サイバーブリング(cyberbullying)とは?種類や対策、海外での現状まで徹底解説|サイバーセキュリティ.com

サイバーブリング(cyberbullying)とは?種類や対策、海外での現状まで徹底解説



インターネットが普及した結果、青少年がSNSなどで会ったこともない他人と気軽に交流できるようになりました。しかし相手の表情や見えないインターネット上でのやりとりでは、思わぬトラブルに巻き込まれることがしばしばあります。

特にインターネット上で発生する「いじめ」は「サイバーブリング(cyberbullying)」と呼ばれ、未成年だけでなく成人した社会人もターゲットにされ社会問題となっています。

今回はサイバーブリングの種類と対策方法、さらに海外における現状まで徹底解説します。

サイバーブリング(cyberbullying)とは

サイバーブリング(cyberbullying)とは「サイバー空間で発生しているいじめ」のことです。日本語では「ネットいじめ」と訳されます。

インターネットでの交流はTwitterやfacebookなどのSNSや、メール、チャットルーム、ネットゲーム、動画配信サイトなど様々な媒体で行われています。物理的に遠い場所にいる人と手軽に交流できるのが最大のメリットですが、直接顔を合わせてコミュニケーションしているわけではありません。そのため、あまり深く考えずに相手を傷つけたり、嫌がらせをしたりする人が後を絶ちません。

サイバーブリングはインターネット上のいじめを指す言葉ですが、オンラインからオフラインの舞台を変えて継続されることもあります。例えばSNSで友達から無視されていた生徒が、学校という物理的な世界でも無視されてしまうなどのケースです。インターネットのある生活が日常となった現在、自分がこのようないじめのターゲットになってしまうと、精神的苦痛は計り知れないでしょう。

サイバーブリングでは具体的にどのような行為が行われているのでしょうか。これからいくつかの種類を紹介します。

サイバーブリング(cyberbullying)の種類

サイバーブリングとして行われるいじめには、以下のような種類があります。

画像の加工(フォトモンタージュ)

いじめの対象となっているユーザーの写真に対して悪意のある加工を行うケースがあります。画像の加工は「フォトモンタージュ」と呼ばれ、これ自体はデザイン業界で使われている用語です。

しかしフォトモンタージュがサイバーブリングの道具となった場合、実際にはありえない画像がいじめの道具として悪用されます。例えば、いじめの対象となっているユーザーの顔写真と、ヌードの女性の体と合成した写真が作成されSNSなどで拡散されるケースがありました。

このように自分の写真が悪意のある画像に加工されていると知ったら、被害者は大きなショックを受けるでしょう。

うわさの拡散(バイラルミーム)

本人にとってあまり良くない、うわさの拡散(バイラルミーム)の被害にあうことがあります。特にTwitterはリツイート機能により、投稿者が思ってもいないほど拡散されることがあります。

SNSでの拡散でもポジティブな投稿は「バズ」と呼ばれように好意的に受け取られることが多いです。一方でネガティブな投稿が拡散されることも多々あります。中には事実無根の内容の投稿であることも多く、しかも一度拡散が始まってしまうと、誰にも止められなくなってしまいます。

その他(嫌がらせ)

SNSのように大勢のユーザーに閲覧される環境ではなく、LINEやメールなど比較的少人数、あるいは本人と1対1のコミュニケーションにおいても、誹謗中傷の内容のメッセージを送信して嫌がらせするケースもあります。

例えば「死ね」や「ウザイ」などの悪口を本人に直接送信することで、精神的なショックを与えるケースです。いじめている本人が直接メッセージを送信するケースだけでなく、複数のメールアカウントを作成して、匿名で大量の誹謗中傷のメッセージをいじめている対象に送信するケースもあります。

このような匿名性の高いケースでは、保護者や学校がサイバーブリングを認知していない場合が多く、ターゲットがいじめを苦に自殺するまでに至ったこともありました。

サイバーブリング(cyberbullying)への対策

サイバーブリングへの対策として以下の3つが有効です。

未成年の場合はセーフモード等を活用

未成年が使っているスマートフォンやパソコンのブラウザに対して、セーフモード等の設定を活用することが有効です。インターネット上には過激な表現を使用しているコンテンツが公開されていますが、ブラウザや動画配信サイトなどの設定でセーフモードを有効にすることで、未成年に悪影響を及ぼすコンテンツの表示を制限できます。

