「SCCMって何のこと?」「MECMやMCMとどう違うの?」「IntuneとSCCMはどちらを選べばいい?」——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。SCCM(System Center Configuration Manager)とはMicrosoftが提供する企業向けの統合IT管理ツールで、大規模なWindows環境でのソフトウェア配布・OS展開・セキュリティ管理を一元化できるシステムです。本記事ではSCCMの意味・機能・メリット・デメリット・Intuneとの違いまで初心者向けにわかりやすく解説します。
SCCMは数百〜数万台規模のWindows端末を一元管理できる強力なツールですが、導入・運用コストが高く専門知識が必要なため大企業・官公庁向けのソリューションです。現在は「MCM」という名称に変更されていますが、現場では今も「SCCM」という慣用名が広く使われています——これがポイントです。
SCCMとは
SCCMの意味と概要
SCCM(System Center Configuration Manager:システムセンター コンフィギュレーション マネージャー)とは、米Microsoft社が情報システム管理者向けに提供している「System Center」製品群の一部で、多数のコンピューターをネットワークを通じて遠隔から管理するシステムです。
企業などの組織内で大量に設置・運用されるWindowsパソコンなどのクライアントコンピューターを一括して管理・監視するための様々な機能を提供します。数十台以上の規模でコンピューターを運用する場合に、同じ操作や手順を一台一台手作業で行うよりも効率的に管理することができます。
各コンピューターの構成や設定などの情報収集や管理・Windowsの遠隔からのインストールやアップグレード・ソフトウェア更新プログラムの配布や適用・Windows Defenderと連携したウイルス対策やファイアウォールの設定・モバイル機器の管理・電力消費の監視や電源管理・ソフトウェアの使用状況の測定などを行うことができます。
名称の変遷(SCCM→MECM→MCM)
SCCMは長い歴史の中で何度か名称が変更されています。
1994年に前身の「Systems Management Server(SMS)」の最初のバージョンが発売されました。2007年に「System Center Configuration Manager(SCCM)」に改称されました。この名称の期間が長く最も普及が進んだ時期でもあるため、改称された現在でも慣用的に「SCCM」と旧称で呼ばれることがあります。
2019年に「Microsoft Endpoint Configuration Manager(MECM)」に改称され、Microsoft Endpoint Managerシリーズ製品群の一つに組み入れられました。2023年にはMicrosoft Intuneシリーズ製品群に組み入れられ「Microsoft Configuration Manager(MCM)」に改称されました。
本記事では慣用名として広く定着している「SCCM」を使用します。
SCCMが必要とされる背景
企業のIT環境では多数のPCやデバイスを効率的かつ安全に管理する必要があります。一台一台手作業で設定・更新・管理を行うことは数十台以上の規模になると現実的ではありません。SCCMはこうした課題を解決するために開発されました。
特に以下のような課題を抱える組織でSCCMのニーズが高まります。全社員のPCに同じソフトウェアを一斉に配布したい・OSのバージョンを統一して管理したい・セキュリティパッチの適用状況を一元的に把握したい・端末の使用状況やハードウェア情報を集中管理したいといった場面です。
SCCMの主な機能
ソフトウェアの配布・管理
SCCMの最も代表的な機能です。管理者がSCCMのコンソールから操作するだけで、対象の端末群に対して一括でソフトウェアのインストール・アップデート・アンインストールを実行できます。対象端末を部署・グループ・個別など柔軟に指定できるため、必要な端末にのみ必要なソフトウェアを配布することが可能です。
OSの展開・管理
新しいPCへのWindowsのインストールや既存PCのOSバージョンアップを自動化・一括実行できます。タスクシーケンスと呼ばれる手順書を作成しておくことで、OSインストールからソフトウェア導入・設定まで一連の作業を自動化できます。大量のPCを短期間でセットアップする際に特に威力を発揮します。
