とくに子どものいる読者の皆さんにとって、子どもにインターネットをどのように閲覧させるか、スマホへの触れさせ方といったことは、悩みどころの一つではないでしょうか。インターネット上には、アダルトサイトや違法なサイトなど、不適切なサイトや課金して使うアプリなど、子どもに良くない影響を与える可能性のあるものもたくさんあります。
こうしたものへのアクセスを制限するのが「フィルタリング」です。
フィルタリングとは
「フィルタリング」とは、簡単に言うと「犯罪に関するサイトなど不適切なサイトやアプリを利用できないようにブロックすること」です。
たとえば、アダルトサイト、ドラッグに関するサイトや犯罪に関わるものなどがこうしたフィルタリングの対象になります。また、アプリなどで有料のものや課金対象となるものも、子どもが契約すると高額の請求につながる恐れもあり、フィルタリングすべきです。
フィルタリングを行うメリット
フィルタリングを行なってサイトの閲覧制限を行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 子どもたちが犯罪に関するサイトや、アダルトサイトなど不適切なサイトを閲覧できないようにできる
- 有料アプリ、課金アプリなどを勝手に購入できないようにする
フィルタリングの具体的方法
有害なサイトを子どもたちが閲覧できないようにするなどの機能があるフィルタリングですが、具体的に使うにはどういった方法があるのでしょうか。ここでは、主な3つの方法について紹介します。
スマホの機能
まずは、iPhoneやAndroidなどのスマホ本体で設定してフィルタリングを行う方法です。後ほど、iPhone、Androidそれぞれでの設定方法を解説しますが、現在のスマホでは端末ごとに一定のフィルタリングの機能を持っています。それらを使って、不適切なサイトなどを閲覧できないようにフィルタリングすることができます。
キャリアのサービス
NTTドコモやソフトバンクなどの大手通信キャリアも、それぞれフィルタリングサービスを提供しています。いずれのキャリアもパスワード管理をするため、「子供が勝手にフィルタリングを無効にする」といった事態は起こりません。ここでは、以下の3キャリアのフィルタリングサービスを紹介します。
- ドコモ
- au
- ソフトバンク
該当するキャリアがある場合は、ぜひ参考にしてみてください。
ドコモ
ドコモのフィルタリングサービスは、機種ごとに3つのサービスが提供されています。詳細は以下の表をご覧ください。
サービス名 | 対象機種 | 料金 | 申込 |
---|---|---|---|
あんしんフィルター for docomo | スマートフォン、タブレット、iPhone、iPad | 無料 | 不要 |
あんしんウェブフィルター | スマートフォン、タブレット、iPhone、iPad、ガラケー(spモード) | 無料 | 必要 |
iモードのアクセス制限サービス | ガラケー(iモード) | 無料 | 必要 |
※ガラケー(spモード)対象の「あんしんモード」は2021年9月27日にサポート終了するため、除外しています。
「あんしんフィルター for docomo」は、子供の学齢に合わせたルール設定(小学生・中学生・高校生・高校生プラス)をおこなうと、学齢に合わせた制限レベルが自動で適応されます。
au
auのフィルタリングサービスは、利用している機種の移動通信システムごとに、3つのサービスを案内しています。それぞれの特徴を次の表にまとめました。
サービス名 | 通信システム | 料金 | 申込 |
---|---|---|---|
あんしんフィルター for au | 5G、4G/LTE、3G | 無料 | 不要 |
未成年WEBフィルター | 5G | 無料 | 必要 |
安心アクセスサービス | 3G | 無料
カスタマイズコース:月額110円 |
必要 |
Wi-Fi通信時も含めてフィルタリングをかけたい場合は、「あんしんフィルター for au」がおすすめです。「未成年WEBフィルター」は、Wi-Fi通信時にはフィルタリングをおこなえないので注意しましょう。
ソフトバンク
