急激に増加する「個人情報漏洩」その危険性と3つの問題点について|サイバーセキュリティ.com

急激に増加する「個人情報漏洩」その危険性と3つの問題点について



つい先日、日本年金機構が管理する個人情報125万件が外部に流出したとの報道がなされました。

今のところ具体的な流出被害としては基礎年金番号、氏名、生年月日の3点のみの流出が116万7000件。基礎年金番号、氏名、生年月日、住所の4点の流出が5万2000件。そして基礎年金番号と氏名の2点の流出が3万1000件となっています。

セキュリティ知識・意識の欠落

個人情報等の漏洩事件が後を絶たず、大きな問題となっており、企業や組織などで情報セキュリティの対策を確実に行うことが求められている中で、漏洩事件として大きな規模のものであり、また日本年金機構という公的性格の強い組織で発生したところに大きな問題があります。今回は、この事件の重要性を鑑みて、緊急に取り上げてみたいと思います。

まず、今回の事件の発生経緯は調査中ではありますが、今のところ外部から送信されたメールに添付されていたウィルス付きのファイルを開封したことによりウィルスに感染し、その結果発生したものであるとの可能性が高くなっています。

普通、企業などでは怪しいメールや添付ファイルは開封しないように指示されますが、今回の場合は最初に不正アクセスが発覚したのが5月8日で、すぐに全職員に対して注意喚起がなされたが、それでも開かれる場合があったとのことです。

また個人情報を自分の端末に保存する場合は、内規でパスワードを設定することが決まっていたが、設定なしになっていたケースも見られると言います。これらを総合的に考えてみると、今回のケースにおける問題点は以下のようなところにあったと言えます。

3つの問題点

情報セキュリティ教育の不行き届き

現在、多くの企業では情報セキュリティポリシーとして、様々な指針を設定し、それを社員に事あるごとに教育します。そのため、否が応でも社員のセキュリティに対する知識と意識(何が良くて何がだめなのか等)が高まります。

情報セキュリティに対する意識の低さ

今回は注意喚起がなされるにも関わらずメールの添付ファイルが開かれるなど、セキュリティ意識が非常に低いことを露呈してしまっています。したがって、ここで重要な対策は、組織のセキュリティポリシーを明確に策定すると同時に、それを日頃から社員教育などで周知徹底することで各自の意識を高めることです。

個人情報を扱うシステム構成・利用のまずさ

今回のケースだと個人情報を扱う端末をインターネットに接続し、情報を自由に端末にコピーで出来る状態になっているなど、システム的に個人情報の利用に制限がかかる状態となっていなかったことです。個人情報は閉ざされたネットワークで端末にコピーできないなどシステム的に利用制限がかかっている状態で利用すべきです。

おわりに

このように、個人情報等の保全は利用者個人の意識と、扱うシステムの適切な設定の両方が欠かせないものです。今回のケースでは、その両方が欠けていたと言わざるを得ません。

情報はひとたび漏洩すると取り返しがつきません。我々はもう一度そのことをしっかりと認識し、適切な情報利用について考えていくべきではないでしょうか。


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