SE(システムエンジニア)はきつくて辛い仕事の一つとも言われます。
一方で、それでも現役でシステムエンジニアをしている人は、どのような理由で続けているのでしょうか。
システムエンジニアがきついと言われる理由を5つ紹介します。
この記事の目次
SE(システムエンジニア)とは?簡単に説明すると・・
SE(システムエンジニア)は、システムの設計・開発・テストに従事する技術職です。開発やテストだけではなく、システムの企画や保守・管理まで担当することもあります。
また、システムエンジニアは、主に、システム開発における上流工程を担うため、開発の成功を決める責任ある職種です。
SE(システムエンジニア)の仕事はきつい!と言われる理由
現役のシステムエンジニアは、次のような部分に辛さを感じています。
拘束時間が長く体力が続かない
システムエンジニアはシステム開発の上流工程を担う職種としながら、下流工程のプログラミングまで仕事に含むとする企業も多々あります。そして、プログラミング作業には、時間がかかるという特性があるため、概して長時間労働になりがちです。
また、システムエンジニアが完成したシステムの保守を担当する場合は、トラブル対応で深夜に呼び出されることもあります。
このため、拘束時間が長くなったり、イレギュラーな対応が重なったりすることにより、体力が続かず、辛い・きついと漏らすシステムエンジニアが生み出されることになります。
納期に追われ常に激務
システム開発の途中でトラブルや仕様変更があった場合、対応に時間が取られます。よって、納期間際は、そのしわ寄せで激務になりがちです。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査 職種DB第1表(2019)」では、企業規模別に所定内実労働時間数と超過実労働時間数の調査結果を公表しています。
システムエンジニアの平均所定内実労働時間数および超過実労働時間数(2019年)
全企業規模計(10人以上) | 企業規模1,000人以上 | 企業規模100~999人 | 企業規模10~99人 | |
---|---|---|---|---|
所定内実労働時間数(時間/1ヶ月) | 156時間 | 153時間 | 155時間 | 160時間 |
超過実労働時間数(時間/1ヶ月) | 14時間 | 17時間 | 15時間 | 8時間 |
従業員数10人以上の企業における、システムエンジニアの平均所定内実労働時間数は156時間/1ヶ月。そして、平均超過実労働時間数は14時間/1ヶ月です。
また、システムエンジニアを含む129の職種合計では、超過実労働時間数の平均値は14.3時間/1ヶ月でした。
他業種との比較では、システムエンジニアが、特別に労働時間が長い職種ということではないようです。
ただし、注意点は、毎月平均して残業が14時間あるということではない点です。システムエンジニアは開発スケジュールに沿って作業しなくてはならないため、残業が多い月とそうではない月との差が激しく、納期間際となる月は多忙を極めてしまいます。
納期間際の激務から、「システムエンジニア=激務できつい」という声が上がってきているようです。
勤務先によっては著しい低収入
IT企業特有の問題点として、多重下請け構造になりがちという点が挙げられます。これは、ゼネコンの多重下請け構造と同様で、IT企業においても、例えば次のような状況が見受けられます。
- 発注者が、予算500万円でシステム開発を依頼
- 1次受けが受注
- 1次受けが2次受けに、350万円で開発を依頼
- 2次受けが受注
- 2次受けが3次受けに、250万円で開発を依頼
- 3次受けが受注・・・
受注金額が下がれば、そこで働くシステムエンジニアの給料も安く抑えられてしまうため、多忙な割に薄給という“ブラックIT企業”が生まれます。
ブラックIT企業に勤務するシステムエンジニアは、仕事がきついと感じるのは無理もありません。
求められる知識やスキルレベルが高過ぎ
学校での勉強のように「分からな過ぎて周りについて行けない」リスクがあるのは、システムエンジニア特有の悩みかもしれません。
IT技術は日進月歩で進化するため、システムエンジニアは常に勉強し続ける必要があります。
結果として、次のように悩み苦悩しているシステムエンジニアも少なくありません。
- システムエンジニアになったものの、自分にITのセンスがないことに気づいてしまった。
- IT技術を勉強するモチベーションが維持できない。
自分が落ちこぼれてしまっていると感じたときに、システムエンジニアは辛い仕事だと考えるようです。
無理難題を押し付けるクライアントとのやり取りが苦痛
クライアントがITに関する知識に乏しい場合、「システムエンジニア=PC関係のことなら何でも知っている人」と勘違いする向きがあるようです。
そのようなクライアントの案件を担当することになると、“今すぐに”・“ちゃちゃっと解決して”など、無理難題を押し付けられる可能性があります。
SE(システムエンジニア)の多様な働き方 それぞれの悩み
