
サイバー犯罪といえば特定の企業に対する不正アクセスや情報漏洩などを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、インターネットの個人利用が普及している現在では、個人をターゲットにしたサイバー犯罪も見過ごせません。
- FacebookやTwitterのアカウントがのっとられた
- ネットオークションで落札したのに商品が届かない
- 掲示板に誹謗中傷の書き込みをされた
- 見覚えのないアプリケーションがインストールされている
など…。こんな時に頼りになるのが「サイバー警察」です。今回はサイバー警察を紹介し、具体的にどのような犯罪について対応してくれるのかを紹介します。また、警察への相談に対して抵抗を覚えてしまう方、大ごとにしたくない方に向けて、おすすめの相談窓口をご紹介します。
サイバー警察とは
サイバー警察(サイバーポリス)とは1998年6月に警視庁が発表したハイテク犯罪への対策強化体制の総称のことです。電脳警察と呼ばれることもあります。
警視庁は「サイバーポリスの体制確立」「不正アクセス対策の法整備」「産業界との連携強化」「国際捜査協力のルール作成」などを盛り込んだ「ハイテク犯罪対策重点推進プログラム」を発表しました。
その「ハイテク犯罪対策重点推進プログラム」の施策の一つが「サイバーポリス」体制の構想です。警視庁はサイバー犯罪対策の強化のために、ナショナルセンターとサイバーフォースセンターを設置し、各都道府県警察を主導しています。
ナショナルセンターとは警視庁が最先端の情報通信技術を結集し都道府県警察を技術的に主導するために設置されたものです。
また、サイバーフォースとは、警視庁及び地方機関にサイバー攻撃対策の技術的基盤として設置された技術部隊のことです。警視庁のサイバーフォースセンターは、全国にある地方機関のサイバーフォースセンターの司令塔の役割を果たし、サイバー攻撃発生時には被害状況の把握や被害拡大の防止として機能するほか、24時間体制でサイバー攻撃の予兆・実態把握などを行っています。
各都道府県の警察本部にはサイバー犯罪を専門的に捜査している部署があります。都道府県によって部署の名称は多少異なりますが、サイバー犯罪の相談窓口として役割を果たしています。
サイバー警察に通報すべき被害の種類
サイバー警察が取り締まりをしている犯罪について紹介します。サイバー警察が取り扱っているサイバー犯罪は多岐にわたりますが、大きく分けると以下に分類することができます。もしここで取り上げられているような被害にあったり見かけたりしたら、サイバー警察に相談・通報しましょう。
不正アクセス行為の被害
不正アクセスとは、本来アクセス権限を持たないものが、他者のIDやパスワードを不正に利用しログインする「乗っ取り」や、ソフトウェアをの脆弱性を悪用して、コンピュータやサーバに不正に侵入する行為のことを指します。その被害一例は以下の通りです。
- 機密情報の持ち出しや削除、改ざん、
- 名前や住所、クレジットカード番号といった個人情報の窃取
- 外部からの不正侵入によるコンピュータの正常動作の妨害
なかには不正に侵入したコンピュータに対して、悪意のあるプログラムを仕組み、DDoS攻撃に加担させようとするものもあります。
不正アクセス禁止法は平成24年5月1日に改正されました。不正アクセス行為の罰則強化だけではなく、この改正により、フィッシングサイトにアクセスさせ、他者のIDやパスワードを不正に窃取する行為も不正アクセス禁止法違反の行為となりました。
コンピュータ・電磁的記録対象犯罪による被害
電磁記録とはDVD-ROMやUSBメモリなどのコンピュータで認識できる媒体やキャッシュカードの磁気部分などを指します。これらを不正に作成・使用し、サーバーに保存されている他人のホームページを改ざんすることや、銀行などの端末を不正に操作して、他人の口座から無断で自分の口座へ預金を移す行為などが違法になります。被害の一例は以下の通りです。
- クレジットカードの偽装作成による不正入金/送金の被害
- アクセス過多によるサーバダウンの被害
不正指令電磁的記録に関する犯罪による被害
これは別名「コンピュータ・ウィルスに関する罪」とも言われており、近年世間を騒がせているマルウェア取扱いに関してもこの罪に問われます。この法律で罰せられる行為は以下の3つです。
