総務省は2020年5月28日、サイバー攻撃に関する情報を官民で共有するための連携基盤を立ち上げ、セキュリティ業界に知見を持つ人材の育成や、民間企業によるセキュリティ関連製品の開発を支援する考えを明らかにしました。
セキュリティソフトの開発には、被害データの検証が欠かせません。しかしデータを握るセキュリティ企業の多くは外資系企業によるもので、国内企業によるデータの蓄積が進まないという現状がありました。
このため同省は、連携基盤は政府によるセキュリティ関連組織のNICTに置き、NICTが保有する被害事例などの研究データを民間に開放する方針です。具体的には、NICTは参加企業分も合わせてデータベースを構築した上で、研究データを人工知能で分析できる環境を作るほか、セキュリティ製品の大部分を占める海外製品との比較検証も支援し、製品開発をバックアップする役割を果たすものと見られます。
実施は2021年度4月以降か
総務省発表の連携基盤は、2021年4月以降に本格実施されるものと見られます。
総務省は2020年4月28日発表の総合対策案に、一連の連携基盤の構想を盛り込んだものの、連携基盤は運営費として年間数十億円を要する事業です。
このため、総務省は2021年度の概算要求に必要な費用を盛り込む方針を示していますが、日本の国家予算は概算要求の後に続く審議を経て決定する仕組みのため、要求が通ったとしても2021年4月までは、本格的な動きが取りにくいものと見られます。