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VSS

VSS(Volume Shadow Copy Service)は、Microsoftが提供するWindowsの機能で、システム上のファイルやボリュームのバックアップと復元をサポートするために作られたサービスです。特にファイルシステムのスナップショット(シャドウコピー)を作成することで、ファイルが使用中でもバックアップを実行できるのが特徴です。この機能により、ファイルやボリュームのバックアップや復元をシステムのダウンタイムなしで実行できるため、ビジネスの継続性が確保されやすくなります。

VSSは、バックアップソフトウェアやWindowsの「システムの復元」機能など、多くのアプリケーションによって利用されており、特定時点でのデータのコピーを取ることで、ファイルの誤削除や変更に迅速に対応できるようにしています。

VSSの特徴

VSSには以下の特徴があります:

  • 継続的な利用中のファイルのバックアップ:使用中のファイルでもバックアップが可能で、システムの稼働中にバックアップやスナップショットを作成できます。
  • スナップショットの保存:ボリューム全体のスナップショットを作成し、特定時点のシステム状態を保存します。
  • バックアップの効率化:VSSを利用したバックアップは、変更点のみの保存が可能であり、保存領域を効率的に活用できます。

VSSの仕組み

VSSは、スナップショットを作成するために「シャドウコピー」という手法を用い、バックアップや復元のプロセスを3つの主要コンポーネントが支えています。

  1. リクエスタ(Requester):バックアップソフトウェアや「システムの復元」機能など、VSSの利用をリクエストするアプリケーションです。リクエスタがスナップショットの作成を要求します。
  2. ライター(Writer):バックアップの対象となるアプリケーション(例えばSQL ServerやExchange Server)が「ライター」として動作し、データが整合性のある状態でシャドウコピーされるよう制御します。
  3. プロバイダ(Provider):シャドウコピーの作成と管理を行うコンポーネントで、一般的にはWindows OS自体のシステムプロバイダが使われますが、ストレージプロバイダが提供するものも利用可能です。

VSSがリクエスタからの要求を受けると、ライターがデータの一貫性を確保し、プロバイダがシャドウコピーを作成する仕組みです。この一連のプロセスにより、ファイルやシステムの完全なコピーを作成します。

VSSの主な用途

VSSは以下のような場面で特に役立ちます:

  1. バックアップとリカバリ:システム全体のスナップショットを作成するため、ファイルやボリュームの変更履歴を元に戻すことができ、システムやデータを簡単に復元可能です。
  2. システムの復元:Windowsの「システムの復元」機能では、VSSを使用して特定時点のシステム状態を保存し、システムの問題発生時に正常状態へ戻すことができます。
  3. ファイルの履歴管理:エンドユーザーが誤ってファイルを削除または変更した場合、VSSにより以前のバージョンを復元可能です。

VSSのメリット

VSSを利用することで、以下のメリットが得られます。

  • バックアップ中のシステム稼働:システム稼働中でもバックアップを作成できるため、ダウンタイムなしでバックアップが可能です。
  • ディスク容量の節約:スナップショットは変更点のみ保存するため、効率的にストレージ容量を活用できます。
  • 迅速なデータ復元:ファイルやシステムの過去の状態へ迅速に戻すことができ、運用継続やデータ保護が容易です。

VSSのデメリットと課題

一方で、VSSには以下のデメリットや課題もあります。

  • ストレージ容量の増加:大量の変更があった場合、シャドウコピーの保存領域が増加し、ディスク容量を圧迫する可能性があります。
  • 互換性の問題:特定のアプリケーションや古いOSとの互換性が制限されることがあります。
  • データの整合性の維持が困難:一部の複雑なデータベースアプリケーションでは、シャドウコピーが完全なデータ整合性を確保できない場合があります。

VSSの活用事例

VSSは、以下の分野やシーンで広く活用されています。

  • 企業のバックアップシステム:VSSを利用したバックアップシステムにより、社員が業務中でもシステムのバックアップが可能であり、企業内の業務の継続性が維持されています。
  • IT管理とインシデント対応:IT管理者がファイルのスナップショットを活用して、ユーザーが誤って削除したファイルや、システム障害発生後のデータ復旧に利用しています。
  • データベース管理:SQL ServerやExchange Serverなど、VSSライターに対応したデータベースアプリケーションのバックアップを安全かつ効率的に行っています。

まとめ

VSS(Volume Shadow Copy Service)は、Windowsのファイルやボリュームのスナップショット機能であり、使用中のファイルでもバックアップが可能な点が特徴です。VSSを利用することで、システムやデータの保護、過去の状態への迅速な復元が可能となり、業務の継続性やデータ保護を支援します。ファイルシステムの変更点のみを保存することで効率的なストレージ活用ができる一方で、保存領域の増加やデータ整合性などの課題もあるため、適切な管理が求められます。


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