ソフトバンクのフィルタリングサービスは、2種類あります。詳しくは下記の表の通り。
サービス名 | 対象機種 | 料金 | 申込 |
---|---|---|---|
あんしんフィルター | スマートフォン、タブレット、iPhone、iPad | 無料 | 必要 |
ウェブ安心サービス | ガラケー | 無料 | 必要 |
ソフトバンクのサービスはとてもシンプルです。スマートフォン・タブレット全般は「あんしんフィルター」、ガラケーなら「ウェブ安心サービス」を選択しましょう。どちらも無料で利用できます。
フィルタリングアプリ
大手のセキュリティベンダーをはじめ、各社からフィルタリングが行えるアプリがリリースされています。いずれも、単にWebサイトのフィルタリングをするだけでなく、ネットの利用状況の確認や、長時間利用できないように制限を行うといった依存症への対策など、総合的な管理が行えるアプリとなっています。
主なものには、「ノートンファミリー」「iフィルター」といったものがあります。
iPhoneでの設定方法
フィルタリングは端末に備わっている機能として使うことができますが、ここからは、iPhoneとAndroidでどのように使うかを見ていきましょう。まず、iPhoneでは、以下のように設定を行います。
有害サイトのフィルタリング
iPhoneでは、本体で以下のように設定を行います。
- 「設定」-「スクリーンタイム」-「コンテンツとプライバシーの制限」を開く
- 「コンテンツとプライバシーの制限」を有効にして、「コンテンツ制限」を開く
- 以下のいずれかを選択する
・「成人向けWebサイトを制限」:アダルトサイトなどを制限
・「許可されたWebサイトのみ」:許可されたサイトのみ閲覧可能にする
アプリ等の制限
有料のアプリの購入などを制限することができます。
- 「設定」-「スクリーンタイム」-「コンテンツとプライバシーの制限」を開く
- 「コンテンツとプライバシーの制限」を有効にして、「iTunesおよびApp Storeでの購入」を開く
- 「インストール」「削除」「課金」について、必要な制限を行う
Androidでの設定方法
Androidの場合は、以下のようにして使います。
有害サイトのフィルタリング
Androidの場合は、各アプリで設定する必要がありますが、Chromeブラウザでは、以下のようにします。
- ブラウザを開き、右上の3点ボタンをクリック、「PC版サイト」を選択
- Googleのトップページから、右上の3点ボタンをクリック、「Setting」を開く
- 「検索の設定」画面から、「サーチフィルタ」の項目にある「不適切な検索結果を除外」にチェックを入れる
アプリ等の制限
有害なアプリなどをブロックすることもできます。
- Google Playから右上の3本線を開き、「設定」-「保護者による使用制限」を開く
- PINコードの設定をする(子どもに推測されないコードにする)
- 各カテゴリーで子どもの年齢に合わせたフィルタリングを行う
フィルタリングの注意点
Webサイトやアプリをフィルタリングをしても、単に設定するだけですと効果的ではありません。フィルタリングを利用するときは、以下の3点に注意しましょう。
- 利用ルールを決める
- 有害なWebサイト以外もブロック対象になる
- 情報モラル教育を忘れない
詳しく解説します。
利用ルールを決める
スマートフォンを与える際に、利用ルールを決めましょう。フィルタリングをしただけでは、スマートフォン依存やトラブルなどのリスクを完全に回避するのは難しいからです。たとえば、以下のようなルールがあります。
- 使用する時間・場所
- 歩きスマホ禁止
- 新しいアプリをインストールするときは許可を取る
- インターネットに個人情報を書かない
- フィルタリング解除してほしいときは相談する
上記のルール作りに合わせ、フィルタリングの必要性、インターネットに潜む危険性なども伝えておくと効果的です。また、ルールを破ったときどうするかも決めておくと良いでしょう。
有害なWebサイト以外もブロック対象になる
フィルタリングをかけると、有害なWebサイトではない「一般的なWebサイト」もブロックされる場合があります。まず、フィルタリングが働く際、Webサイトを以下の3つに分けてブロックするか判定します。
