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ISMSクラウドセキュリティ認証とは
ISMSクラウドセキュリティ認証は、クラウドサービスプロバイダーやクラウド関連事業者における情報セキュリティ管理の国際標準規格ISO/IEC 27017:2015およびISO/IEC 27018:2019に基づく認証制度です。この認証は、クラウドサービスに特化した情報セキュリティやプライバシー保護の実践を評価し、適合性を認証します。
クラウドサービスの普及に伴い、企業や組織が外部のクラウドサービスを利用する際に、データの安全性やプライバシーを確保するための基準として利用されています。
ISMSクラウドセキュリティ認証の目的
- クラウドサービスのセキュリティ向上
- クラウド環境における情報セキュリティリスクを特定・管理し、適切なセキュリティ対策を実施することを促進します。
- 顧客への信頼性の提供
- クラウドサービスプロバイダーがセキュリティおよびプライバシー保護の取り組みを実践していることを証明し、利用者に安心感を提供します。
- 国際基準への準拠
- ISO/IEC 27017およびISO/IEC 27018に基づき、国際的に認められるセキュリティ管理を実現します。
ISMSクラウドセキュリティ認証の対象規格
1. ISO/IEC 27017:2015
- クラウドサービスにおける情報セキュリティ管理のためのガイドライン。
- 通常のISMS(ISO/IEC 27001)に加えて、クラウド特有のリスクとコントロールをカバーします。
2. ISO/IEC 27018:2019
- クラウド環境における個人データの保護に関するガイドライン。
- 特にパブリッククラウドでの個人情報(PII)の処理に焦点を当てています。
ISMSクラウドセキュリティ認証を取得するメリット
1. 顧客への信頼性向上
- 認証取得により、クラウドサービスのセキュリティとプライバシー保護が第三者により確認されたことを示せます。
- 顧客がクラウドサービスを選択する際の安心材料となります。
2. 競争力の向上
- 認証を取得することで、他の競合サービスと差別化が図れます。
3. 国際市場での適応
- ISO規格への準拠により、グローバル市場でも信頼されるクラウドサービスを提供可能。
4. セキュリティリスクの低減
- 情報セキュリティおよびプライバシー保護の管理プロセスを強化し、リスクを事前に特定・管理できます。
5. 規制要件の遵守
- 規制や法律(GDPR、個人情報保護法など)に対応したセキュリティ基準を維持できます。
ISMSクラウドセキュリティ認証取得のプロセス
1. 準備フェーズ
- 現状のセキュリティ管理体制を確認し、必要な対策を洗い出します。
- ISO/IEC 27001(ISMS)に基づいたセキュリティ管理体制を構築します。
2. クラウド固有リスクの評価
- クラウド特有のリスク(データの流出、第三者の不正アクセスなど)を評価し、ISO/IEC 27017やISO/IEC 27018のガイドラインに基づいてコントロールを設計します。
3. 内部監査
- 内部監査を実施し、セキュリティ体制が適切に運用されていることを確認します。
4. 認証機関による審査
- 認証機関が現地審査を実施し、クラウドセキュリティが規格に準拠していることを確認します。
5. 認証取得
- 認証機関の審査に合格すると、認証が発行されます。
ISMSクラウドセキュリティ認証を取得する際の課題
1. 運用負荷
- 規格に準拠するために、クラウド固有のリスク管理プロセスやドキュメントが必要となります。
2. コスト
- 初期コスト(セキュリティ体制の構築、認証費用)や継続コスト(監査費用、運用費用)が発生します。
3. クラウド特有の複雑性
- クラウド環境では、責任共有モデル(クラウドプロバイダーと顧客の役割分担)を明確にする必要があります。
ISMSクラウドセキュリティ認証を取得している主な企業
- AWS(Amazon Web Services)
- Google Cloud Platform
- Microsoft Azure
- 国内のクラウド事業者(IIJ、NTTデータなど)
これらの企業は、ISMSクラウドセキュリティ認証を取得することで、顧客にセキュリティの高いクラウドサービスを提供しています。
まとめ
ISMSクラウドセキュリティ認証は、クラウドサービスに特化した情報セキュリティおよびプライバシー保護の国際基準に準拠していることを示す認証です。これにより、クラウドサービスプロバイダーは顧客に対して信頼性を提供し、情報セキュリティリスクを軽減できます。
認証取得には、適切なセキュリティ管理体制の構築や運用が求められますが、それにより国際市場での競争力を向上させ、顧客満足度を高めることができます。クラウドサービスを利用する組織にとっても、セキュリティ基準を満たすサービスを選ぶ際の重要な指標となる認証です。