スワッティング|サイバーセキュリティ.com

スワッティング

スワッティング(Swatting)とは、特定の人物や場所に対して虚偽の通報を行い、SWAT(特殊武装戦術部隊)や警察の特殊部隊を出動させる悪質ないたずら行為や嫌がらせを指します。

スワッティングは「SWAT」と「イング(ing)」を組み合わせた言葉で、実際には脅威や犯罪行為が発生していないにもかかわらず、緊急の通報を装って警察を出動させることで、対象者に精神的なショックを与えたり、混乱を引き起こしたりすることを目的としています。

この行為は、非常に危険であり、対象者や関係者が誤って逮捕されたり、場合によっては負傷するケースもあります。また、公共のリソースを無駄にし、実際に緊急を要する場面での対応に支障をきたすため、各国で重い犯罪として処罰されています。

スワッティングの仕組み

スワッティングの実行者は、以下のような手順で虚偽の通報を行います:

  1. ターゲットの住所や個人情報を入手: 犯人は、インターネットやSNSを通じてターゲットの住所、電話番号、勤務先などの個人情報を収集します。ストリーミング配信者や有名人、特定のユーザーが対象となりやすいです。
  2. 虚偽の緊急通報: 犯人は、「人質が取られている」「銃撃事件が発生している」などの重大な事件や脅威が発生しているかのように装って警察に通報します。IPアドレスの偽装や匿名通話アプリを利用し、自身が特定されないようにしています。
  3. 警察の出動: 警察は通報内容をもとに迅速に対応し、特殊部隊を出動させます。特に、内容が緊急を要する重大なものである場合、特殊武装した部隊が現場に到着し、周辺を封鎖したり対象者を制圧したりする場合もあります。
  4. 被害者の混乱やパニック: ターゲットやその周囲の人々は、突如として警察や特殊部隊の出動により混乱やパニックに陥ります。何も知らない状態で誤って拘束されるケースもあり、精神的なダメージを受ける場合もあります。

スワッティングの被害例

  • ライブ配信中のスワッティング:オンラインゲーム配信者やSNSのインフルエンサーが配信中にスワッティングの標的になるケースがあります。配信中に特殊部隊が突入する映像がそのままライブで流れ、視聴者も含めて大きな混乱が生じます。
  • 報復目的でのスワッティング:オンライン上でのトラブルやゲーム内での対立から、相手に嫌がらせをする目的でスワッティングが行われることがあります。特に対戦型のゲームコミュニティなどでトラブルが発端となることが多いです。
  • 誤報によるけが人や死亡事故:スワッティングが原因で実際に負傷者や死亡者が発生した例もあります。警察が重大な脅威と判断し、現場で誤って発砲してしまうケースがあり、スワッティングの危険性が問題視されています。

スワッティングの法的措置と処罰

スワッティングは、各国で厳重に取り締まりが行われており、多くの国で重罪とされています。虚偽通報によって緊急サービスや警察のリソースが浪費されるため、スワッティング行為に及んだ者には以下のような処罰が科されることがあります:

  • 罰金刑:公共リソースの無駄遣いや、偽の通報による業務妨害行為として罰金が科されます。
  • 懲役刑:スワッティングが重大な結果を招いた場合、刑務所への収監や長期間の懲役刑が科されることがあります。米国では、実際に長期の懲役刑を受けたケースもあります。
  • 賠償命令:スワッティングによって被害者が負傷した場合や、施設・設備に損害が発生した場合、犯人には損害賠償が命じられることがあります。

スワッティングの対策

1. 個人情報の保護

SNSやインターネット上での個人情報の取り扱いに注意し、住所や電話番号などの情報を不特定多数に公開しないことが重要です。ストリーマーやインフルエンサーは、個人情報の漏洩を防ぐためのプライバシー対策を徹底することが推奨されます。

2. 通報内容の確認手順を強化

警察などの緊急サービスでは、通報があった際に情報の正確性を二重に確認するなどの対応が求められます。特に緊急性が高い通報の場合、現場到着前に発信元や内容の確認を行うことが推奨されます。

3. スワッティングへの教育と啓発

オンライン上でのトラブルが発端となるケースが多いため、スワッティングの危険性や法的責任について、インターネット利用者に向けた教育と啓発を行うことが重要です。特に若年層に対しての教育が効果的です。

4. 関係機関の連携

警察やサービス提供者、オンラインプラットフォーム運営者が連携し、スワッティング被害が発生しないように予防対策を講じることも有効です。配信プラットフォームやSNSでは、ユーザーを保護するためのガイドラインやサポート体制を整備しています。

まとめ

スワッティングは、虚偽の緊急通報によって対象者やその周囲に多大な迷惑や危険をもたらす悪質な行為です。ターゲットを恐怖に陥れるだけでなく、公共リソースの浪費や現場での負傷、最悪の場合は死者が出る可能性もあるため、各国で厳重に規制されています。個人情報の管理やインターネット上の安全な行動が重要である一方、警察などの緊急対応機関も虚偽通報への対応体制を強化し、スワッティングのリスクを最小限に抑えることが求められています。


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