ウィルス作成・提供罪 | 正当な目的がなく、その使用者の意図とは無関係に勝手に実行されるような指令を出すために、ウィルスやそのソースコードを作成し、他人に提供する罪 |
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ウィルス併用罪 | 正当な目的がなく、ウィルスをその使用者の意図とは無関係に勝手に実行される状態にしようとする罪 |
ウィルス取得・保管罪 | 正当な目的がなく、その使用者の意図とは無関係に勝手に実行されるようにする目的で、ウィルスやそのソースコードを保管する罪 |
不正指令電磁的記録に関する犯罪による被害の一例は以下の通りです。
- パソコンやサーバがウイルスに感染した
- サーバ等に不正アクセスし、情報を改ざんされた
その他ネットワークを利用した犯罪
その他のネットワークを利用した犯罪には以下のものがあげられます。
- 犯罪や殺人などの犯行予告を掲示板に投稿する
- 覚せい剤などの違法な物品をインターネットで売買する
- 不特定多数の人に対して児童ポルノやわいせつな写真・動画を閲覧できる状態にする
- ネットオークションで詐欺行為をする
- ホームページ上で他人を誹謗中傷する書き込みを行う
などです。上記の犯罪の被害に遭った場合、速やかにサイバー警察に相談しましょう。
警察で行われる対応例
サイバー警察が具体的のどのような事件に対して対応してきたのか、相談事例と検挙事例について紹介します。
相談事例
詐欺、悪質商法関係
- ネットオークションで商品を落札し代金を振り込んだが、商品が送られてこない
- 覚えのないサイト利用料金をメールで請求された
迷惑メール関係
- スパムメール、不要な広告メールが頻繁に送られてくる
- 自分のメールアドレスを悪用した、いやがらせのメールが送付されている
不正アクセス関係
- IDとパスワードを無断で使用され、自分で開設しているホームページが何者かに改ざんされた。
- 何ら契約関係にない第三者に会社のコンピュータシステムに不正にアクセスされ、データを改ざんされたり消去されたりして業務を妨害された。
検挙事例
オンラインゲーム関係
- インターネットカフェを利用して他人のID・パスワードを使いオンラインゲームに不正接続し、ゲーム内でアイテム(武器など)を自分のものにしていた男を「不正アクセス禁止法違反」で検挙しました。
- 他人のID・パスワードを使ってオンラインゲームに不正に接続し、ゲーム内でアイテム(武器など)を自分のものにしていた会社員など3名を「不正アクセス禁止法違反」などで検挙しました。
インターネット・オークション関係
- 他人のID・パスワードを使ってインターネット・オークションサイトに無断で接続するとともに、同サイトを利用してパソコンを架空出品し、現金をだまし取った男を「不正アクセス禁止法違反及び詐欺」で検挙しました。
- インターネット・オークションにブランド品の指輪を出品し、落札者に偽物を送って代金をだまし取った男を「詐欺」で検挙しました。
出会い系サイト関係
- 出会い系サイトの掲示板に、「女子中学生か高校生で会える子募集してます。」などと書き込みをした男を「出会い系サイト規制法違反(不正誘引)」で検挙しました。
- 出会い系サイトで知り合った少女らとのわいせつな行為を撮影し、DVDを販売していた会社員を「児童買春・児童ポルノ禁止法違反」で検挙しました。
被害に遭ってしまったらどうしたらよいのか
これまで取り上げてきた犯罪以外でも「これってサイバー警察に相談したほうがいいのかな?」と思われるような被害に遭ってしまったら、まずは警察に相談しましょう。緊急の事案に関しては、すぐに110番へ電話です。
また警視庁のホームページに「インターネット安全・安心相談」のコーナーがあります。
このサイトはインターネット上のトラブルの解決を支援するサイトです。よくある相談の解決方法や、具体的な通報先の情報などが記載されています。被害を通報する場合は、最寄の警察署あるいは都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口を利用しましょう。
サイバー警察に相談するか悩んだら
