シャドウコピー|サイバーセキュリティ.com

シャドウコピー

シャドウコピーとは、コンピュータシステム内でファイルやフォルダの過去の状態を保存するためのバックアップ機能です。一般的には、Windowsの「ボリュームシャドウコピー」機能として利用され、ファイルの変更や削除が発生した場合でも、以前のバージョンを復元できるように設計されています。シャドウコピーは、誤って削除したファイルや上書きされたデータの回復に役立ち、バックアップと復元の手間を大幅に軽減します。

シャドウコピーの特徴

シャドウコピーの特徴は、バックアップや復元を短時間で効率よく行える点です。ファイルシステムの一部であるため、バックアップ作成時にファイルの状態を自動的に保存し、システム全体に大きな負荷をかけることなくスナップショット(状態のコピー)を生成できます。また、ユーザーやアプリケーションによるバックアップ操作を最小限に抑えられるため、ITリソースの節約や運用効率の向上に貢献します。

シャドウコピーのメリット

1. データの誤削除や上書きに対する保護

シャドウコピーを利用することで、ユーザーは誤って削除したファイルや上書きされたデータを簡単に復元できます。例えば、あるファイルを意図せず削除しても、シャドウコピーから以前のバージョンを復元することで、ファイルの喪失を防げます。

2. システム全体のバックアップにかかる負荷を軽減

シャドウコピーは、特定のファイルやフォルダの変更履歴のみを保存するため、システム全体のバックアップに比べてリソースの消費が少なくて済みます。そのため、システムが稼働中でもバックアップ作成が可能で、運用に支障をきたしません。

3. 複数のバージョン管理が可能

シャドウコピーにより、同一ファイルの複数のバージョンを保存できるため、過去に遡って必要な状態を簡単に取り出すことができます。特にビジネス環境において、書類やプロジェクトファイルの進捗管理に役立ちます。

シャドウコピーの仕組み

シャドウコピーの仕組みは、変更があったファイルやフォルダの「スナップショット」を特定のタイミングで作成することにあります。このスナップショットは、ファイルシステムが更新される前の状態をブロック単位で保持するため、更新があった部分のみを保存する「差分バックアップ」に近い動作をします。例えば、Windowsのボリュームシャドウコピーサービスは定期的にスナップショットを取得し、ユーザーが過去のバージョンにアクセスできるようにします。

シャドウコピーの実施方法

Windows環境でのシャドウコピー設定

Windowsのボリュームシャドウコピー機能を利用する場合、「システムのプロパティ」から対象のドライブに対してシャドウコピーを有効化できます。設定後、バックアップ間隔や保存するバージョンの数を指定することで、システムが自動的にスナップショットを作成します。ファイルやフォルダの復元は、ファイルの「以前のバージョン」から簡単に行えます。

定期的なスナップショットの作成

シャドウコピーを効果的に利用するためには、スナップショット作成のタイミングを設定することが重要です。頻度やタイミングを適切に調整することで、データ保護とシステムリソースのバランスが取れ、効率的なバックアップが可能となります。

シャドウコピーのデメリットと注意点

ストレージ容量の消費

シャドウコピーはバックアップデータを保存するため、ストレージ容量を消費します。長期間にわたってスナップショットを保持する場合、ディスク容量が不足する可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要です。

ランサムウェアによるリスク

シャドウコピーは過去のデータ復元に有効ですが、ランサムウェアなどの攻撃によりシャドウコピー自体が削除されるリスクもあります。セキュリティ対策として、他のバックアップ手法と併用し、重要データの保護を強化することが推奨されます。

まとめ

シャドウコピーは、ファイルやフォルダの以前のバージョンを効率的に保存・復元できるバックアップ手法で、特にWindows環境で便利な機能です。誤削除や上書きに対する保護、システム負荷を抑えたバックアップ管理が可能ですが、ストレージ容量やランサムウェアのリスクにも注意が必要です。他のバックアップ対策と組み合わせ、万全のデータ保護体制を構築することが重要です。


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