インベントリ管理(ハードウェア・ソフトウェア)
管理対象の全端末について、ハードウェア情報(CPU・メモリ・ストレージ・シリアル番号など)とソフトウェア情報(インストール済みソフト・バージョン・ライセンス数など)を自動的に収集・一元管理します。これにより資産管理・ライセンス管理・棚卸し作業を大幅に効率化できます。
コンプライアンス設定管理
企業のセキュリティポリシーや規定に沿った設定が全端末に適用されているかどうかを監視・管理します。パスワードポリシー・暗号化設定・特定ソフトウェアの有無などのコンプライアンス要件を定義し、準拠していない端末を検出して自動修正することもできます。
Windows Defenderとの連携
Windows Defenderの設定管理・ウイルス定義ファイルの配布・スキャン結果のレポートなどをSCCMのコンソールから一元管理できます。各端末のセキュリティ状態を集中的に監視し、問題が発生した端末に対して迅速に対処できます。
モバイルデバイス管理
Windows PCだけでなくスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスも管理対象に含めることができます。ただしモバイルデバイス管理については後述するMicrosoft Intuneの方が機能が充実しているため、現在は共同管理やIntuneとの連携で対応するケースが増えています。
SCCMの導入メリット
大規模環境の一元管理が可能
数百〜数万台規模の端末を単一のコンソールから一元管理できる点がSCCMの最大の強みです。部署・拠点・役職などの属性でグループ分けして管理できるため、組織の規模が大きくなっても管理コストが線形に増加しません。
IT管理コストの削減
ソフトウェア配布・OS展開・設定変更などの作業を自動化することで、IT担当者の手作業を大幅に削減できます。インベントリ管理機能によってライセンスの過不足を把握し、コスト最適化にも貢献します。
セキュリティ対策の強化
セキュリティパッチの適用状況を一元管理し、未適用の端末を検出して自動適用できます。Windows Defenderとの連携でウイルス対策も集中管理でき、組織全体のセキュリティレベルを均一に保つことができます。
コンプライアンス対応の効率化
各種規制・ガイドライン・社内ポリシーへの準拠状況をリアルタイムで把握できます。監査対応の際にも証跡として管理データを活用できるため、コンプライアンス対応の工数を大幅に削減できます。
SCCMの導入デメリット・注意点
導入・運用コストが高い
SCCMのライセンスはMicrosoft System Center製品群として提供されており、導入コストが高くなります。また初期構築には専門的な設計・設定が必要なため、導入支援のためのベンダー費用も発生します。運用開始後も継続的なメンテナンスコストが必要です。
オンプレミス環境が前提
SCCMはもともとオンプレミス環境でのPC管理を目的として開発されたシステムです。クラウドへの対応は進んでいますが、基本的にはActive Directory(AD)環境や社内ネットワークインフラが整っていることが前提となります。クラウドファーストやリモートワーク中心の環境ではIntuneの方が適している場合があります。
専門知識が必要
SCCMの導入・運用にはWindows Server・Active Directory・ネットワーク・SQL Serverなどの幅広い専門知識が必要です。設定ミスが発生した場合、管理対象の全端末に影響が及ぶリスクがあるため、担当者のスキルセットが重要になります。
SCCMとIntuneの違い
Intuneとは
Microsoft Intune(マイクロソフト イントゥーン)とはMicrosoftが提供するクラウドベースのデバイス管理サービスです。Windows・iOS・Android・macOSなどマルチOSに対応しており、インターネット経由でデバイスを管理できます。Microsoft 365のサブスクリプションに含まれているため、比較的低コストで導入できる点が特徴です。
SCCMとIntuneの違い(比較表)
| 比較項目 | SCCM(MCM) | Microsoft Intune |
|---|---|---|
| 管理方式 | オンプレミス中心 | クラウドベース |
| 対応OS | 主にWindows | Windows・iOS・Android・macOS |
| 適した規模 | 大規模(数百〜数万台) | 小〜中規模 |
| 導入コスト | 高い | 比較的低い |