システムエンジニアと言っても、勤務場所や雇用形態により働き方はもちろん、抱える悩みも大きく異なります。
「なんでも屋さん化に困る」社内SE
自社内で自社のシステム開発を行うのが、通称「社内SE」と呼ばれるシステムエンジニア。社内SEが所属するのは、多くの場合、“情報システム部”などという部署です。
一方、社内SEの業務範囲は幅広く、例えば、次のような多種多様なシステムやツールに関する問題解決を担っています。
- Officeソフト
- 自社開発Webアプリ
- テレビ会議システム
- 営業管理システム
- 会社支給のモバイルツール
- 複合機
- プロジェクター・オーディオ機器
- シュレッダー
業務が細分化されず、“情報システム部”としてひとまとめにされたシステムエンジニアは、「なんでも屋さんにされているようだ・・」とストレスを感じることもしばしばです。
「客先を転々と移動するのがきつい」客先常駐
客先(顧客企業)内で常駐し、顧客企業のためのシステムを開発しているのが、客先常駐SEです。プロジェクトごとに勤務先を転々と移動するため、体力的につらいと言われています。
また、開発プロジェクトの都合で勤務地が変わるため、例えば、子供を保育園への送り迎えする時間が調整できないなどの不都合が生じます。生活と仕事の両立で悩む人が少なくないのが客先常駐のシステムエンジニアです。
「激務なのに報われない」Sler
クライアント企業からシステム開発を受託しているのが、SIer(エスアイアー)と呼ばれる企業です。「SE(システムエンジニア)の仕事はきつい!と言われる理由」で紹介した、多重下請け構造により辛い立場に置かれるというパターンが生じやすいのが、このようなSIer勤務のシステムエンジニアになります。
「エンジニア兼営業なのが辛い」・フリーランス
フリーランスのシステムエンジニアが、他のシステムエンジニアと大きく異なる点が、自身で営業活動をして、自分で仕事を獲得しなければいけないという点です。
また、会社では経理や総務が行ってくれた税金の計算や納付なども、自身で行わなくてはいけません。
すべてを自分自身で行わなくてはいけないというプレッシャーが、フリーランスSEのストレスの元となっているようです。
それでも僕がシステムエンジニアを辞めない理由
システムエンジニアは、確かにきついが、やりがいやメリットがそれ以上というのが、現役システムエンジニアの一致した意見のようです。
平均より高い年収
前出の「賃金構造基本統計調査 職種DB第1表(2019)」では、システムエンジニアの平均収入についても、次の通り公表しています。
平均月収 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 | |
---|---|---|---|
システムエンジニア | 38万円 | 112万9000円 | 568万9000円 |
システムエンジニアの平均収入は、約569万円。
一方、国税庁が公開した、「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」によると、システムエンジニアを含む全給与所得者の平均年収は441万円です。
システムエンジニアの年収は、全給与所得者の平均と比較すると、1.3倍ほど高いということになります。
平均値よりも高い年収があるからこそ、システムエンジニアは辞められないという人も多いです。
引く手あまたで仕事に困らない
内閣府の「人手不足感の高まりについて」によると、民間職業紹介・職業別の転職市場におけるシステムエンジニアの求人倍率は3.3倍です。
IT人材不足が顕著なため、システムエンジニアは「食うに困らない」職種であることに魅力を感じている人もいます。
豊富なキャリアパス
システムエンジニアになった後のキャリアパスは豊富です。例えば、培ったIT知識を活かして、他分野のITエンジニアに転職することも難しくありません。また、プロジェクトマネージャーとして、プロジェクトの管理総括を行う立場になったり、ITコンサルタントの道を目指すシステムエンジニアもいます。
最新のIT技術を知り・触れることが楽しい
システムエンジニアであり続けることで、常に最新のIT技術に触れることができます。ITやプログラミングが好きでシステムエンジニアになった人は特に、シンプルに仕事をしていて楽しいから続けているという理想的な状態を維持しています。
まとめ
「SE(システムエンジニア)はきつい仕事?」という疑問に回答してきました。
システムエンジニアは、プレッシャーもかかり、大変な仕事であるものの、やりがいのある職種であることは間違いありません。
人とコミュニケーションを取るのが好き・細かい作業が好き・新しい事に常に敏感という人は、特にシステムエンジニアの素質があるとされており、このような人材であれば、仮に未経験であっても活躍できる可能性は十分あります。
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