広告ハイジャック(Ad Hijacking)|サイバーセキュリティ.com

広告ハイジャック(Ad Hijacking)

広告ハイジャック(Ad Hijacking)は、Web広告を不正に操作し、本来の広告主ではなく、攻撃者が利益を得るように仕向けるサイバー攻撃手法です。広告ハイジャックでは、攻撃者が合法的な広告キャンペーンに介入して、広告を改ざんし、ユーザーを別の不正サイトや競合サイトにリダイレクトさせます。この攻撃により、広告主は流入を失い、広告効果が低下し、場合によっては競合や詐欺的なサイトが利益を得ることになります。

広告ハイジャックは、アフィリエイトリンクや検索エンジン広告を悪用することが多く、ユーザーには通常と同じ広告が表示されるため、正規の広告との違いがわかりにくい点が特徴です。広告主にとっては、広告費の無駄遣いやブランドイメージの低下といったリスクが生じます。

広告ハイジャックの手口

広告ハイジャックにはさまざまな手法があり、主に以下のような手口が使用されます。

1. リダイレクトリンクの改ざん

広告のクリック先リンクを改ざんし、ユーザーを本来の広告先サイトではなく、攻撃者の指定する別のサイトにリダイレクトする手法です。たとえば、ユーザーがクリックすると、正規の広告サイトに似せたフィッシングサイトや競合のWebページに誘導されます。

2. アフィリエイトリンクの乗っ取り

アフィリエイト広告の場合、攻撃者は広告リンクを不正に操作して、他者のアフィリエイトIDを自分のIDに置き換えます。これにより、広告が本来の成果に基づいて報酬が支払われるべきところを、攻撃者が報酬を横取りします。

3. 広告クリックスルーの妨害

ユーザーが広告をクリックしても、攻撃者の設定したページに誘導されるように、広告リンクのクリックを妨害する手口です。これにより、正規の広告がユーザーに表示されず、別の広告や不正サイトが表示されるようになります。

4. 検索エンジン広告の不正利用

攻撃者がブランド名や商品名に関連するキーワードで広告を出稿し、ユーザーを誘導します。これにより、正規の広告主が対象キーワードで上位表示されにくくなり、正規のトラフィックを横取りされます。広告がクリックされるたびに、正規の広告主にとっては流入機会が奪われ、広告費用が無駄になるリスクが高まります。

5. 不正なブラウザ拡張機能の利用

悪意あるブラウザ拡張機能がインストールされていると、広告やクリックリンクが操作され、ユーザーが意図せずに攻撃者の収益に加担してしまうことがあります。これにより、ユーザーがアクセスするページ上の広告がすべて攻撃者に利益をもたらすように改変されます。

広告ハイジャックの目的とリスク

広告ハイジャックは、攻撃者が広告収益を不正に得ることを主な目的としており、以下のようなリスクが生じます。

1. 広告収益の搾取

攻撃者が広告の報酬を横取りするため、正規の広告主が得るべき収益が奪われます。これにより、正規の広告主は広告効果が低下し、広告費の損失が発生します。

2. ブランドイメージの低下

広告ハイジャックによってユーザーが不正サイトや詐欺サイトに誘導されると、企業やブランドへの信頼が低下するリスクがあります。ユーザーが被害を受けると、広告主の責任と誤解される恐れもあります。

3. トラフィックの減少

広告ハイジャックによってトラフィックが奪われ、広告のクリック率や転換率(コンバージョン)が低下します。これにより、広告主のサイトへの流入が減少し、ビジネスへの悪影響が出る場合もあります。

4. 広告費用の無駄遣い

不正なクリックやリダイレクトにより、広告主は無駄な広告費を支払うことになります。特にクリック単価(CPC)や成果報酬型広告(CPA)では、正当なトラフィックが得られず、広告予算が浪費される結果となります。

広告ハイジャックへの対策

広告ハイジャックを防ぐためには、以下のような対策が有効です。

  1. 広告リンクの監視と追跡 広告リンクやアフィリエイトリンクが不正に改ざんされていないか定期的に監視し、異常があれば速やかに対処します。リンクの改ざんを検出するツールや追跡URLを活用することも有効です。
  2. アフィリエイトパートナーの監査 アフィリエイトプログラムに参加するパートナーを定期的に監査し、不正なアフィリエイトIDの差し替えや不正リンクがないかを確認します。信頼性のあるパートナーのみと提携し、違反行為が発見された場合には契約を解除する対応を取ります。
  3. クリックフラウド検出ツールの導入 広告のクリックが不正に操作されていないかを監視するクリックフラウド検出ツールを導入し、不正なトラフィックを検出してブロックします。これにより、正当な広告費を守り、無駄な広告費を削減できます。
  4. セキュリティソフトやブラウザ拡張機能の利用 悪意あるブラウザ拡張機能による改ざんを防ぐために、信頼できるセキュリティソフトやブラウザ拡張機能を導入します。また、ユーザー教育を通じて、不正な拡張機能のインストールを避けるようにします。
  5. ブランドキーワードの保護 ブランド名や商標名に関連するキーワードで広告を出稿し、検索エンジンで正規の広告主が上位に表示されるようにします。また、検索エンジンのポリシーに違反する不正な広告が表示されていないか定期的に確認し、発見次第報告します。

まとめ

広告ハイジャックは、広告のリンクやアフィリエイトIDを不正に操作して収益を搾取するサイバー攻撃であり、広告主にとって広告効果が低下する重大なリスクです。攻撃者はリダイレクトリンクの改ざんやアフィリエイトリンクの乗っ取り、ブラウザ拡張機能の悪用などさまざまな手口で広告をハイジャックします。広告ハイジャックを防ぐためには、広告リンクの監視、アフィリエイトパートナーの監査、クリックフラウド検出ツールの活用、信頼できるセキュリティツールの導入などの対策が効果的です。


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