用ができないサイトにアクセスしない
海外ドメインやアダルトサイトなど、信用ができないサイトにはアクセスしないでください。特に、https://の後が「vp」で始まるサイトは信頼性が低い偽サイトの可能性があるため、注意しましょう。
不審なメールやURL・添付ファイルを開かない
不審なメールやURL・添付ファイルは、開かないようにしましょう。特に個人あてにメールを送らない「金融庁や消費者庁、運送会社」等のメールには、注意が必要です。
OSやアプリのバージョンを最新版にしておく
OSやアプリのバージョンを最新版にしておくのも、ランサムウェア対策に有効です。OSのアップデートでは、ランサムウェアに狙われる原因となる「脆弱性」を減らしています。
iPhoneでは自動アップデート機能をオンにすることで、常に最新のiOSに更新されます。
公式ストアからアプリをダウンロードする
アプリをダウンロードする際は、AppleストアやGoogleplayなど公式ストアから行いましょう。なぜなら、公式ストア内のアプリは公開前にAppleやGoogleの審査を通過しているため、安全性が高いといえるからです。
スマホがランサムウェアに感染した時の為にしておくこと
「自分だけは大丈夫」と思っていても、ランサムウェアに感染することはあります。ここでは、スマホがランサムウェアに感染した時の為にしておくことを紹介します。
データのバックアップを取っておく
ランサムウェアに感染したスマホは初期化される可能性もあるため、データ紛失で後悔しないためにも、日頃からバックアップをこまめに取るようにしましょう。
ランサムウェアを検知する対策ツールを利用する
ランサムウェアを検知する対策ツールの利用により、感染した後の迅速な対処が可能です。ランサムウェアの感染被害を最小限に抑えるために、積極的に活用しましょう。
スマホの初期化・ランサムウェア駆除方法を知る
ランサムウェアに感染した時の対処法の1つがスマホの初期化です。特に暗号型ランサムウェアに感染した場合には、スマホの初期化を実行すると感染ファイルごと削除できるため、被害を最小限に抑えられます。
また、ランサムウェアの駆除方法を知っておくのも重要です。前述した「ネット回線からの切断やセーフモードへの切り替え」は、必ず覚えておくとよいでしょう。
よくある質問
ここからは、ランサムウェアのスマホ感染についてよくある質問を紹介します。
Q1. スマホにセキュリティソフトを導入したらランサムウェアに感染しませんか?
「絶対に感染しない」とは言い切れません。しかしセキュリティソフトの導入で、不正アプリ等の検出ができます。
Q2. スマホにおけるランサムウェアの主な感染経路を教えて下さい
不正アプリのダウンロードや、ランサムウェア付きのメールの添付ファイルやリンクが、スマホにおける主な感染経路です。
まとめ
ランサムウェア攻撃は、パソコンだけでなくスマホにも起こります。
スマホがランサムウェアに感染すると、バッテリー消費の増加や再起動の繰り返し、動作が遅くなるなどの症状が現れます。
またスマホのランサムウェア感染を防ぐには、OSを最新に保ち、公式サイトからのみアプリをダウンロードしましょう。不審なメールや添付ファイルを開かないのも大切です。
本記事を参考に、スマホのランサムウェア対策を進めていきましょう。