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BMC

BMC(Baseboard Management Controller)は、サーバーやデータセンター内のハードウェア管理を行うための制御チップです。BMCは、サーバーのマザーボードに組み込まれ、OSの起動に依存せずに、リモートからハードウェアの監視や管理、トラブルシューティングを行うことが可能です。BMCを使用すると、管理者はサーバーの状態を遠隔地からでも把握し、システムのリブートや電源のオン・オフといった操作を行うことができます。

BMCの機能

BMCは、サーバーやネットワーク機器のハードウェア管理において多くの機能を提供します。代表的な機能を以下に紹介します。

1. リモート監視と管理

BMCは、電源、温度、ファンの速度、電圧といったハードウェア状態をリアルタイムで監視します。これにより、システムに異常が発生した場合には、即座に管理者へ通知が送られるため、迅速な対応が可能です。

2. 電源管理

BMCを通じて、リモートからサーバーの電源をオン・オフ、再起動、ハードリセットすることが可能です。これにより、現場に直接行かずともシステムの再起動やトラブルシューティングを行えるため、効率的な運用が実現します。

3. コンソールリダイレクト

BMCは、IPMI(Intelligent Platform Management Interface)などのプロトコルを通じて、サーバーのコンソール画面をリモートで表示する機能も提供します。これにより、システムがクラッシュした際でも、遠隔地から原因調査やOSの再インストールが行えます。

4. KVM機能(Keyboard, Video, Mouse)

BMCは、サーバーのKVM(Keyboard, Video, Mouse)機能を提供し、リモートからキーボードやマウスの操作、画面の確認が可能です。サーバーが停止している場合や、OSが起動していない状態でもリモートでの操作が可能で、トラブル対応をサポートします。

5. ハードウェア診断とログ取得

BMCは、サーバーのハードウェア診断やエラーログの収集も行います。例えば、異常な温度上昇や電圧異常などのイベントが発生した際には、BMCがログを記録し、将来のトラブルシューティングに役立てることが可能です。

BMCとIPMI

BMCは、IPMI(Intelligent Platform Management Interface)という標準のインターフェースを使用して管理が行われます。IPMIは、BMCによるリモート監視と管理を実現するためのプロトコルであり、BMCを備えた多くのサーバーやネットワーク機器で標準的に採用されています。IPMIの主な特徴は以下の通りです。

  • 標準プロトコル
    IPMIは、異なるベンダーのハードウェアでも互換性を保ちながら利用できる標準プロトコルで、管理作業を一元化できます。
  • リモートアクセス
    IPMIにより、管理者は遠隔からサーバーの管理や状態の確認、操作が可能となり、物理的に離れた場所でも運用が可能です。
  • セキュリティ対策
    IPMIはアクセス制御やユーザー認証機能も備え、リモート管理時のセキュリティが保護されていますが、BMCやIPMIがインターネットに直接接続されていると、サイバー攻撃のリスクがあるため、ファイアウォールなどで保護することが推奨されます。

BMCの利点と課題

利点

  • 遠隔管理の効率化
    BMCを使用すると、サーバーの物理的なアクセスが難しい場合でもリモートから状態確認や操作ができ、効率的な運用が可能です。
  • トラブル対応の迅速化
    システム障害時にも、リモートから電源のオン・オフやKVM操作が可能で、迅速な対応が行えます。
  • コスト削減
    物理的な現場対応が不要になるため、IT管理にかかるコストが削減できます。

課題

  • セキュリティリスク
    BMCはリモート管理を目的とするため、外部からの攻撃リスクも伴います。BMCをインターネットに直接接続することは推奨されず、ファイアウォールで保護することが重要です。
  • 複雑な操作
    BMCの設定や管理には一定の専門知識が必要です。誤った設定はセキュリティリスクを高める可能性があるため、慎重な取り扱いが求められます。

まとめ

BMC(Baseboard Management Controller)は、サーバーやネットワーク機器において、リモートからハードウェアの監視と管理を可能にする重要な制御チップであり、IPMIプロトコルを用いたリモート管理機能が特徴です。BMCを利用することで、物理的に離れた場所からもデバイスの状態を監視・操作でき、データセンターやサーバー管理の効率化に大いに貢献します。

一方で、インターネットに直接接続することでサイバー攻撃のリスクが高まるため、BMCのセキュリティ対策は必須です。遠隔操作の利便性とセキュリティ管理を両立することで、BMCはサーバー管理の最適化と効率化に貢献し、特にデータセンターの運用において欠かせない技術です。


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