実際に警察に相談すると、「大ごとになってしまうかもしれない」と心配になったり、「まずは話を聞いてもらいたい」とサイバーインシデントに対する不安を解消したいという方も多いと思います。そこでサイバー警察に通報する前に、気軽に相談できる窓口を紹介します。
警察相談専用電話に相談する
実際に被害に遭っているか定かではない状態で、警察に相談する窓口として設置されているのが、警察相談専用の全国共通ダイアル「#9110」です。全国どこからかけても、その地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。このダイアルは1989年に設けられ、2016年には、通報のうちおよそ2割が不要不急の内容だったことを踏まえ、緊急性を要さない相談を受け付ける窓口としてさらに利用が呼びかけられています。
サイバー犯罪に関する相談も例外ではありません。自分もハッキングや不正アクセスの被害に遭っているかもしれないという不安を解消するためにも、#9110の利用をおすすめします。
サイバー犯罪調査専門の業者に相談する
サイバーインシデントの被害有無にかかわらず、「民事不介入」や「違法性が低い」といった理由によりサイバー警察の対応が消極的な場合があります。
しかしそのままハッキングや不正アクセス被害の可能性を放置してしまうと、のちに情報漏洩やマルウェア感染など被害が拡大してしまう恐れもあります。そのような時に相談する窓口として、サイバー犯罪の調査を専門とするフォレンジック業者をご紹介します。
フォレンジックとは、パソコンやスマホといったデジタル機器から、ハッキングや不正アクセスをはじめとするサイバーインシデントの被害状況を割り出す調査方法のことを指します。フォレンジック業者はデジタル機器に関してはもちろん、セキュリティに関する専門知識を所有しており、初めて相談する場合でも安心です。
フォレンジック業者に関する詳しい説明は以下のページで紹介しています。
サイバー犯罪のおすすめ相談窓口
「被害に遭っているか定かではないが、まずは相談したい」「専門家やプロに話を聞いてもらいたい」という場合におすすめしたいのが、フォレンジック業者の相談窓口です。ここでは、おすすめのサイバー犯罪調査の専門業者として「デジタルデータフォレンジック」を紹介します。
デジタルデータフォレンジック
デジタルデータフォレンジックは11年連続国内売上No.1のデータ復旧業者が提供するデジタルフォレンジックサービスです。
調査専門のエンジニアとは別に、フォレンジック調査専門のアドバイザーが在籍しているため、「本当にハッキングの被害に遭っているか知りたい」「不正アクセス被害に対する不安を解消する方法を教えてほしい」という方は、無料相談を利用し、適確なアドバイスを受けることができます。
また、警視庁からの捜査依頼実績も多数あることから、サイバーインシデント調査のプロだということが分かり、実績面でも信頼ができます。法人/個人問わず対応しており、法人の社内不正調査やサイバー攻撃の被害調査に加えて、個人のハッキング調査、パスワード解析まで、幅広い対応を可能としている汎用性の高い業者です。
費用 | ★電話かメールにてお見積り |
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調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
サービス | ハッキング・不正アクセス調査、マルウェア・ランサムウェア感染調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、データ改ざん調査など |
特長 | ★年中無休で無料相談が可能 ★11年連続国内売上No.1のデータ復元サービス ★警視庁からの捜査協力依頼実績が多数あり |
まとめ
インターネットは便利な道具ですがトラブルも多く、自分では意図しなくても、さまざまな犯罪に巻き込まれることもあります。
特に近年ではEmotetというマルウェア感染の被害が拡大しており、自身が加害者になる可能性も考えられます。サイバーインシデントの被害を最小限に抑えるために、少しでも不安を感じたら、サイバー警察やフォレンジック専門業者の相談窓口を有効活用しましょう。
少しでもインターネットを安全に使えるようにするため、トラブルに巻き込まれたり、違法なサイトを見かけたりしたら、早めの相談・早めの対処・早めの通報が有効です。