衝突｜サイバーセキュリティ.com

  1. ホーム /
  2. セキュリティ用語集 /
  3. 衝突
             

衝突

衝突とは、二つ以上の物体やシステムが同じ空間やリソースに同時にアクセスしようとしたときに起こる、競合や干渉のことを指します。コンピュータやネットワークの分野では、データ通信やファイル操作などで複数のプロセスが同一リソースにアクセスする際に発生する競合現象も衝突と呼ばれ、処理の遅延やエラー、データの破損といった問題が生じる原因になります。また、物理学や力学においても、二つの物体が互いにぶつかり合うことを指し、運動量やエネルギーの変化が生じる事象として扱われます。

コンピュータやネットワークにおける衝突の特徴

コンピュータやネットワーク環境での衝突は、特に同時アクセスやリソース競合が発生しやすいシステムで見られます。たとえば、データベースで同じファイルや行を複数のプロセスが同時に更新しようとする際や、ネットワーク上で同一の通信路に複数のデータパケットが同時に送信される場合に発生します。このような衝突は、処理の停止や再送を引き起こし、パフォーマンスの低下につながります。

衝突の種類と例

1. ネットワーク衝突

ネットワーク衝突は、特にCSMA/CD（Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection）方式を採用するイーサネットのネットワークで多く発生します。複数の端末が同時にデータを送信すると、データが衝突し再送信が必要になるため、通信効率が低下します。

2. データベースの衝突

データベースでは、複数のユーザーやプロセスが同時に同じデータへアクセスや変更を行おうとすると、競合やロックの問題が発生し、データの一貫性が損なわれる可能性があります。たとえば、金融システムなどのトランザクション処理において、同じ口座データに対する複数の更新処理が行われる際に発生することがあります。

3. ハッシュ衝突

ハッシュ衝突とは、ハッシュ関数を使用して異なるデータに同じハッシュ値が割り当てられる現象です。これにより、データの検索や保存が非効率になる場合があります。例えば、ハッシュテーブルにおいて、異なるデータが同じバケットに格納されると、衝突の処理が必要になります。

衝突の対策方法

衝突を避けたり最小限に抑えるために、さまざまな対策方法が採用されています。

ネットワーク衝突の回避

ネットワークの衝突を防ぐには、スイッチングハブやルータの導入、さらに高速な通信技術の利用が有効です。CSMA/CA（Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance）方式やトークンパッシングなど、衝突回避機能を備えた通信プロトコルを利用することで、ネットワーク内での衝突を軽減できます。

データベースロックの利用

データベースの衝突を回避するには、行ロックやテーブルロックなど、データベース管理システム（DBMS）の提供するロック機能を活用します。また、非同期処理やトランザクションの工夫により、競合が発生する状況を最小限に抑えることが可能です。

ハッシュ関数の選択

ハッシュ衝突を防ぐためには、適切なハッシュ関数を選択し、データの分散を考慮します。データが特定の値に偏らないように調整されたハッシュ関数を使うことで、衝突の頻度を下げられます。また、オープンアドレス法や連鎖法などの技法により、ハッシュテーブル内の衝突を解決する方法もあります。

衝突のリスクと影響

衝突が発生すると、システムのパフォーマンス低下やデータの破損、処理遅延などのリスクが伴います。特に、業務上重要なシステムで発生する衝突は、処理の停止や不整合を引き起こし、大きなビジネス損失につながる可能性があります。そのため、システム設計時に適切な対策を講じることが重要です。

まとめ

衝突は、コンピュータやネットワーク、データ処理の分野で発生する競合現象であり、ネットワーク通信、データベース管理、ハッシュテーブルなどでの問題として現れます。適切な対策を実施することで衝突の影響を最小限に抑え、システムの効率と信頼性を確保することが可能です。

関連コラム（あわせて、以下の記事もよく読まれています）

製品・サービス（当該コラムの内容に関連する製品・サービスはこちら）


SNSでもご購読できます。