世界中の人々の注目が集まるイベント。それはテロリストにとっても、普通の犯罪者にとっても狙う価値のある場所になります。テロリストにとっては自分たちの存在を誇示するために。犯罪者にとっては、その土地の“常識”を知らない騙しやすい観光客が大挙押し寄せるために。
例えば、「交通システム」…信号のシステムに侵入して一斉に全部青にしたら、どれだけの事故が起きるでしょう。
例えば「ATM」…普段使っているATMなら、スキミングの機械がついていれば気が付くかも知れません。でも、海外のATMでは、スキミングの機械があっても気づくことは無いでしょう。
犯罪者にとっても価値がある「国際イベント」
このように、大きなイベントは闇社会の人間にとっても大きなイベントなのです。何も対策をしていなければ、大規模な犯罪が行われてしまいます。
だからこそ、2020年東京オリンピックを無事に運営できれば、世界中に日本のサイバーセキュリティ体制が整ったと証明して見せることができるのです。これが度々このコラムの中で、サイバーセキュリティ体制の完成リミットは「2020年」と言う理由です。
懸念されるリオオリンピックでのサイバー攻撃
もうすぐ始まるリオデジャネイロオリンピック。ジカ熱と並んで、交通網や犯罪に対する懸念が高まっています。その懸念材料の一つであるサイバーセキュリティ。
リオデジャネイロオリンピックでは、シマンテックが主として対応するようですが、期間中のサイバー攻撃は6億5千万件以上に上るであろうと推測しています。何もないことが一番ですが、ひょっとしたら、東京の反面教師になりかねない恐れもあります。サイバーセキュリティ対策という視点でも、今回のオリンピックの運営は要注目です。
ジャポニスム2018で実施されるサイバー攻撃対策テスト
さて、実は東京オリンピックに向けて、国は事前に国際イベントでのサイバーセキュリティ対策のテストを計画しているようです。
それがフランスで行われる「ジャポニスム2018」です。※フランス語なので“ニズム”じゃなくて“ニスム”
ジャポニスムとは
日仏友好160年を記念し、19世紀ジャポニスムを巻き起こした国際博覧会の地、パリで21世紀の日本を知ってもらい、EUの人たちに東京オリンピック観光を誘う狙いがあります。それと共に、東京オリンピック前に日本主催の大規模な国際イベントとして、セキュリティ対策のテストにもなります。
ちなみに、19世紀ジャポニスムを巻き起こした国際博覧会の立役者の一人が朝ドラでも人気になった五代友厚ですね。宣伝にディーン・フジオカを使えば国内の興味が高まるかも知れません。(笑)
この「ジャポニスム2018」、連絡会議が非公開であったり、全面協力する「“日本の美”総合プロジェクト懇談会」の座長の発言がちょっと強引過ぎたりで、アレな部分はあるのですが、開催準備の構成員に東京オリンピックの内閣官房担当も含まれています。東京オリンピックのプロトタイプとして、サイバーセキュリティも含めた様々な対策の確認が行われると見込まれます。
今後の対策の展開
- 2018年の「ジャポニスム2018」(成功すれば)
- 2019年にパリ以外にも展開
- 2020年東京オリンピック
これが政府の海外に向けての「安心・安全な日本」アピールの計画です。これを意識し、民間でも対策を立てなければなりません。
おわりに
「ジャポニスム2018」に関連するであろう、文化・出版等の分野は2020年を待たず、2018年を目安にサイバーセキュリティ対策を考えましょう。文化イベントですので、知財権対策なども忘れずにしっかりしておきましょう。知財に関わることもサイバーセキュリティ対策の一つです。
次回は、サイバーセキュリティ戦略の一方の柱、「IoTセキュリティガイドライン」について解説します。