| 運用の複雑さ | 高い(専門知識が必要) | 低い(管理コンソールが直感的) |
| リモートワーク対応 | 限定的 | 得意 |
| ポリシー設定の細かさ | 非常に詳細 | SCCMより限定的 |
共同管理(Co-management)という選択肢
SCCMとIntuneを排他的に選択する必要はなく、両方を組み合わせて使う「共同管理(Co-management)」という構成も可能です。既存のSCCM環境を維持しながら段階的にIntuneの機能を追加していくことができるため、オンプレミス環境からクラウド環境への移行を緩やかに進めたい組織に適しています。
SCCMとMECM・MCMの違い
名称変更の経緯
前述のとおりSCCMは2019年にMECM、2023年にMCMと名称が変更されています。名称変更の背景にはMicrosoftのクラウドファースト戦略の推進があります。IntuneやAzureとの統合を強化し、エンドポイント管理の包括的なプラットフォームとして位置付けを明確にするための変更です。
機能の違いはあるのか
名称が変わっても基本的な機能は継続されており、SCCM時代に培われた機能はMCMでも引き続き利用できます。むしろ名称変更とともにIntuneとの統合・クラウド対応・Azure ADとの連携などの機能が強化されています。現場で「SCCM」と呼ばれているシステムは実態としてはMECMまたはMCMであることがほとんどです。
SCCMはどんな企業・組織に向いているのか
SCCMが向いている環境
以下のような環境・条件ではSCCMの導入効果が特に高くなります。
- 数百台以上のWindows端末を管理している大企業・官公庁
- 既存のActive Directory(AD)環境が整っている組織
- オンプレミスのシステムを中心に運用している製造業・医療機関
- 詳細なポリシー設定やソフトウェア配布の自動化が必要な環境
- セキュリティパッチの適用状況を厳密に管理・監査する必要がある組織
Intuneの方が向いている環境
以下のような環境ではSCCMよりもIntuneの導入が適しています。
- 数十〜数百台程度の中小規模の組織
- リモートワーク・テレワーク中心の働き方をしている企業
- Windows以外にiOSやAndroidなどのデバイスも管理したい組織
- Microsoft 365をすでに導入しておりコストを抑えたい企業
- IT専任担当者が少なくシンプルな管理を求める組織
よくある質問(FAQ)
SCCMは無料で使える?
SCCMは有料製品です。Microsoft System Center製品群の一部として提供されており、ライセンスを購入する必要があります。ただしMicrosoft 365 E3・E5などの上位プランにはIntuneが含まれており、SCCMとIntuneを組み合わせる共同管理構成を検討する場合はコスト面でのメリットがあります。
SCCMとMECMは別のソフト?
別のソフトではありません。MECMは2019年に行われたSCCMの名称変更後の名前です。さらに2023年にMCM(Microsoft Configuration Manager)に再度改称されています。機能の核心部分は変わらず、名称だけが変更されたものです。現場では今も「SCCM」という旧称が広く使われています。
クラウド環境でもSCCMは使える?
使えます。もともとはオンプレミス環境向けに設計されたSCCMですが、現在はMicrosoft Azure上の仮想マシンにインストールして使用することも可能です。またクラウドベースのIntuneと組み合わせた共同管理構成を取ることで、オンプレミスとクラウドの両方を活用したハイブリッド管理環境を構築できます。
まとめ
SCCM(現在の正式名称:MCM)とはMicrosoftが提供する企業向けの統合IT管理ツールで、大規模なWindows環境でのソフトウェア配布・OS展開・インベントリ管理・セキュリティ管理を一元化できるシステムです。名称はSCCM→MECM→MCMと変遷していますが現場では今も「SCCM」が慣用的に使われています。
大規模・オンプレミス環境での詳細な管理が強みである一方、導入コストが高く専門知識が必要な点がデメリットです。クラウド環境やマルチOS管理にはIntuneが適しており、共同管理を使った段階的なクラウド移行も可能です。


























![中小企業の情報瀬キィリティ相談窓口[30分無料]](/wp-content/uploads/2023/07/bnr_footer04.png)