Webサイトの種類 | 内容 | ブロック |
---|---|---|
有害サイト | 出会い系、アダルト、暴力、グロテスク、その他犯罪など | 必ずされる |
安全なサイト | ニュース、教育、自治体・官公庁、企業公式など | されない |
危険性の潜むサイト | TwitterやInstagramなどのSNS、掲示板、ブログ、動画サイトなど | 初期設定ではされる |
表のように、一部の一般的なWebサイトは「危険性の潜むサイト」に分類されます。ネットいじめや性被害、個人情報流出といった被害に遭う可能性があるからです。
そのため、初期設定ではブロック対象になっています。あまりにも不便な場合は、家庭の方針に応じて、Webサイトごとにアクセス許可を設定すると良いでしょう。
情報モラル教育を忘れない
フィルタリングは、子供を危険から守る手段であると同時に、情報モラル教育の一環でもあります。情報モラル教育とは、インターネットの正しい使い方や、情報の取捨選択の仕方を教えること。情報モラル教育は、フィルタリング設定をしただけでは不十分です。保護者が知識をつけ、積極的に子供のネットリテラシーを高める必要があります。
子供のうちは、情報モラルに必要なネットリテラシーを身につけていないため、フィルタリングを活用して子供の身を守りましょう。子供は、Webサイトがブロックされるたび、「何が危険だったのか」「なぜ使ってはいけないのか」を考え、ネットリテラシーを高めていきます。その際、保護者が「なぜブロックされたのか」「こういった使い方ならアクセスを許可する」といったアドバイスをすると、より子供のネットリテラシーを育てられるのです。
適切なアドバイスをするためには、保護者にも知識が欠かせません。フィルタリングを子供を守るだけの手段に留めず、きちんと勉強して情報モラル教育の一環に活用しましょう。
まとめ
親の気持ちとして、「子どもに有害なサイトを見せたくない」「悪いアプリを使わせたくない」ということは、皆さん同じではないでしょうか。
そういうときに有効に使えるのが「フィルタリング」です。フィルタリングは有害なサイトをブロックしたり、有料アプリのダウンロードや課金を防いだりする機能があります。iPhone、Androidそれぞれに端末本体やフィルタリングアプリなどで設定を行うことができますが、単に設定をするというのではなく、子どもにしっかりと説明をし、親子で話し合って利用することが大切です。
よくある質問
フィルタリングをかけるべき年齢は?
基本的には家庭の方針によります。悩む場合は、18歳未満はフィルタリングをおすすめします。
法律により、携帯電話・スマートフォンを18歳未満が利用する際には、フィルタリングの有効化が事業者に義務付けられています。あくまで事業者の義務なので、不要な場合は「フィルタリングサービス不要申出書」を提出すれば無効にできます。
とはいえ、法律で推奨されている以上、方針に悩む場合は有効にしておくと良いでしょう。ちなみにフィルタリングを外す際には、保護者の申請によりおこなえます。
Wi-Fiモデルのタブレットでもフィルタリングはかけられる?
フィルタリングはかけられます。タブレット自体の設定、あるいはフィルタリングアプリで設定可能です。
iPadの場合、標準搭載されている「スクリーンタイム」でフィルタリングをかけられます。Androidタブレットであれば、Google提供のアプリ「ファミリーリンク」がおすすめです。どちらも、Webサイトやアプリの制限など各種設定をカスタマイズできます。子供の端末からは設定変更・無効化はできないため、確実にフィルタリングをかけられます。
ゲーム機にもフィルタリング設定はある?
あります。家庭用ゲーム機には、ペアレンタルコントロール機能が搭載されています。
Nintendo Switchは「みまもり設定」、PS4/PS5は「ペアレンタルコントロール」から設定可能です。どちらも、プレイ時間、使用アプリ、コミュニケーション機能などの制限をかけられます。中でも、オンラインゲームを安全に遊ばせたい場合は、コミュニケーション機能の制限が効果的です。