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CIS

CIS(Center for Internet Security)は、インターネットセキュリティの強化を目的とした非営利団体で、企業や政府機関、教育機関などが直面するセキュリティリスクに対するベストプラクティス、ガイドライン、ツールを提供しています。CISは、セキュリティ対策を実施するための標準化された方法を提供し、インターネットやITインフラ全体のセキュリティを向上させることを目指しています。

CISの活動の中で特に有名なのが「CIS Controls」と「CIS Benchmarks」です。これらは、セキュリティ対策のための具体的なベストプラクティスや設定基準を定めており、世界中の組織で利用されています。CISは、多様なステークホルダーと協力して、最新の脅威に対応するセキュリティ対策を常に改善し、現実的かつ効果的なセキュリティ管理を提供しています。

CISの主な取り組み

1. CIS Controls

CIS Controlsは、サイバーセキュリティ対策のベストプラクティスをまとめたガイドラインです。サイバー脅威に対する防御策として、組織が取り組むべき20項目の主要なコントロール(ベーシック、ファウンデーショナル、オーガニゼーショナル)を定義しています。これらのコントロールは、リスク軽減のための具体的なアクションを提供し、企業や団体が優先的に行うべきセキュリティ対策を指導します。

例えば、「資産の管理」「脆弱性管理」「アクセス制御」「マルウェア防御」など、幅広いセキュリティ領域をカバーしており、大小さまざまな組織が導入可能な実践的なガイドラインです。

2. CIS Benchmarks

CIS Benchmarksは、特定のオペレーティングシステム、ソフトウェア、クラウドサービスなどに対するセキュリティ設定のベストプラクティスを提供する基準です。これらは、IT環境のセキュリティを強化するための推奨設定を定めたドキュメントで、無料で利用できます。

例えば、WindowsやLinux、ネットワーク機器、クラウドサービス(AWS、Azure、Google Cloud Platformなど)に対して、セキュアな設定を行うための具体的なステップが示されています。これにより、セキュリティ設定の統一や管理の効率化が可能になります。

3. CIS-CAT(CIS Configuration Assessment Tool)

CIS-CATは、CIS Benchmarksに基づいてITシステムの設定状態を評価し、セキュリティベースラインに沿っているかどうかを検査するツールです。自動的にスキャンを行い、コンプライアンス状況を把握することで、設定の改善を支援します。

4. マルチステークホルダープラットフォーム

CISは、業界のエキスパート、セキュリティの専門家、政府機関、教育機関など、さまざまな分野のステークホルダーと連携して、セキュリティのベストプラクティスやガイドラインの開発を行っています。これにより、実用的かつ最新のセキュリティ対策が提供されます。

CISの利点

1. 実用的で効果的なセキュリティ対策

CISが提供するガイドラインやベストプラクティスは、現実のサイバー脅威に基づいており、即座に適用可能な具体的な対策が示されています。これにより、組織は効率的かつ効果的にセキュリティを強化することができます。

2. コンプライアンス対応の支援

多くのセキュリティ規制や標準に対応するために、CIS ControlsやBenchmarksは重要な指針となります。これにより、組織は規制遵守やセキュリティ監査を効率的に進めることが可能です。

3. 無料で利用可能なリソース

CISは、CIS Benchmarksなど多くのリソースを無料で提供しており、特に中小規模の企業にとって導入しやすいセキュリティ対策を提供しています。これにより、リソースに制限がある組織でもセキュリティの向上を図れます。

4. 最新の脅威に対応した継続的な更新

セキュリティの脅威は常に進化していますが、CISは最新の脅威情報をもとにベストプラクティスやガイドラインを更新することで、組織が常に最新のセキュリティ対策を適用できるよう支援します。

CISの課題と注意点

1. 実装の難易度

CIS BenchmarksやControlsを適用する際に、特に大規模な組織や複雑なシステム環境では、全ての推奨事項を適用するのが難しい場合があります。慎重な計画と適切なリソースの確保が必要です。

2. 企業ごとのカスタマイズが必要

CISのガイドラインは一般的なセキュリティ対策を示していますが、各企業や業界の特性に合わせたカスタマイズが求められる場合があります。導入する際には、自社のリスクや環境に合わせて調整することが重要です。

まとめ

CIS(Center for Internet Security)は、サイバーセキュリティのベストプラクティスやガイドラインを提供する非営利団体であり、CIS ControlsやCIS Benchmarksを通じて、組織のセキュリティ対策を効果的に支援します。これにより、セキュリティリスクを軽減し、コンプライアンスの要件を満たすための強力なツールとなっています。世界中の企業や団体がセキュリティを強化するためにCISを活用しており、インターネット全体の安全性向上に貢献しています。


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