2016年6月4日、福井県池田町は同町議会事務局のPCが遠隔操作により乗っ取られ、議会関連のデータが抜き取られた可能性があるとの発表を行いました。
事件概要
同町によると、乗っ取られたPCは50代男性議会事務局長が使用していた業務用PCとのことです。
この男性事務局長は6月3日、勤務中にアダルトサイトを複数回閲覧、「あなたのパソコンはウィルスに感染しています」のメッセージが表示されたことに驚き、連絡先として表示されていた050で始まる番号に架電。
電話に出た男性の指示に従いウェブ上で特定のソフトをダウンロードすると、遠隔操作によりPC内の保存ファイルがコピーされていったようです。
男性事務局長は約1時間半にわたって電話を繋ぎ、遠隔操作される状況を見ていたとのことですが、その間セキュリティインシデントとしての報告は行いませんでした。
遠隔での捜査終了後、不審に感じた男性事務局長からの報告で、町は状況を把握、情報流出の可能性があるとして県警越前署へ届け出を行いました。
流出の可能性がある情報とは
乗っ取りが行われたPCには下記情報が保存されていました。
- 議員名簿
- 議会資料
- 地元集落の緊急連絡先名簿(117世帯分の住所・世帯員氏名・生年月日)
どの文書が持ち出されたのかなどは判明しておらず、現在に至るまで情報流出による被害は発生していません。
対策は行われていなかったのか
同町では、PCのウィルス対策は行っていましたが、有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングなどは設けていませんでした。
町の対応
町は6月22日付で男性事務局長を停職2カ月の懲戒処分としましたが、男性事務局長は同日依願退職しています。
また、監督責任を問い総括管理官と総政策課長を減給10分の1の処分。
杉本博文町長と町議会の佐野和彦議長も責任を取り、自主的に報酬10%減額(1カ月)を決定しています。
セキュリティ意識の低さが露呈
世界規模でサイバー攻撃が行われる昨今、情報セキュリティの重要性は再三叫ばれています。
地方とはいえ、この様な事件が発生してしまう日本の現状は、かなり危機的なものではないでしょうか。
今後はいかなる役職であっても、PC操作やネットワーク、セキュリティ等に関する最低限の基礎を学んだ者のみ端末操作権限を与えるなどの対策を講じるべきだと考えられます。