HTTPフラッド|サイバーセキュリティ.com

HTTPフラッド

HTTPフラッドは、DDoS(分散型サービス拒否攻撃)の一種で、Webサーバーやアプリケーションに大量のHTTPリクエストを送信し、サーバーのリソースを圧迫して正常なサービスを妨害する攻撃手法です。この攻撃は特に、Webサーバーの処理能力を消耗させることを目的としており、リクエストの正当性を装うため、一般的なユーザーのアクセスに似た形式で実行されることが多いです。

HTTPフラッドは、攻撃者がボットネットや感染したデバイスを利用して、Webサーバーやアプリケーションに対して膨大な数のHTTPリクエスト(GETやPOSTリクエストなど)を送りつける形で行われます。この攻撃手法は、サーバーのリソースを使い果たすことで、正常なユーザーがサービスを利用できなくなる状態を引き起こします。

HTTPフラッドの特徴

1. リクエストの正当性を装う

HTTPフラッドは、通常のWebトラフィックに見せかけたリクエストを大量に送信するため、単純なフィルタリングでは検知や防御が難しいです。

  • GETリクエスト: サーバーからのデータ取得を装うリクエスト。
  • POSTリクエスト: フォームの送信やデータアップロードを装うリクエスト。

2. ボットネットの利用

攻撃者は通常、ボットネット(感染したデバイスのネットワーク)を使用して攻撃を実行します。

  • 分散型攻撃: 多数のIPアドレスからのリクエストを利用し、防御を困難にします。
  • 自動化: ボットがリクエストを自動的に生成するため、大量のトラフィックを短時間で生成可能。

3. サーバーリソースの枯渇

HTTPフラッドは、WebサーバーのCPUやメモリ、帯域幅といったリソースを使い果たすことを目的としています。

  • アプリケーション層の攻撃: サーバーのソフトウェア(Webアプリケーション)を直接ターゲットとする。
  • 高負荷の発生: サーバーが過剰な負荷を処理できず、応答が遅れるか停止します。

HTTPフラッドの種類

1. GETフラッド

HTTPのGETメソッドを使用し、大量のリクエストをサーバーに送信する攻撃です。

  • 静的リソースの取得: 画像やHTMLファイルなどのデータを要求。
  • ランダムURLの使用: キャッシュを回避するためにランダムなパラメータを含むリクエストを生成。

2. POSTフラッド

HTTPのPOSTメソッドを使用して、サーバーにデータを送信することで負荷を与える攻撃です。

  • フォーム送信の模倣: 本物のユーザーに見える形でデータを送信。
  • データ処理の負荷: サーバーが受信データを解析しなければならないため、処理コストが高い。

3. スローHTTP攻撃

リクエストを意図的に遅延させることで、サーバーの接続を長時間占有する攻撃です。

  • スローGET/POST: データを小分けにして送信。
  • リソースの長期占有: 他のリクエストを処理できなくする。

HTTPフラッドの影響

1. サービス停止

サーバーが攻撃に耐えられなくなると、サービスが完全に停止する可能性があります。

  • ユーザーへの影響: 正常なユーザーがサービスにアクセスできなくなる。
  • ビジネス損失: サービス停止による収益損失やブランドイメージの低下。

2. サーバーコストの増大

攻撃の結果、サーバーのリソースが過剰に消費され、コストが増大します。

  • 帯域幅の使用量増加: 通信量が増え、追加料金が発生。
  • インフラの過負荷: サーバーやクラウドサービスのリソースが不足。

3. 機密情報の漏洩

一部のHTTPフラッド攻撃は、攻撃のカバーとして情報漏洩を目的とすることもあります。

HTTPフラッドの防御方法

1. トラフィックのモニタリング

ネットワークやサーバーのトラフィックを監視し、不審な挙動を早期に検知します。

  • 異常なリクエストの検知: 特定のIPアドレスや大量のリクエストを分析。
  • ログ解析: 攻撃パターンを特定するためにWebサーバーのログを定期的に確認。

2. レート制限

一定期間内のリクエスト数を制限することで、攻撃を緩和します。

  • IP単位での制限: 同一IPアドレスからの過剰なリクエストをブロック。
  • CAPTCHAの導入: ボットからのアクセスを防ぐ。

3. Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の活用

WAFを使用して、HTTPフラッド攻撃を自動的にブロックします。

  • 攻撃パターンのブロック: 特定のリクエストをフィルタリング。
  • リアルタイム防御: 攻撃を検知し即座に対応。

4. コンテンツ配信ネットワーク(CDN)の利用

CDNを利用してトラフィックを分散し、攻撃の影響を最小限に抑えます。

  • キャッシュの活用: 静的リソースをキャッシュすることでサーバー負荷を軽減。
  • グローバル分散: トラフィックを複数のサーバーに分散。

5. ボット対策ツールの導入

専用のボット対策ソリューションを導入して、不正なリクエストをフィルタリングします。

まとめ

HTTPフラッドは、DDoS攻撃の中でも特に巧妙で検知が難しい攻撃手法です。この攻撃は、Webサーバーの処理能力を消耗させることでサービスを停止させ、ビジネスに深刻な影響を与える可能性があります。しかし、トラフィック監視、レート制限、WAFやCDNの利用などの適切なセキュリティ対策を実施することで、攻撃のリスクを軽減できます。

企業やサービス提供者にとって、HTTPフラッドへの対応は重要な課題であり、継続的なセキュリティの改善と監視が求められます。特に、Webトラフィックの異常を早期に検出できる体制を整えることが、攻撃を未然に防ぐ鍵となります。


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