通信の秘密とは?保護対象や違反した場合の罰則、注意点について徹底解説|サイバーセキュリティ.com

通信の秘密とは?保護対象や違反した場合の罰則、注意点について徹底解説



電話やメールの内容が誰かに聞かれていたり、盗み見されていたりするのは嫌ですよね。個人の秘密や、ビジネスでの大切な情報が漏れてしまうことがないように、これらは「通信の秘密」として法律で守られています。

今回は、こうした通信の秘密が具体的にどの法律で守られているのか、そして守られている対象について解説します。

通信の秘密とは

「通信の秘密」とは、携帯電話の通話内容や、メールでのやりとりなど、”通信に関する個人や企業間でのやりとり”が秘密事項として日本国憲法および電気通信事業法、電波法などの法律で守られていることを指しています。

通信の秘密で保護される範囲

通信の秘密では、具体的に何が保護されるのでしょうか。

保護される内容は、特定の通話の内容やメールだけではありません。実際に通信された事実も秘密とされるので、「通信者の氏名」「住所」「発信時間」「通信記録」など通信の中身や通信記録自体も秘密として保護の対象になります。

通信の秘密の保護に関する法律

通信の秘密の保護については、日本国憲法や、その他いくつかの法律で厳密に定められています。以下で、具体的にどのように規定されているのか確認しましょう。

1. 憲法21条第2項

日本国憲法21条第2項では、以下のように定められています。

検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

このように、通信の秘密は絶対に守るべき内容として掲げられています。

2. 電気通信事業法第4条・第179条

電気通信事業法第4条では、以下のように定められています。

電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。

この中では、「通信の秘密は守るべき」で、さらに「職務上知り得たことは、退職後も守る続けること」というように、永久に漏らしてはいけないと定められています。

また、同法第179条では、以下のように定められています。

電気通信事業者の取扱中に係る通信(第百六十四条第三項に規定する通信並びに同条第四項及び第五項の規定により電気通信事業者の取扱中に係る通信とみなされる認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会が行う第百十六条の二第二項第一号ロの通知及び認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会が取り扱う同項第二号ロの通信履歴の電磁的記録を含む。)の秘密を侵した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
電気通信事業に従事する者(第百六十四条第四項及び第五項の規定により電気通信事業に従事する者とみなされる認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会が行う第百十六条の二第二項第一号又は第二号に掲げる業務に従事する者を含む。)が前項の行為をしたときは、三年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
前二項の未遂罪は、罰する。

このように、規定に反すると、特に事業者の場合に非常に重い罰則規定が適用されることがわかります。

3. 有線電気通信法第9条・第14条

有線電気通信法第9条では、以下のように定められています。

有線電気通信(電気通信事業法第四条第一項又は第百六十四条第三項の通信たるものを除く。)の秘密は、侵してはならない。

こちらでも「通信の秘密」は守るべきものであると規定されています。

また、同法第14条では、以下のように定められています。

第九条の規定に違反して有線電気通信の秘密を侵した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
有線電気通信の業務に従事する者が前項の行為をしたときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
前二項の未遂罪は、罰する。
前三項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の二の例に従う。

こちらにも罰則規定が設けられています。

4. 電波法第59条・第109条

電波法第59条では、以下のように定められています。

何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信(電気通信事業法第四条第一項又は第百六十四条第三項の通信であるものを除く。第百九条並びに第百九条の二第二項及び第三項において同じ。)を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。

こちらでは、内容を漏らしてはいけないということまで規定されています。

また、同法第109条では、以下のように定められています。

無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
無線通信の業務に従事する者がその業務に関し知り得た前項の秘密を漏らし、又は窃用したときは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

同じように罰則規定が設けられています。

通信の秘密の保護を怠った場合の罰則

さまざまな法律で、通信の秘密についてどのように規定されているのかということについて説明しました。もし、これらの規定に違反し、通信の秘密の保護を怠った場合は、どのような罰則が適用されるのでしょうか。

どの法律が適用されるかによっても罰則は変わってきますが、IT関連の内容が特に含まれる電気通信事業法の規定では以下のようになります。

秘密を漏らした場合 2年以下の懲役又は1100万円以下の罰金
特定の事業者の場合 3年以下の懲役又は200万円以下の罰金

通信等に関わる事業者については、実際に該当する情報を扱うため、特に罰則規定が重くなっていることがわかります。

通信の秘密の注意点

「通信の秘密」というものを取扱う際には、法律で規定されている内容も含めていくつか注意しておくポイントがあります。

インターネット上の通信も対象

まず注意すべきポイントは、「メールや通信記録など、インターネット上で行われる通信も通信の秘密に該当する」ということです。

つまり、電話の通話を盗聴したり、電波を傍受したりすることだけでなく、メールなども対象となるということでしょう。単純に内容を知るだけなら違反であるとは言い切れませんが、外部に漏らすと確実に違反になるので注意しましょう。

プライバシー保護との関係

もう一つ、プライバシーの保護との兼ね合いについても押さえておく必要があります。

厳密に言うと、通信の秘密にはプライバシーとしての内容には含まれないものもあります。当然、データそのものは通信されなければ通信の秘密には該当しません。しかし、これら対象外のものについても、総務省の「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」によって、通信事業者は遵守することが求められています。

SNSなどには注意

最近は、facebookやinstagram、LINEなどといったSNSでの情報のやりとりが一般的となっています。SNSで公開されている情報自体は、秘密とは言えませんが、運営会社側は紐づいた非公開の情報まですべて把握しています。もちろん、それらを公開すると問題になります。

一例では、LINEが運営している「LINEモバイル」では、利用者がLINEを使う場合は無料としています。しかし、その場合、通信がLINEのものかどうか運営側がデータ内容を確認する必要があります。これが「通信の秘密」に違反しているのではないかと議論もありました。

まとめ

電話での音声通話の内容や、インターネット上でのメールなどでの通信は、他人に漏れてしまうと大きな問題になります。

こうしたことは、「通信の秘密」として憲法はじめ各種法律で明確に保護することが定められ、違反した場合は罰則規定が適用されることになっています。それらを扱う通信事業者は、とくに通信内容の秘密を守ることが求められ、違反した場合の罰則も重いものとなります。

通信の秘密について注意すべき点としては、「インターネット上の通信も対象」「プライバシーとの関連」などがあります。いずれにしろ、通話内容と同じようにインターネット上のやりとりについても外部に漏らすことは大きな問題であるとの認識を持ちましょう。


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