SNSの設定で防止する

SNSによってはサイバーブリング対策として利用できる設定があります。例えばTwitterでは、投稿に対するリプライ(返信)をできるアカウントを選択できる機能を実装しました。

このTwitterの機能は、ある投稿に対してリプライできるアカウントを次の3種類に制限できます。

  • 誰でも返信できる(従来のTwitterの設定)
  • 投稿主がフォローしているアカウントのみ返信できる
  • @アカウント(指定したアカウント)のみ返信できる

この機能により、自分にとって好意的なアカウントからの返信のみ受け付ける設定が可能となり、自分に向けられた悪意のある投稿をある程度制限できます。

Google Safety Center等のアドバイスを参照する

Googleでは「Google セーフティ センター(Google Safety Center)」を公開しています。これはインターネットを安全に使うために、Googleが公開している様々なコンテンツです。この中に「ご家族へのアドバイス」というファミリー向けのコンテンツが公開されています。特に未成年者が安心してインターネットを活用するための、情報やヒントが掲載されています。大人にとっても参考になることが書いてあるコンテンツなので、ぜひご一読ください。

参照ご家族へのアドバイス/Google

海外でのサイバーブリング(cyberbullying)の現状

サイバーブリングは海外でも問題となっています。国連児童基金(ユニセフ)は2019年9月4日、世界の若者の36%がネットいじめを経験し、19%がネットいじめにより学校を休んだことがあるという報告書を発表しました。ネットいじめに使われる媒体はfacebook、インスタグラム、TwitterなどSNSが主流であり、ネットいじめの責任の所在のうち、32%が政府であると指摘しています。

参照36%がネットいじめ被害 世界の若者、ユニセフ調査/日本経済新聞

海外で発生しているサイバーブリング問題に対して、民間企業によるインターネット利用環境の整備が進んでいます。これからいくつか紹介します。

サイバースマイル財団


サイトTHE CYBERSMILE FOUNDATION

サイバースマイル財団は、2010年にネットいじめの撲滅活動のために設立された非営利団体です。ネットいじめの周知活動やSNSを使った情報交換ができます。

サイバーブリングリサーチセンター


サイトCYBERBULLYING RESEARCH CENTER

サイバーブリングリサーチセンターはサミャー・ヒンデュラ氏とジャスティン・パッチン氏により開設されたサイバーブリングに関する情報サイトです。ネットいじめの研究結果の発表やワークショップを通じて、生徒だけでなく教育者にも情報交換を行っています。

エンド・トゥー・サイバーブリング


サイトEND TO CYBER BULLYING ORGANIZATION

エンド・トゥー・サイバーブリングはサミュエル・ラム氏とデビット・ザオ氏によって設立された非営利団体です。子供だけでなく、親や教育者も対象とした情報提供や一般への周知活動など、ネットいじめ撲滅のための活動を行っています。

STOMPアウト・ブリング


サイトSTOMP Out Bullying

STOMPアウト・ブリングはブレイン・チャイルド・オブ・ラブ・アワー・チルドレン(The Brain child of Love Our Children USA)が設立した団体です。いじめ撲滅活動や、活動の一環として「ティーン大使」と呼ばれる10代のアドバイザーを任命して、世界各地で活動支援を行っています。

まとめ

サイバーブリングについて種類や対策方法、そして海外での現状について紹介してきました。インターネットの普及により、情報リテラシーの低い未成年も気軽にSNSやゲームなどを通じて、他者との交流が可能になりました。オンラインの世界はオフラインの世界より、浅い交流ながらも多くの他者と交流が可能であり、その中には自分とは相性の悪い人がいるのは仕方がありません。

オンライン、オフラインを問わずいじめは決して許されるものではありませんが、そのような倫理観のみでサイバーブリングを完全に防ぐのは難しいでしょう。Twitterがリプライ機能に制限を加えたように、サイバーブリングに対しては、テクノロジーの力も使って防止するのがインターネットならではの対策と言えるのではないでしょうか。


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